『ゼロ・ウェイスト・ジャパン』代表理事|坂野

『ゼロ・ウェイスト・ジャパン』代表理事|坂野 晶さんが選ぶ、SDGsと地球環境に触れる本5冊

国内外におけるゼロ・ウェイスト普及に尽力する坂野晶さん。従来のリサイクルを中心にした「ごみにしない」モデルに加え、「ごみを生み出さない」モデルをグローバルスタンダードにすることを目指す、坂野さんおすすめの本を紹介。

坂野 晶さんが選ぶ、SDGsと地球環境に触れる本5冊

(左上から時計回りに)2.『ギフトエコノミー ─買わない暮らしのつくり方』/1.『2050年は江戸時代 ─衝撃のシミュレーション』/3.『正しい暮し方読本』/4.『リユース革命 ─「使わない」モノは「今すぐ」売りなさい』/5.『ゴミポリシー ─燃やさないごみ政策「ゼロ・ ウェイスト」ハンドブック』 

 2020年4月から、『ゼロ・ウェイスト・ジャパン』として活動をはじめました。ゼロ・ウェイストとは、ごみ自体を出さない社会を目指す活動のことで、先進地である徳島県・上勝町での経験と知見を活かし、地域や組織と連携しながら、その土地や規模などに合ったモデルを開拓・構築することで、社会全体のゼロ・ウェイスト化を進めていきたいと思っています。

 今、世界的に、ドラスティックに物事が変化しています。それに伴い、制度や、みなさんの関心も大きく変わってきているという印象も受けますが、一方で、流行りになってしまったら意味がない。ゼロ・ウェイストだけでなくSDGsも同じ。これが本当にしっかりと根付くかどうか、ここ数年の取り組み次第だと感じています。

 資源をテーマにということで、まずは、『2050年は江戸時代─衝撃のシミュレーション』を。1998年に出版された本なのですが、2050年は江戸時代のような自給自足の生活をしていると仮定し、その時代の人たちが「祖先はなぜこんなに無駄にしていたんだろう」と、現在の暮らしを過去として振り返りつつ、未来の暮らしを紹介している小説です。昔、ゴミとして捨てていたようなモノをサルベージして使い直すことで、「そもそも資源ってなに?」という問いを立ててくれたり、エネルギーを含めた自給自足が当たり前になった未来の世界が、実は自然と共存していた江戸時代と似ていて、それがいかに豊かさにあふれているか、といったことに気づかせてくれます。今の社会のあり方を過去と未来の錯綜したおもしろい視点から、改めて考え直すのによい一冊だと思います。

 『ギフトエコノミー─買わない暮らしのつくり方』は、お金だけに頼らず、いろいろな「モノの交換」という価値交換に立脚して、すべてのモノが資源であり、そのモノが動くこと自体の価値をしっかり捉えていこうという本。とはいえ、資本主義を完全否定したものではなく、「買うこと」や「新品」が「すべての価値」だったところから、ちょっとずつ脱していったほうがいいのではないか、という考え方も提案しています。「買わない暮らし」のために、個人でできるようなアクションも推奨しているので、辞書のようにも使えます。資源とはなにか、ゼロ・ウェイストへのステップを考えていくうえで、ちょっと拡大解釈かもしれませんが、複雑な課題を多角的に捉え理想を考えてみよう、という意味ではすごくいい内容です。

坂野 晶(さかの・あきら)●兵庫県西宮市生まれ。絶滅危惧種の世界最大のオウム「カカポ」をきっかけに環境問題に関心を持つ。廃棄物政策を担うNPO法人『ゼロ・ウェイストアカデミー』元・理事長。2020年より一般社団法人『ゼロ・ウェイスト・ジャパン』代表理事。

photographs by Yuichi Maruya text by Yuki Inui

記事は雑誌ソトコト2021年9月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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