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場づくり・コミュニティ

中高生による中高生のためのセミナー「jimoTALK2020 SUMMER」を開催しました!

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東京学芸大学附属国際中等教育学校ソーシャルアクションチーム(以下SAT)は、8月から9月の間、3回に渡りオンラインイベント「jimoTALK 2020 Summer」を開催しました。「jimoTALK」とは、全国の中高生に地域と繋がることの楽しさや面白さを発信し、中高生による地域創生や関係人口化について語るオンラインイベントのこと。「jimoTALK 2020 Summer」では私たちの過去7年間の活動紹介や、ソトコト編集長・指出一正を含むスペシャルゲストを招いたトークセッションなどを通して、「中高生×地域創生」の将来像について考えました。

目次

開催のきっかけ

SATでは毎年スタディーツアーとして様々な地域を訪れ、まちづくり・町歩き・商品開発などについて中高生なりの課題解決を企画・実施してきました。今年度も「地域の方々と新しい活動をしたい!」と意気込んでいたのですが、新型コロナウィルスの影響で困難に……。私たちには何ができるだろうかとチームで悩んだ結果、「中高生向けのオンラインイベントを通じて、全国の中高生に私たちの活動や地域と関わることの楽しさを伝える」という結論に至りました。知識やノウハウはゼロでしたが、気持ちを切り替えて全3回のオンラインイベント「jimoTALK 2020 Summer」を企画・開催しました。

第1回:jimotoってなあに?

jimoTALK第1回のテーマは「jimotoってなあに?」。開始してすぐ、私たちは参加者の皆さんとグループに分かれ、何もインプットしていないまっさらな状態で「地域創生」と聞いて何をイメージするか参加者に問いかけたところ、多くの人が「大規模、大人がやること、難しそう」などと、中高生の自分たちでやるのは難しそうだし、考えたこともなかったということでした。その反面、「もしできたら達成感が大きそう、いろんな人と繋がれて楽しそう!」と興味を示している人も多くいました。
私たちの活動の中で重要なキーワードは2つ。「jimoto」と「ジブンゴト」です。「jimoto」とは、実際に自分が生まれ育った地元とは違い、離れている場所でも「あの人に会いたい」「あの風景が好き」など、自分が好きで応援したい場所のことを指します。より多くの人が「jimoto」を持ち地域に目を向けることができれば、日本地域の現状を変えられると考えています。また実際に地域に訪れ、現地の人の声を聞く中で地域問題を「ジブンゴト」として受け止めながら解決へ向き合っていくことを大切にしています。

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地元と「jimoto」の違い

第1回のイベント後、多くの人からもらった感想が「地域創生をより身近に感じた!」や「自分でも挑戦できるような気がした」などの前向きなものでした。地域創生は純粋にその地域が好きで、関わりを持ちたいからやるものだと気づいてもらうことができました。

第2回:地域活性化中高生トークショー 〜他地域からの協力者って迷惑じゃない?〜

第2回は滋賀県大津市立葛川小中学校KCLプロジェクト(以下KCL)の皆さんとのトークショーを開催しました。KCLは学校を過疎化による廃校の危機から守るため、葛川のPR活動を行なっている団体です。離れた地域を応援してきた私たちに対して、KCLは自分たちの地域を守るために活動しているということで、我々とは違う視点から中高生の地域創生活動について語ってくれました。東京から関わる私たちが不安に感じていた「地域に協力したいけど、他地域からの人が関わっちゃうのは正直迷惑にならないかな?」という点についても聞いてみると、「地域外から一緒に活動してくれる人がいることによって、自分たちだけでは気づかなかった地域の魅力を発見できたり、自分たちの活動に対する自信や誇りに繋がったりするので、他地域からの協力者はもちろん大歓迎」と温かい言葉をいただきました。

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滋賀県大津市立葛川小中学校KCLプロジェクトのメンバー。

