社外の人も楽しめる社内報。
アメリカの絵本作家バージニア・リー・バートンの代表作といえば、日本では『ちいさいおうち』。一方、母国アメリカでもっとも人気があるといわれているのは『マイク・マリガンとスチーム・ショベル』。
当時、時代遅れになりつつあった蒸気機関を動力にするショベルカーが、紆余曲折の末、建築現場で大活躍する物語は、今でもアメリカの子どもたちに支持されている。その証拠に『ちいさいおうち』にも同じスチーム・ショベルが登場する。
ショベルカーは、動力を蒸気機関から油圧に変え、現在も解体工事など多くの建築現場で使われている。
そのショベルカーのアームの先に付くバケット(大きくて深い爪のあるスコップのようなもの)は、付け替えることによって現場の各種用途に対応できる。そのアタッチメント(商品名「ガジラ」など)の製造販売を手がける岡山市北区に本社を置く『タグチ工業』が発行する、社内だけでなく社外にも配布する社内報『ガジラ通信 vol. 11』が今回紹介するリトルプレス。
その前の号までは、アタッチメントや創業者、道具、宇宙などを特集してきたが、11号の特集は「で〜れぇ〜ガールズ」。『タグチ工業』を支える女子社員が登場する。ちなみに「で〜れぇ〜」は岡山弁で「すごい」とか「とっても」という意味。
誌面では「で〜れぇ〜ガールズによるマイフェイバリット・ランキング」が紹介される。
自社製品アタッチメントの1位は、やっぱりタグチの定番ということで「グラスパーV3」。2位は、アヒルっぽく見えるところから「ガジラ小割機」。4位は、ゾウの足みたいでかわいいと「マグ・ゴン」。
「マグ・ゴン」のマグネットが選ばれているのは、オリジナルグッズのランキング。ほかにも「で〜れぇガールズ」が選んだ近くにあるコンビニのおやつや、オススメ店メニュー、ガジランドキャラクターのランキングもある。
「TAGUCHiで働く女子の実態」「お仕事内容教えて下さい!」「まだまだガールズ」「妄想星占い」も掲載され、カラフルに誌面が彩られている。
二十数年前、僕も同じような業界(建築業界)で働いていたが、社内報はもちろん、広報誌にも、彼女たちの仕事がこれだけ注目され、大きく紹介されることはなかった。
冒頭に紹介した『マイク・マリガンとスチーム・ショベル』で大活躍するショベルカーの名前は、メリー・アン。
男性、女性、年齢に関係なく、人々が活躍できる社会を望んでいるのは、作者のバージニアだけでなく、今を生きている僕たちだ。
『ガジラ通信 vol.11』編集人より一言
2015年、200名近い全国各地の社員と社内情報を共有するものが必要でした。社員が読んで楽しい冊子をとことん追求して制作した第1号。「これ、社外にも配布してもおもしろいんじゃ?」という編集部員の鶴の一声で、第1号から部数倍倍増、フリーペーパーに。以来、「社外の人ものぞいて楽しい社内報」として発行しています。
今月のおすすめリトルプレス
『ガジラ通信 vol.11』
建設機械アタッチメントを製造販売する『タグチ工業』が発行する社内報。
編集:TAGUCHi経営企画室
表紙撮影:若林邦治 デザイン:chica 長谷智史・祥子
2018年3月発行、250×186ミリ(16ページ)、フリーペーパー