社会の常識が変わる瞬間はチャンスでしかない。多様な観点からSDGsにアプローチ。

社会の常識が変わる瞬間はチャンスでしかない。多様な観点からSDGsにアプローチ。

2010年にご自身の事務所を設立し、新規事業創出の専門家として活動する守屋実さん。守屋さんは、ラクスル、ケアプロの創業に参画し、また現在は水木を使わず石灰石で紙をつくるストーンペーパーTBMの名刺を愛用するなど、環境と未来を見据えて活動しています。今回は、ケアプロの創業に参画した経緯について、またコロナ後のイノベーションの未来についてお伺いしました。

予防医療マインドの定着に従事しSDGsにアプローチ

筆者:SDGsへの取り組みの1つとして、守屋さんはケアプロの創業に参画していたかと思います。その経緯についてお伺いしたいです。
守屋:ケアプロは予防医療の浸透を目的に川添さんという方が社長として立ち上げたサービスです。日本には国民皆保険医療制度があるため、国民の予防医療に対する意識は高いとは言えませんでした。ただ、看護師としての経験を持つ川添さんは、予防医療というマインドが非常に重要であると考えており、僕はその想いに強く共感しました。なので、ビジネス的な部分で何らか僕なりに貢献出来たら、と思いました。
筆者:ケアプロはどういったサービスを提供しているのでしょうか。
守屋:ワンコイン健診 (現セルフ健康チェック)というサービスを中心に活動しました。これは、500円で血糖値や総コレステロール値などの血液検査を行い、その場で結果がわかるというものです。このサービスをパチンコ店で展開したときに、とある店舗では100人に1人の割合で空腹時の血糖値が500mg/dlという方がいました。この値は看過できない値なので、その場ですぐに医療機関での受診を強く勧めました。こうして、予防医療の啓蒙を様々な場所で行っていったのです。
筆者:実際にサービスを提供する上で困難だったことはありますか。
守屋:当時、予防医療に対する考えが普及していなかったことです。しかしながら、お話した通り地道な活動を粘り強く行っていった結果、サービス開始から6年目には20万人もの方々に利用していただくことが出来ました。そして、そうした結果をもとに行政にアプローチし、自己採血簡易検査の規制緩和を実現することができたのです。現在はケアプロのようなものを検体測定室と呼ぶようになり、予防医療のマインドも社会に定着しつつあるように感じています。僕らは社会活動家ではないので、僕らの想いをビジネスという形にして、再現性のあるものにすることで、SDGsということに社会レベルでアプローチすることを目指しています。

地方・事業創出・マーケットアウト、変わらない大切な価値観

筆者:現在、コロナ禍における事業環境がどんどん変化しているなかで、この環境の変化がベンチャー企業に与える影響についてお伺いしたいです。
守屋:社会の常識が変わる瞬間というのは、まぎれもなくチャンスであると思います。新型コロナウイルス感染症が世界中で蔓延し、全世界の人々の生活が一変し、当たり前の暮らしは失われました。ただ、僕はそんな今こそ新たな事業の力が必要になると思います。突然生まれた新たな生活様式の中で、不便を感じている方は多いと思います。一方で、顧客がいて初めて成立する事業にとっては、新たなニーズを持った顧客がたくさん生まれた今こそ、新しい事業が求められていると思います。実際に、広がりそうで広がらなかった遠隔医療は、これまで必要性を感じたことがなかった人にまで、利用が広がりつつあります。さらに言えば、さまざまなサービスのオンライン化が余儀なくされた今回の新型コロナウイルス感染症の一件は、医療介護業界にDXを起こす最大のチャンスであるとも思っています。
筆者:コロナ禍で地方に関心が集まっているように感じますが、この変化によって地方との連携だったり、地方での新規事業創出という動きはより強まっていくと思いますか。
守屋:このコロナによってリモートが広く普及したので、地方と連携しやすくなったと思います。ちなみに、僕は今福岡のスタートアップに参画していますが、彼らとまだ対面で会ったことがありません。こういったことは、今後、増えていくと思います。ただ、コロナ前も地方との連携の必要性というのは唱えられていた事なので、その動きが加速しただけのことだと思います。もちろん連携がしやすくなったからこそ、どんどん新しいことにチャレンジしていくべきだと思います。物事はどう捉えるかによって見え方が大きく変わります。僕は都心も地方も以前からずっとチャンスはあると思います。

筆者:都心にも地方にもチャンスが多いという一方で、日本社会はすでにモノやサービスで溢れています。この日本社会でマーケットアウトの必要性について伺いたいです。

守屋:すでに、モノやサービスで溢れているからこそ、根本的に発想を変える必要性があると思います。作れるモノ、提供できるサービスを展開するよりも、求められているモノ、求められているサービスを提供するほうが、結果的にはコストを抑えることができる時代です。ただ、このマーケットアウトには言葉としてのユニークさはありますが、考え方自体は常々言われてきていることです。SDGsも同じで、本質的に大切なことは常に変わらず、言葉となって今注目され始めているように感じるのかなと思います。

人はおこなったようにしかならないからこそ、一歩を。

筆者:このインタビューはベンチャー広報室という我々の新たな取り組みなのですが、何か期待するところがあれば教えていただきたいです。
守屋:いつの時代もスタートアップは脆弱であると思っています。1人の強い意志を持った起業家が意志を持って立ち上げますが、その意志を阻むものは毎日のように出てきます。そのなかで、皆さんには、強い意志をもって立ち上がる人を意志を持って支えていただきたいです。そして、僕自身も含め今求められている何かに対して、今日より明日、明日より明後日と解像度を高く臨んでいければと思います。
筆者:最後に、大きく環境が変化している今、新しいものに取り組み邁進している方にメッセージをお願いします。
守屋:私は、「人は考えたようにならない。おこなったようになる」と思います。だからチャンスが目の前にあった時に1歩でも2歩でもいいから動いた人は、大きなチャンスが来たときに動ける人になると思います。一方で、目の前にある小さなチャンスや、頑張っている人を応援するという半歩、これさえも踏み出さない人は絶対に大きなチャンスが来た時も足は出ないはずです。なぜなら、おこなったようにしか人はならないからです。だから、是非躊躇することなく1歩を踏み出してほしいですし、それが間違っていたら次の一歩を出してみてください。必ず、踏み出した人は踏み出すことができる人に変わっているはずです。だから僕も踏み出します。 応援しています。

編集部のコメント

本稿では新規事業の創出に携わる守屋さんにお話を伺い、その取り組みをお伝えしました。守屋さんにお話を伺ったなかで、何事も「視点」がとても重要であると感じました。大きく環境が変化している今を、生活者として、起業者としていかに捉えるのか。そして、積極的に動くこと、動いている人を支えることがチャンスに繋がるのかもしれません。我々もメディアとして、日々意志をもって発信していければと思います。末尾になりますが、取材にご協力いただいた皆様には心より感謝申し上げます。

守屋 実

株式会社守屋実事務所代表取締役。
1992年に株式会社ミスミ(現ミスミグループ本社)に入社。2010年に守屋実事務所を設立。
「52=17+21+14」52歳である現在、17回の企業内起業、21回の独立起業、14回の週末起業を経験し、人生をかけて起業を繰り返す「起業のプロ」。

取材・文・写真:みらいリレーションズ編集部

編集部ピックアップEDITER’S PICK UP