ありえないポテサラ。
今回紹介するリトルプレスは、ポテトサラダをモチーフにしたビジュアルブック『ポテサラに○○○を入れるな』。
サラダで一番人気があると思われるポテトサラダは、僕も大好きなサラダ。シーザーサラダやコールスローサラダ、オイル&ビネガーで食べるサラダもおいしくて、どれを選ぶかといわれると悩んでしまいそう。
『ポテサラに○○○を入れるな』の○○○に何かを入れるとすると、時々論争になる「リンゴ」。酢豚の「パイン」と共に、常識、非常識の問題にまでなることも。
ジャガイモ自体が好きなので、僕自身は「みかん」が入っていても、「レーズン」が入っていてもありかなと、なんとなくおいしく食べてしまう。
「ニンジン」は欠かせないけど、「タマネギ」や「ハム」はどうなのか? 僕が一番入ってほしくないものは「キュウリ」だが、ポテトサラダには欠かせないらしい。
なによりも「グリーンピース」が入っているとおいしさが倍増する。もちろん、これも人それぞれ。
『ポテサラに○○○を入れるな』には、ポテサラに足を生やした写真、メロンソーダのアイスの代わりにポテトサラダ。卵の白身をポテサラに入れ替え、ジャガイモでスピーカーをつくり、ポテサラで縁取る。
カセットテープのテープをポテサラに、ポテトのローラーでポテサラを塗る。ジグソーパズルの1ピースがポテサラ、アイスバーならぬ、ポテサラバー……。すべてのページに、見たことがないポテトサラダが登場する。
ジャガイモは、南米が原産とされ、日本でジャガイモが本格的に栽培されるようになったのは明治時代。北海道開拓における農産物として導入され、ポテトサラダも国民食のように各地に広がっていった。
カラフルな背景に、ありえない状況に置かれて、新たな形になったポテトサラダを、楽しむことができるのか。
『ポテサラに○○○を入れるな』のグラフィカルな誌面を楽しむことができれば、ポテトサラダの中に何が入っていても、「リンゴ」でも「みかん」でも「レーズン」や「キュウリ」でも、おいしくいただくことができるのではないかと思った。
『ポテサラに○○○を入れるな』制作者から一言
グラフィックデザインを生業にしていますが、この本はデザインでもアートでもないと思っています。いい歳をした大人たちが初めてバンドを組んだ気分で「表現すること」を楽しみながらつくりました。愉快な音楽を聴くように、読んで楽しい気持ちになっていただければ光栄です。
今月のおすすめリトルプレス
『ポテサラに○○○を入れるな』
ポテトサラダをモチーフにしたビジュアルブック。
発行:RISSI INC.
企画・デザイン:神波 豪
写真:ヨシダダイスケ
2019年11月発行 182mm×242ミリ(48ページ)、550円