和歌山県田辺市の関係人口講座「たなコトアカデミー」の修了生が、今年の6月に再び田辺を訪れました。この時季にしか経験できないことを通じて、講座でつながった地元の人々と関係人口との信頼関係はより深まったようです。その様子をレポートします。
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何度でも訪れたい、 「あの人」がいるまちへ。
大好きなまちをもっと知って、何かあの人の役に立てたら──。関係人口がそのまちに通うのは、そんなやさしさや、何より自分が楽しむ気持ちが原動力になっているようだ。
2018年に始まった和歌山県田辺市の関係人口講座「たなコトアカデミー」(以下、「たなコト」)では、毎年多くの受講生が田辺市と出合い、地域の人々と顔の見える関係をつくってきた。そして2022年6月、「たなコト」の修了生が田辺を再訪することとなった。
紀州南高梅の一大産地である田辺市では、毎年この季節に梅の収穫期を迎える。人手が必要な忙しい時季に少しでも梅農家の力になれればと、修了生の有志が集まったのだ。
彼らは2021年度の「たなコト」第4期で製作した、地元の人々との関わりを記していく「関係マップ」を携え、講座を通じてつながった田辺のローカルプレイヤーを訪れた。
顔が見えるからこそ育つ、 関係人口と住民の協力関係。
今回は計4日間ほどの期間中に、グループや個人など参加者の都合に合わせ、会いたい人に直接アポイントを取って会いに行った。『ソトコト』編集部が密着したグループではまず、田辺市龍神村で平飼い卵や地鶏を生産する『とりとんファーム』の石﨑源太郎さん・亜矢子さんご夫妻を訪問。「来て、見て、触れて、龍神村のファンになろう」を「関係マップ」のミッションに掲げる石﨑さんご夫妻のご案内のもと、龍神村での暮らしを体験した。『とりとんファーム』のこだわりの飼料や飼育環境について学び、自分たちが日頃食べているものについて考え直したり、石﨑さんご夫妻が管理する田んぼの草取り作業を手伝ったりと、龍神村の自然や暮らしを五感で楽しんだ。
翌日は朝早くから市内の梅農家2か所に分かれて、梅の収穫作業へ。『十秋園』の野久保太一郎さんを訪れたグループは、梅干しに使用する、黄色く熟して木から落ちた梅を拾う作業を朝からお昼まで集中して行った。『日向屋』を訪問したグループは、梅拾いのほか、梅酒やジュース用の青梅を摘む作業や、収穫した梅の選果、梱包作業までを行った。『日向屋』代表の岡本和宜さんは「この時季は毎日、畑に出て収穫作業をして体力を使うので、こうして手伝いに来てくれるとすごく助かる。初めての人でも作業がしやすいように、教え方を工夫しています」と話す。
最終日は、参加者同士で「振り返り」を行った。「田辺で知人・友人を案内するなら」というお題で、次回田辺でどんなことをしたいか、誰に会いたいかなど、参加者それぞれの視点でアイデアを出し合った。
今回田辺を訪れた関係人口が、また新たな田辺ファンを連れて再び帰って来る日もそう遠くはなさそうだ。
photographs by Katsu Nagai text by Yukari Shimamura (SOTOKOTO)
記事は雑誌ソトコト2022年9月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。