アサヒビール(東京都墨田区)は、アサヒグループと東松島みらいとし機構(宮城県東松島市)が取り組む「希望の大麦プロジェクト」で収穫した大麦を使って、2022年よりウイスキー原酒の製造に向けた取り組みを開始します。
「希望の大麦プロジェクト」
アサヒグループは、東日本大震災の被災地復興を中長期的に応援したいという思いのもと、宮城県東松島市沿岸部の海水を被って被災した広大な土地の有効活用を目指し、これまでビール製造などで培ってきた知見を活かして大麦を栽培する「希望の大麦プロジェクト」を2014年にスタートしました。
試験栽培から始めて少しずつ栽培面積と収穫量を増やし、2015年には洋菓子の商品化が実現。2016年2月には宮城県やくらい地ビール製造所からクラフトビール『GRAND HOPE(グランドホープ)』を発売し、2016年10月からはアサヒグループのクラフトビール醸造所「隅田川ブルーイング」で『希望の大麦エール』を醸造し、グループの外食企業であるアサヒフードクリエイトの店舗で提供。2017年からは「希望の大麦」を一部使用した新ジャンル「クリアアサヒ」の限定商品を、2020年には「希望の大麦」を一部使用した『アサヒスーパードライ 東北復興応援缶』を限定発売しました。
地域に根ざした産業としてのウイスキー
「希望の大麦プロジェクト」は、2020年には栽培面積がプロジェクト立ち上げ当初から約14倍の19haまで拡大し、大麦の総収穫量は150tを突破と大きく成長。被災土地の有効活用に大きく貢献しました。
収穫量が増えた「希望の大麦」の新たな使用用途や販売先を検討する中、より中長期的なものづくりを通じて新たな価値を創造し、大麦の栽培や加工販売事業を地域に根ざした産業として確立することで地域のさらなる活性化と豊かな社会の実現につなげたいと、「希望の大麦」を原料とするウイスキーの商品化という新たな価値を提案しています。
今年6月に収穫する「希望の大麦」をアサヒビールが仕入れ、グループ会社であるアサヒビールモルトのもとで製麦作業を行い、2022年からニッカウヰスキー仙台工場で仕込み作業を開始する予定です。
東日本大震災から10年となる今年から始まる新たな取り組み。10年という節目は終わりではなく、まだまだ復興への道のりは続きます。未来につながる一歩を踏み出したウイスキーの熟成とともに本当の復興が進むのかも知れません。次の10年に向け、フォローしたい取り組みです。
■アサヒグループ 「希望の大麦プロジェクト」ページ