二宮あみさんが選ぶ、SDGsと地球環境に触れる本5冊
そんな活動のなかで出合ったのが、ヨーガン・レールの『On the Beach 1』です。自身が暮らしていた石垣島の浜辺で拾ったゴミからつくったランプシェード作品の数々を写真で紹介しつつ、ゴミで覆われた浜辺の風景の写真も掲載されています。
心が揺さぶられました。と同時に、もやもやしたなにかが残りました。もやもやの正体は、「美しいのにゴミ」という矛盾でしょうか。浜辺にゴミは落ちていないほうがいい。けれど、拾われてアップサイクルされたランプシェードはこんなにも美しいのか。この複雑な感情が、もやもやとなって心の底に”沈殿“したのだと思います。
でも実は、このもやもやが大切なのです。もやもやの正体は何なのだろうと、考えるきっかけになるからです。そして、アートにはその力があることを、私は『On The Beach 1』から感じ取りました。この本を読んで、あるいは見て、心にもやもやが沈殿してきたら、その正体を探ってみてください。環境問題への意識が変わるかもしれません。
もう一冊は、『アミ 小さな宇宙人』です。ペドゥリートという男の子が、地球にやってきた宇宙人・アミと星々を訪ねる物語。この本を読むまで、私はゴミ拾いをしている自分を素直に発信することができませんでした。「いい子ぶってる」と思われるのが嫌だったのかもしれません。自分のなかにある善意ややさしい気持ちとうまく向き合えなかったのです。環境への意識が高くすぐ行動に移せる人たちはそれができるのかもしれませんが、私を含む「普通の人」には難しいこと。
でも、『アミ 小さな宇宙人』を読んだらそういう気持ちがなくなり、善意ややさしい気持ちを隠したりせず、素直に発信できるようになりました。ゴミ拾いの活動に自信が持てるようになったのです。アミが示してくれるのは、やさしい世界。ネガティブではなく、ポジティブなものの見方。誰かのせいにしたり、誰かを攻撃したりするよりも、「だったらこうしようよ」と人や物事のいい面を見つけ、応援することで世界を変えていこうと思わせてくれます。ぜひ、読んでみてください。