日本三景の一つであり、世界遺産でもある宮島・宮島口エリアが、地域一体となって使い捨てプラスチックごみの削減に挑むプロジェクト「ACTION FOR ZERO Miyajima」をスタートさせました。観光地として抱える環境問題に、本気で立ち向かうこの取り組み。“持続可能な観光地づくり”の最前線を徹底レポートします!
なぜ今?世界遺産の島が「ZERO」を目指す理由
観光地として絶大な人気を誇る宮島と、その玄関口である宮島口エリア。しかし、観光客の増加に伴いごみ対策が急務となっています。プラスチックカップやストローなどのごみがポイ捨てされていたり、資源回収箱にごみが入れられていたり……。瀬戸内海における海洋ごみの約6~7割は、陸から海へ流出したものと言われています。豊かな自然を守るため、ごみを減らすことは地域の喫緊の課題でした。

また最近では、プラスチック資源循環促進法の策定や国際プラスチック条約の策定に向けた議論が行われるなど、社会情勢も変化しつつあります。サーキュラーエコノミーやカーボンニュートラルの観点からも、プラスチックの使用量削減に向けた取り組みを加速化していく必要がありました。
そこで、広島県では「2050年までに瀬戸内海に新たに流出する海洋プラスチックごみをゼロにする」という目標を掲げ、対策を進めています。2021年6月には官民連携組織「GREEN SEA 瀬戸内ひろしま・プラットフォーム」を設立し、①プラスチックの使用量削減、②プラスチックごみの流出防止、③プラスチックごみの清掃・回収、④情報の収集・発信・共有の4つのキーアクションを軸に、さまざまなプロジェクトを展開しています。
特にペットボトルやスプーン、ストローなどの「生活由来のプラスチック」に着目。これらの海洋流出を減らしていくため、地域をあげて「ACTION FOR ZERO Miyajima」の取り組みが始まりました。

「使い捨てプラスチックごみゼロ」に向けたアクション
「ACTION FOR ZERO Miyajima」の目的は、大きく分けて「使い捨てプラスチックの使用量の削減」と「事業者・消費者の抱える課題の解消」の2つです。
まず「使い捨てプラスチックの使用量の削減」は、主に宮島島内及び宮島口の飲食店や小売店などの商業施設、旅館やホテルなどの宿泊施設を対象としたもの。テイクアウト容器やホテルアメニティなどの使い捨てプラスチック製品を、非プラスチック製品や生分解性素材製品へ置き換えることを呼びかけています。

次に「事業者・消費者の抱える課題の解消」について、まず飲食店や小売業、宿泊業などでは、ほとんどの事業者がプラスチックの削減に取り組む必要性を理解しています。しかし、彼らは「顧客に受け入れてもらえるのか」「コストが増加するのでは」という不安や葛藤で一歩踏み出せていない状況。また消費者の立場では、そもそもプラスチック削減に貢献できる選択肢があることを知らないケースが大半です。
そこで、本プロジェクトでプラスチック削減の大きなうねりを生み出し、事業者の導入障壁を下げることで、消費者が自ら選択しプラスチック削減に貢献する機会を作り出すことを目的としています。

2025年10月現在、地域内の22事業者27店舗で、自然に還る素材のドリンクカップやホテルアメニティ、アルミボトル缶などの提供が、順次開始されています。

キックオフイベントを開催
また、プロジェクトの認知度向上と参加を呼びかけるため、2025年9月13日にキックオフイベント「ACTION FOR ZERO Miyajima 環境にやさしいマルシェ」が開催されました。このイベントでは、環境や健康にやさしいフードや雑貨の出店のほか、海洋プラスチックごみを使ったキーホルダー作りなど、プラスチックごみについて楽しく学べるワークショップも開催。大人から子どもまで、多くの来場者がサステナビリティについて考えるきっかけとなりました。

世界遺産である宮島・宮島口が本気で挑む「ACTION FOR ZERO」は、日本の観光地の未来のあり方を示すトレンドになるはずです。この持続可能な挑戦を、ぜひ現地で体感してみてはいかがでしょうか。


















