「生理の貧困」問題とは?

「生理の貧困」問題とは? 日本で今起きている実態に迫る

数年前より世界各地で大きな動きが起きている「生理の貧困」問題。日本でも調査結果などが発表され注目を集めるようになり、様々な活動や支援の輪が急速に広がってきています。

「生理の貧困」とは

経済的な理由などから生理用品の購入が難しい状態、また利用できない環境にいること、それが「生理の貧困(Period Poverty)」です。発展途上国だけの問題だと思わわれていた時代もありましたが、イギリスでは10人に1人の少女が生理用品を購入することができず(プラン・インターナショナルUK調べ)、ニュージーランドでは若者の12人に1人が生理用品を買う経済的余裕がなく、授業を欠席している(BBC調べ)など、格差の広がった先進国でも大きな問題であることが明るみになってきました。それを受け、生理のあるすべての人が生理用品を入手できるようにしようという「生理の平等」を求める活動が各国で盛んになり、政策や法律を変えるなど、大きな変革をもたらしています。

各国の「生理の貧困」への対応

・スコットランド:2017年より低所得の女性へ生理用品を無償提供を開始。2018年には学生へ生理用品を無償提供。2020年2月より必要とするすべての人へ生理用品を無償提供に

・イギリス:2020年1月より学生へ生理用品を無償提供。2021年より生理用品が非課税に

・オーストラリア:2019年より生理用品が非課税に

・フランス:2015年に生理用品にかかる消費税を20%から5.5%に減税。2020年12月よりホームレスや刑務所にいる女性に対し生理用品を無償提供。2021年2月より学生へ生理用品を無償提供

・ドイツ:2020年より生理用品にかかる税を19%から7%に減税

日本でも学生の5人に1人が困っている!

日本でも「生理の貧困」への問題意識が高まりつつある中、今年3月、「日本の学生の5人に1人が、金銭的な理由で生理用品の入手に苦労したことがある」というデータ結果が発表されました。

出典:#みんなの生理 Official 3月4日調査結果https://minnanoseiri.wixsite.com/website/post/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AB%E3%82%82%E3%80%8C%E7%94%9F%E7%90%86%E3%81%AE%E8%B2%A7%E5%9B%B0%E3%80%8D5%E4%BA%BA%E3%81%AB1%E4%BA%BA%E3%81%AE%E8%8B%A5%E8%80%85%E3%81%8C%E3%80%8C%E9%87%91%E9%8A%AD%E7%9A%84%E7%90%86%E7%94%B1%E3%81%A7%E7%94%9F%E7%90%86%E7%94%A8%E5%93%81%E3%82%92%E8%B2%B7%E3%81%86%E3%81%AE%E3%81%AB%E8%8B%A6%E5%8A%B4%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%8D

また、「生理用品を買う余裕がなく、ティッシュを代わりに使った」など、金銭的な理由から生理用品でないものを代わりに使ったことがあるという学生が27.1%、生理用品を交換する頻度を減らしたことがある学生は37.0%いるということも明るみになりました。

さらに、プラン・インターナショナルが15~24歳の女性2,000人に行った生理と生理に関係する日常生活に関する調査によると、「生理用品の購入・入手をためらったことがあるか」の質問に、53.9%の人が「ある」と答え、うち39.6%の人が経済的理由からという結果になりました。

出典:公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン「日本のユース女性の生理をめぐる意識調査」2021年4月

生理用品の購入や入手が難しかった場合、他のもので代用したり、交換の頻度を少なくしているということも分かりました。これらの行為は感染症を引き起こす恐れもあり、女性の健康問題につながるともいえるでしょう。

数百円という安価な生理用品もある中で、生理用品が買えないということがなぜ起こってしまうのか。それは、経済的に厳しい場合、より生活に必要なものを優先し、外からは見えない経血処理を後回しにしてしまうという現実があるようです。また未成年の場合だと、新型コロナウイルスの感染拡大によって保護者が失業し、生理用品を買うためのお金をもらえなくなったり、買って欲しいと言いにくくなくなってしまう場合も考えられます。

支援の現状は?

このような実態が明るみになったことで「生理の貧困」への関心が急速に高まり、これまでも声をあげていたNPOやNGO、民間の団体だけなく、行政も動き始めました。東京都豊島区が3月中旬にいち早く生理用品の無料配布を実施したことを皮切りに、静岡県富士市では声を出さずに生理用品を求める意思表示ができるカードを用意し、女性職員によって中が見えにくい袋に入れた状態で提供するなど、受け取る側に寄り添った工夫も。今では全国255の自治体が、学校での生理用品の配布などを実施・検討しているという調査結果が公表されるなど、支援に乗り出しています。(2021年5月28日現在)
また、日本政府は、2021年6月1日に「生理の貧困」対策として本年度中に生理用品を買う余裕がない女性を対象とした調査に着手すると発表し、具体的な対策に乗り出しました。

コロナ渦での収入減少も大きく影響し、加速してしまった「生理の貧困」ですが、このように、支援の輪も確実に広がってきています。生理用品がないと経血の漏れなどが心配で、学校へ行けなかったり、外出できないという行動の制限がかかりる恐れもあります。行動が制限されてしまうということは、学習する機会や活躍する可能性をも奪ってしまうことになりえます。生理のあるすべての人が、正しく生理用品を使える社会を目指していきたいですね。

また、生理がダブー視され、生理用品が必要だということが言いにくいという現状が、生理の貧困につながっていくことも。まずは、みんなが生理についての正しい知識を持つことが、生理の貧困のない社会をつくるために大切なことなのかもしれません。

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丸山彩(まるやま・あや)●東京都出身。某出版社での雑誌編集を経て、フリーランスの編集・ライターに。美容、女性のライフスタイルをテーマにしたカタログ・広告・webなどの制作を多く手掛ける。

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