ソーシャルでエシカルな関心をもつ人を惹きつける、街の中に広がる学びの場「ソーシャル系大学」。今回は、オンラインで2020年11月に開催された第6回「Community College Backstage (CCB vol.6@ONLINE)」を取り上げる。明治学院大学で予定されていたこの集まりもオンラインでの開催となったものの、全国からソーシャル系大学に関心をもつ人たちが集まった。8時間にわたるノンストップのイベントを振り返りたい。
自宅から、畑から参加するみなさんと久しぶりに語り合った、あっという間の一日。
6回目のCCBは、明治学院大学のほか、『こすぎの大学』と『柏まちなかカレッジ』が主催した。午前中は『柏まちなかカレッジ』学長の山下洋輔氏のナビゲートのもと、「学問としてのソーシャル系大学」と題し、市民大学の歴史を振り返るとともに、広島修道大学の山川肖美氏による「ソーシャル系大学とリアル大学の協働」の報告があった。
協働先である『ひろしまジン大学』学長の平尾順平氏も、立ち上げから10年ほどたち、地域にある意味を大学生と一緒に考えたいと参加を決め、学生たちと「まちを伝えるプロジェクト」、「行政の仕事×大学生の事情」といった講座を実現してきたという。
その後は、参加した15校がそれぞれの「新しい日常」を報告し合った。オンラインでラジオ体操を続けた『京都カラスマ大学』、基本に戻り、学び方を学ぶ講座を始めた『2畳大学』、対面授業を停止しながらも、新たな動きが見られた『神戸モトマチ大学』、展覧会やマーケットをマイペースで続ける『まいづるご近所大学』、オンライン勉強会や映画の会が反響を呼んだ『綾部里山交流大学』、オンライン公民館が話題の『みんなの尼崎大学』、長い活動停止を余儀なくされ、やっと活動を再開したという『奈良ひとまち大学』、YouTube講座が人気だった『信州アルプス大学』、中学生の講座をオンラインで実施したという『交野おりひめ大学』、神奈川全域に向けてオンラインの講座を試行した『かながわコミュニティカレッジ』、大学院生が地域に溶け込み、オン・オフに活動する『柏の葉サイエンスエデュケーションラボ』、遠方からのゲストによるハイブリッド講座にトライする『土佐志民大学』、広域にわたる市内の人がオンラインで思いがけず交流できた設立2年目の『ながはまコミュニティカレッジ』など、各地での奮闘ぶりが窺える。
午後は、主催者チームの岡本克彦氏、大坂亮志氏、福島毅氏、柳澤久恵氏とともに、コミュニティカレッジとはどのような場なのかを考えるパネルトークが行われた。「型にはまった学校での学びを原形としてもつ大人たちが、その枠からどれだけ自由になれるのかを考えているようなところがある」「地域についてよく知っているつもりでいたけれども、まだまだ井の中の蛙だったと思うくらい、新しい出会いがある」「運営側であっても、参加するたびにまちがもっと楽しくなる」という言葉がどれも印象的だった。
その後、坂口ゼミの学生たちによる「大学生と考えるコミュニティカレッジの謎」のコーナーを通して、ソーシャル系大学は「肩書をおろして話せる場」「仕事帰りに寄れる場」「今までと違うことをやってみて、新しいことを思いつく場」という言葉が交わされた。誰かが灯した明かりに惹かれて、関心を拠りどころに大人たちが三々五々集まってくる。これはまるで冬の日の「たき火」なのでは、という仮説も飛び出した。
自宅の小さなデスクから、リビングで子どもたちと一緒に、あるいは霧雨の降りしきる畑から参加するみなさんと久しぶりに語り合った、あっという間の一日だった。