『街路市』は楽しい。1週間に一度だけ、というのもくすぐられるし、旬の青果は自然光の下、とりわけみずみずしく見える。お釣りをもらうまでのちょっとした会話に、「あれを買うならこの店」と自分の中で決まってくることに、少し誇らしい気持ちにすらなる。
ほぼ毎日、高知市内のどこかで開かれている街路市。最も規模の大きい日曜市は、全長約1300メートル、400店以上が軒を連ねる。歩き眺めていて、特に目を引かれるのは何をいくらで売っているのかを伝える商品札。手書きが多いのだが、文字のクセ、太さ、間隔のとり方から、店主の性格や姿勢、いろいろなことを想像する。もはや「フォント」と呼びたくなる統一感を持った文字の店もあり、それがアナログならではの不完全さを帯びていて、愛おしい。ここでは買い物は、単なるモノとお金との交換ではない。さっき芋天を食べ歩きしたのに、今度はうどんに並んでいる。フォントがあまりにも、おいしそうだったから。