第2回の最後には、参加者一人一人に地域と関わることをジブンゴトとして考えてもらうため「私とjimotoとの関わり方」についてプチ案だしを行いました。自分自身のjimotoになり得る場所とその場所の魅力を発信するためのアイディアを出してもらい、自分が具体的にどのような形で地域と関われるかを考えてもらったところ、おばあちゃんの実家がある秋田県を舞台に秋田犬と一緒に散歩しながら行う町歩きイベントや、地元にある商店街のお店のPR大会などの素敵なアイディアが出ました。

第3回:関係人口ってなあに? 〜あなたはどう関係人口化する?〜

最終回である3回目はソトコト編集長・指出一正によるセッション。「関係人口ってなあに?」というテーマで、全国各地の関係人口化の事例が紹介されました。高校生や大学生が主体となり、純粋に自分たちが楽しいと思えることを元に地域の人が集まる場所の話では、「こんな場所があればその地域に行きたくなる」と強く感じました。今まで関係人口とは「地域と地域外を繋げる存在」と思っていましたが、多くの事例を聞いていくうちに、関係人口がいることで地域内の人同士の繋がりも一層豊かになることに気付きました。関係人口が始めたプロジェクトに地域の人が参加することや、刺激を受けて地域の人も改めて自分の暮らす地域やコミュニティーを見つめ直すなど、関係人口はさまざまな人の関係を連鎖的につくることができるのです。

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イベントの様子。

第3回の後半では、講演で聞いたことを踏まえて「私と関係人口とこれから」というテーマでグループディスカッションを行いました。「海が良く見られる地域に通いたい!」など将来的に関係人口になってみたいと感じた方は多かったものの、行動範囲や時間などに制限があるのが中高生の現実。しかし、コロナ禍でオンラインでの交流が普及し、離れた人との関わり方や地域の捉え方も変わりました。こんな時代だからこそ、地域との新たな関わり方を構築できるかもしれません。

必要なのは最後の一押しかもしれない。

1ヶ月間、全3回にわたり参加者の意見を聞いていくなかで気づいたのは、想定していたより多くの中高生が地域に興味を持っていること。第2回のアイディア出しでも、たった数分で「実現しないのはもったいない!」と思えるアイディアがたくさん出ました。しかし「資金集めができなさそう」や「大人の人に協力を募るのが難しそう」などの理由から、最終的に今の自分では地域創生活動はハードルが高いという人もいました。中高生だからこそ斬新なアイディアを思い付けるかもしれませんが、経験が少ないため新しいプロジェクトを始めることのハードルが高すぎて、「自分たちなんかが考えたアイディアなんてきっと無理だ」という結論に至ってしまう人がほとんどだと思います。これまで私たちも多くの企画を立ち上げてきましたが、始める際は不安要素が大半で、起こり得るリスクに目がいくばかりでした。しかし、そんな不安だらけな私たちでも顧問の先生の「できるんじゃない?」というちょっとした一押しで「できるかも!」とそれまで全くなかった自信が一気に付き、これまで想像以上の結果を生み出すことができています。

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アイディアを出し合うSATのメンバー。

これは全国の中高生にも通じるものだと思います。その最後の一押しは身近な大人からの一言かもしれないし、協力してくれる友達の存在かもしれないし、はたまた自分たちと同世代の人が同じような活動をしている姿を見たからかもしれません。「中高生(若者)=地域に興味がない」と思われがちですが、蓋を開けてみると案外多くの人が地域と関わってみたいと思っています。ただ、実行に移せる勇気やきっかけを持てる人が少ないだけ。それも最後の一押しさえあれば解決できる問題かもしれません。これからSATも多くの中高生を後押しできるような存在になっていきたいと思っていますし、後押ししてくれるような大人の方々が増えることも願っています。また、jimoTALKが誰かにとって最後の一押しになっていればそれ以上に嬉しいことはありません。

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