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千葉・香川・島根のお雑煮を比較してみた。

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お雑煮は味噌味か醤油味か、丸餅か角餅か、という話はよく耳にします。日本全国、地域ならではのお雑煮は、100種類を越えるのだとか。千葉県に移住したライターが、千葉のお雑煮や気になった他県のお雑煮を紹介します。(TOP写真:Pixta)

目次

千葉県はば海苔入りの「はば雑煮」

房総半島南部で採れるはば海苔を入れた雑煮を、「はば雑煮」というらしい。
はばとは房州産の海藻を干した「はばのり」のこと。(「はばのり」は秋に遊走子が岩などに着床し、晩秋に発芽、冬から春にかけて生育し、長さ15~25cm、幅1.5~5cmくらいの緑色を帯びた黄褐色から赤褐色のへら型の海藻になり、冬から春にかけて採集。2cmくらいに刻んで簀の子に並べ、天日で乾燥させたもの)元々アサクサノリの代用品として食べられていたが、その不恰好な外見もあってほとんどが地元の漁師によって消費された。そのため市場にはほとんど出回ることもなく、ご当地食材になった。この「はばのり」を入れた「はば雑煮」を年の初めに食べると、「1年中幅を利かすことができる」と縁起がよいと、地元の正月料理になる。
千葉県の「はば雑煮」

千葉県の「はば雑煮」

はば雑煮。(写真:Pixta)
千葉県内でもエリアによってはば海苔を入れないところもあり、はば海苔のことを「青のり」という場合もあるそうです。

カツオの水揚げ関東一を誇る勝浦市の朝市では、カツオで出汁をとり、朝市で仕入れられた野菜やワカメがたっぷり入った朝市雑煮を食べることができます。

勝浦市の朝市で食べられる「朝市雑煮」

勝浦市の朝市で食べられる「朝市雑煮」

勝浦市の朝市で食べられる「朝市雑煮」。

あんこ餅を入れる香川県のお雑煮

白味噌の汁に、あんこ餅を入れるという香川県の「あんもち雑煮」。
江戸時代、温暖で雨の少ない気候である香川県では、殖産振興の一つとしてさとうきび栽培が奨励された。讃岐地方の白砂糖は、色が白く口どけがよいことから、綿や塩と並び「讃岐三白」として特産品の代表となった。当時砂糖は貴重品で、一般家庭では普段口にすることができなかったが、明治時代あたりから、年に一度、とっておきの砂糖を使った正月の特別な料理として、雑煮に取り入れるようになったのが「あんもち雑煮」のはじまりといわれている。
関東に住む香川出身の方から、お雑煮に入れるためのあんこ餅の注文が毎年必ずあるという和菓子店の話を聞いたことがあります。住む場所が変わっても、故郷のお雑煮が恋しくなるものなのですね。

ぜんざいの語源になった「小豆雑煮」

どう見てもぜんざいに見える島根県の「小豆雑煮」は、全国から神様が集まる「神在祭(かみありさい)」で振る舞われるそうです。
この雑煮は、さらさらとしており、見た目は「ぜんざい」や「おしるこ」に近いが、比較するとあっさりとした甘さが特徴である。
出雲地方の旧暦10月は、全国から神々が集まる神在月(かみありづき)。この時期に催される神事「神在祭(かみありさい)」では、「神在(じんざい)餅」として、「小豆雑煮」が振る舞われ、これがのちに「ぜんざい」の語源になったとされる説もある。
島根県の「小豆雑煮」

島根県の「小豆雑煮」

小豆雑煮。(写真:Pixta)
筆者が住む南房総エリアは東京に近いこともあり、多くの移住者が住んでいます。このエリアに嫁いできた女性は、自分が生まれ育った土地のお雑煮を作り続けている人もいて、同じエリアに住んでいても丸餅だったり角餅だったり、家によって異なっていることがあるそうです。それは、外からの文化を受け入れる土地柄なのだと、地元の人は話します。都会からの移住者を受け入れ、移住者にとっても住みやすい土地になっているのは、昔から他所の文化を受け入れてきた土地柄のお陰なのかもしれません。
※掲載写真はイメージです。
写真:Pixta、鍋田ゆかり
文:鍋田ゆかり

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