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よりよい未来に向けて、希望を。「Reborn-Art Festival 2021-22」。

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~Social Good in TOHOKU~ 2011年3月11日に東日本大震災があった東北の“いま”を伝えるコーナーです。東北で生まれているソーシャルグッドなプロジェクトや地域で活動する人々を紹介します。

宮城県石巻市を主な舞台にしたアート・音楽・食の総合芸術祭、「Reborn-Art Festival」(以下、「RAF」)は、「Reborn-Art=人が生きる術」をキーワードに掲げ、2017年に始まった。3回目となる今回は、コロナ禍での開催となったため、2021年夏[前期]と2022年夏[後期]に分けて行われた。

テーマは「利他と流動性」。ロシアによるウクライナ侵攻など世界情勢が不穏ななか、「『利他の精神』で、よりよい未来へ向けて新しいものをつくっていく」という意思が込められている。そしてそれを、震災による大きなダメージを受けた街から、世界に向けて発信していくことを目指している。

会場は、石巻中心市街地、「復興祈念公園」周辺、渡波、桃浦・荻浜、鮎川の5エリア。そのうち特に今回注目されるのは、東日本大震災で最も被害の大きかった南浜・門脇地区(「復興記念公園」周辺エリア内)と渡波エリア。遺族をはじめ、さまざまな人の思いが交錯する場に、アーティストがそれぞれのアプローチで向き合った。

たとえば、参加アーティストの川俣正さんは、石巻の街を照らす灯台として、「復興祈念公園」周辺エリアに『石巻タワー』を制作。「空を目指して立つ塔のイメージは、ここに引き続き住む人たちの強い意志を反映するのではないかと思った」と川俣さんは話す。数年かけてタワーが完成される、長期的なプロジェクトを構想している。会期中に行われたトークイベント「川俣正『石巻タワー』から考える、石巻のこれまでとこれから」には、地元の人々も多く参加した。

また、「回復への音 with White Deer (Oshika)」と題して、回復や再生をイメージしたライブが行われたり、全国各地のゲストシェフと地元の料理人が共演し、石巻の豊かな食資源を生かした料理の数々が登場したりと、総合芸術祭「RAF」ならではの貴重な体験・コンテンツが光った。

「これまでの開催を通じて、地域とアーティストとの相互理解が進んできたという実感があります。アーティストと地域の関わりが深まることで、作品の質が確実に高まる。今回はその手ごたえがありました」と、「Reborn-Art Festival」副事務局長・制作委員の江良慶介さんは話す。「石巻は、震災ボランティアなど外部の人を受け入れる経験値が高く、“るつぼ”のようなごちゃごちゃ感がおもしろい街。『RAF』開催によって、さらに多様な人が街に出入りし、活気が生まれたと思います。人が生み出すエネルギーは前に進むための力になる。石巻で『RAF』をやってきてよかったなと思っています」。

アート・音楽・食を通して、さまざまな「出会い」や「きっかけ」を生み出してきたRAF。2022年夏[後期]は、10月2日に無事閉幕となった。また2年後に開催されることを期待したい。

「石巻市南浜マリーナ」隣の空き地に立つ、川俣正『石巻タワー』(2022)

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photograph by Taichi Saito

「復興祈念公園」の未来を想像して描かれた、 弓指寛治『半透明な森』(2022)

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photograph by Taichi Saito

荻浜エリアのビーチで行われたライブ 「回復への音with White Deer (Oshika)」

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photograph by Taichi Saito
text by Makiko Kojima

記事は雑誌ソトコト2022年11月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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