ビデオ会議アプリ「Zoom」を活用し、9月12日に開催した「北斎ゆかりの地を巡る“リモート”旅」に続き、墨田区主催・株式会社KADOKAWA協力の葛飾北斎生誕260年記念事業として、シンポジウム「世界の北斎 すみだにあり」を10月10日(土)に開催します。このシンポジウムは、すみだリバーサイドホール・イベントホール(墨田区役所2階)でのリアル開催となりますが、新型コロナウイルス感染症対策として観客収容率は約20%に留め、ニコニコ動画での生配信も行われます。
現墨田区界隈は、江戸時代に人々の生活や経済の基盤として発展し、江戸文化の中心としても栄えてきました。葛飾北斎は、そんなすみだの地に1760年(宝暦10年)に生まれ、1849年(嘉永2年)90歳で生涯の幕を閉じるまで、ほとんどの時間をすみだで過ごしたといわれています。このシンポジウムでは、日本のみならず世界の芸術家たちに影響を与えてきた北斎の偉業を顕彰し、グローバルな視点で、日本美術や江戸文化のエキスパートたちが再評価を行うことで、北斎そして北斎が愛したすみだの知られざる魅力に迫ります。
第一部は、すみだ北斎美術館研究報告「北斎 冨嶽三十六景 天才の技術と着想」です。2024年に発行される新紙幣(千円札)のデザインに採用された「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」など、北斎が生み出してきた数々の素晴らしい作品の“技術と着想”について、美術館の研究結果を発表します。登壇者は、これまで開館記念展ほか多数の展覧会を企画開催してきた、すみだ北斎美術館主任学芸員・国際浮世絵学会理事を務める奥田敦子氏。東京学芸大学大学院修士課程修了後、太田記念美術館主任学芸員を経て、すみだ北斎美術館の開設に準備段階から関わってきた奥田氏が「冨嶽三十六景」の構図や発想の妙を解説されます。
第二部は、北斎有識者によるシンポジウム「世界の北斎 すみだにあり」。北斎が世界の芸術シーンにどんな影響を与えてきたのか、そして世界の人々からどんな評価を受けているのか、北斎という日本人が成し遂げた世界的偉業について、専門家とクリエイターなどそれぞれ異なる視点から掘り下げていきます。モデレーターに橋本麻里氏(日本美術ライター&エディター)、ゲストには北斎に関する豊富な知見を持つ河野元昭氏(日本美術史学者)と橋本光明氏(すみだ北斎美術館館長)に加え、2020年6~8月開催の国立新美術館の「古典×現代2020」展で北斎へのオマージュ作品を発表した漫画家・アーティストのしりあがり寿氏、“江戸に詳しすぎるタレント”として多方面で活躍し、国際浮世絵学会会員でもある堀口茉純氏を迎え、贅沢で濃厚な120分のトークセッションが行われます。
当日の様子はニコニコ動画でも生配信を行う他、リアル&オンラインともに参加者の皆さまからの質問に答えながら、登壇者と参加者全員で北斎への理解を深めていきます。
シンポジウム概要
■開催日時:2020年10月10日(土)13:30~16:40
■参加費:無料
■定員:150名 ※新型コロナウイルス感染症対策として、会場収容率約20%で実施
■会場:墨田区役所2階 すみだリバーサイドホール イベントホール
■申込み方法:
事前申込みは(株)角川アスキー総合研究所内の事務局にて、2020年9月18日(金)~10月2日(金)にて受付されます。下記いずれかの方法でお申込みいただけます。応募者多数の場合は抽選となります。なお、期限までに定員に達していない場合は、WEB申込みでのみ先着で受付を行われます。
登壇者
<第一部>13:40~14:25(45分)
奥田 敦子(おくだ・あつこ)
すみだ北斎美術館主任学芸員・国際浮世絵学会理事。著書に『THE北斎 冨嶽三十六景ARTBOX』(講談社)、『広重の団扇絵 知られざる浮世絵』(芸艸堂)他、葛飾北斎・妖怪・花火等に関する論文・解説多数。
<第二部>14:40~16:40(120分)
モデレーター:橋本 麻里(はしもと・まり)
日本美術を主な領域とするライター、エディター。公益財団法人永青文庫副館長。著書に『橋本麻里の美術でたどる日本の歴史』全3巻(汐文社)他多数。
ゲスト:河野 元昭(こうの・もとあき)
日本美術史学者。静嘉堂文庫美術館館長、東京大学名誉教授、すみだ北斎美術館資料収集委員などを務める。著書に『北斎の花』(小学館)他多数。
ゲスト:しりあがり寿(ことぶき)
1985年、『エレキな春』で漫画家デビュー。以降、漫画、映像、アートなど多方面に創作の幅を広げる。『弥次喜多 in DEEP』『あの日からのマンガ』など受賞作多数。
ゲスト:堀口 茉純(ほりぐち・ますみ)
江戸時代の歴史文化の魅力を楽しくpopに広める、お江戸ル(江戸に詳しすぎるタレント)、作家、女優など。江戸文化歴史検定一級、国際浮世絵学会会員。
ゲスト:橋本 光明(はしもと・みつあき)
すみだ北斎美術館館長。信州大学名誉教授。大学美術教育学会理事長、学術審議会専門委員、文科省特定課題委員などを歴任。著書に『Art Link』(日本文教出版)他多数。