「地域と関わりたいと思う人を育てる」という仕事。

連載 | NEXTSTAGE まちのプロデューサーズ2.0 | 38 「地域と関わりたいと思う人を育てる」という仕事。

人と人とのつながりを通じて、自身も数多な肩書きを持つプレイヤーに。


お話を聞いた人


堀下恭平さん 『Tsukuba Place Lab』代表


横尾 今回話を聞くのは、『Tsukuba Place Lab』代表の堀下恭平くんです。学生時代に起業し、そのままフリーランスとなり、今ではコワーキングスペースの運営や、まちの活性化事業に関わるなど、おもしろい経歴の持ち主。まちづくりの分野に関わるようになったきっかけは?


堀下 つくば市で東日本大震災を経験したことです。大学1年生の春でした。食料不足の時、知り合いの農家の方が野菜を分けてくれたことで、人と人とのつながりの中で生きていることを実感するようになりました。自分も人が集まる場をつくろうと、学生の仲間で集まってカフェをオープンしました。すると、まちづくりを仕事にしている方がたくさん来てくれました。その中で、商店街の活性化の相談を受け、休学してフリーのコンサルタントとして仕事を始めました。


横尾 行政コンサルタントとして各地を飛び回って働いていたけれど、拠点をつくばに置こうと決めたのはなぜ?


堀下 結婚したことが大きいですね。僕も大学入学を機にここに来ましたが、つくばってすごく風通しのよいまちなんですよ。万博をきっかけに発展した歴史もあり、新参者にも寛容です。ここなら自分の経験を活かして、新しい試みをたくさんできると思いました。オープンした2つのコワーキングスペースは、何かを始めたい人を応援する場所です。また、年間約350本実施するイベントは「何でもあり」のスタンスで、基本的に提案をすべて受け入れています。政治家の講演会もあれば、地下アイドルのイベントもあります。「何でもあり」に価値があるんです。


横尾 とはいえ、投資することには勇気が必要だったのでは?


堀下 そうですね。でも、もしもの時はコンサルティングの仕事で食べていけるだろうと考えていました。また、これまで出会った人たちに、利益を度外視して提供してきた価値もあるので、「先出しの恩」で食いつないでいけると思っていました。最低限のセーフティーネットはあるのだから、「思い切ってやろう」と勇気を持つことができました。


横尾 いろいろな肩書を持っているけれど、大変じゃない?


堀下 複数の仕事をすることで得られる相乗効果のようなものを感じています。例えば、行政との仕事の経験から、起業をする時も、どうやって行政と協力しながら事業を展開できるか、考えられるようになりました。起業を支援する者の強みとして、行政と組むための方法を知っていることは重要です。グリーンバードを始めたのは、拠点をここに移すにあたり、つくばの人ともっとつながりたいと思ったからです。それがご縁で、地域コミュニティに根を張った働き方ができていると感じています。


横尾 学生時代に描いていたことが、実現できている感じだね。


堀下 少しずつですが。あとは、もっと稼ぐことですね。「まちに関わるプレイヤーが少ない」と行く先々の自治体で相談されたことから、今は次のプレイヤーを育てることに注力していますが、「コミュニティデザイナー」を憧れの職業にするには、その仕事でしっかり稼げるようにならなければダメだと思っています。まずは自分がきちんと稼いで、ビジネスモデルを確立させたいと思います。


取材後記


 取材場所だった2つ目のコワーキングスペース『up Tsukuba』は、駅から徒歩2分という立地でした。筑波大学のすぐそばの一つ目のスペースとは違い、こちらはビジネスマンや研究者が多く利用し、「ビジネスシーズと研究シーズがマッチングする場所」を目指しているとのことでした。2018年12月22日(土)には、つくばのおもしろい人を集めたイベント「つくば100人カイギ」のキックオフが行われるとのこと。雑多な状態を楽しめる人にどんどん来てほしいと語る堀下さん。「一緒にイベントしましょう!」と言っていただいたので、カオスな空間づくりに、僕もまた伺おうと思います。皆さんも、ぜひ一度立ち寄ってみてはいかがでしょうか。入居者のための見学も随時受け付けているそうですよ!(横尾)

編集部ピックアップEDITER’S PICK UP