使える風呂なし、トイレなし、キッチンなしの無い無い古民家に、ヤギのひじきとともにお引っ越し。どれも無いと困るものだと思い込んでいたが、意外とそうでもない。無いなら無いでなんとかなるし、一年ほどなら風呂無し生活を楽しむこともできた。今回は、風呂無し生活をどうやって乗り切っていたのか、そして最終的にどんなお風呂場が完成したのかについて、古民家を改修しながら田舎暮らしを満喫中のライターがお届けする。
太陽光バンザイ! ヤカンシャワーは手間要らず
当初のわが家には、波板で仕切られたコンクリートの部屋にバスタブが置かれたお風呂場があった。そこに転がっていた灯油専用の風呂釜は、もう使い物にならない状態。

この家に住み始めたのは6月だったので、季節は夏に向かっていた。車にはいつでもどこでもお風呂チャンスを逃すことが無いように、お風呂セットを常備。友だち宅でシャワーを借りたり、南房総エリアの温泉やお風呂屋さんにも通ったりしていたが、さすがに毎日は通えない。そんなとき、大鍋にお湯を沸かしてお風呂場へ運び、洗面器に鍋のお湯と蛇口の水を入れて適温にしてからお湯を浴びたものだ。
夏に近づくにつれ、大鍋からヤカンへ、ヤカンから蛇口の水浴びへと変わっていった。天気がいい日はヤカンや鍋に水を入れ、日なたに置いておくだけでそれはお湯になった。薪も使わず、手間もかからず、自然の恵みでお湯ができてそれを浴びられるって、ありがたいとしか言いようがない。無条件に降り注ぐ太陽光を、もっと暮らしに取り入れられたらいいのになと思う。

想定外。お風呂場の壁が崩壊!?

この日、私は仕事があって出かけていたが、DIY仲間たちがお風呂場の作業を進めてくれていた。ブロックの上にある窓が入った壁の柱自体が、グラグラしていたそうだ。
「このまま揺さぶったら、倒れたりして?」
なんて言いながら冗談で揺さぶっていたら、本当に倒れたらしい。このまま露天風呂でもいいのでは? と一瞬思ったが、特別景色がいいわけでもないので新たにお風呂場の壁と屋根も作ることに。
DIY仲間のボスがもらいものの窓をはめ込み、私はせっせともらいもののタイルを貼る。たまに作業をしては放置する、というような状態が続いたので、お風呂場がちゃんと完成したのは引っ越してから一年半ほど経っていたと思う。

お風呂場だけを見ると薪風呂には見えないが、土間には風呂釜スペースがありここでお風呂を沸かすのだ。

この狭い空間で火に当たりながらお風呂を沸かす時間が好き。夏だと40分、冬だと80分ほどで沸く。薪風呂は沸かす時間も楽しめて、お風呂上りは体がぽかぽかして湯冷めしにくい。廃材を使って沸かしているので、燃料費もゼロ。
いつか太陽熱温水器を設置したときのために、お湯が出る蛇口を取り付けるための穴だけは作成済みだが、太陽熱温水器については全くの手つかずでいつできあがるのかは謎だ。
ヤギのひじきに犬の友だち?

ひじきのもとに、犬のバームが遊びにきた。体格は同じくらいなので、仲良くなれるかも? と思ったが、このあとひじきが頭突きをしようとしたのでバームは退散。ひじきはじゃれたいだけだったのかもしれないが、ひじきの角は凶器と化すので私も怖い……。

だから怖いって!!
次回は、新しい家族がやってきたときのことを書こうと思う。果たしてひじきは、仲良くなれるのか?
写真・文:鍋田ゆかり