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サスティナビリティ

編集者/小誌編集長|指出一正が選ぶ、道の駅をつくる本5冊

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ペットを指す言葉には、家族や伴侶という意味合いの強い「コンパニオンアニマル」という呼称がある。これまでの経験の中で、家族のあり方の変化には、そんな動物たちが深く関わるようになったと感じている指出。その変化に対応する道の駅が増えてほしいと語る。

指出一正が選ぶ、道の駅をつくる本5冊

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(左上から時計回りに)1.『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』/2.『化け猫あんずちゃん』/3.『続 家族のあしあと』/4.『リボン』/5.『銀牙 ─流れ星 銀』 
 物心ついたときから僕のまわりにはさまざまな動物がいて、実家にはクジャク、チャボ、犬などがいました。犬はとくに家族でかわいがっていて、犬と暮らすことは僕にとっての原体験でもあります。昨年の1月には、保護犬団体からフレンチブルドッグの「朔」を迎えました。
 コロナ禍の中では、朔がいてくれたことに助けられました。人と人の間に生き物がいるとギスギスした気持ちがなくなるし、朔が真ん中にいることで家族のつながりを再確認できる気がしました。朔は間違いなく家族の一員で、息子は朔のことを兄妹だと言っています。

 僕たちは家族のありようが変化している時代に生きています。家族はいちばん小さな社会の単位。家族のあり方が変われば、そこからまちが変わっていくこともあるでしょう。
 だからこそ、家族の変化というものを見つめるのは大切です。最近は僕たちのように、人間以外のメンバーも家族に含める人が多くなってきたように思います。かけがえのない存在としての生き物と人間の関係が、社会の基盤をつくるうえで参考となり、応用されていくことが、これからは重要になっていくはずです。

 家族で車で出かけるときは、朔も当然一緒です。最近の道の駅は犬同伴で入れる休憩スペースがあったり、ドッグランが併設されていたりするところもあり、家族としては非常にうれしいです。道の駅が、家族としての犬や生き物のことを考え始めてくれたのでしょう。これもひとつのウェルビーイングです。犬に限らず、そういう新しい家族の形を見据えた道の駅づくりはさらに広がってほしいですね。そんな道の駅をつくろうとするのであれば、人間以外の生き物のための設備を充実させることで、結果的に人間のウェルビーイングの度合いも高まっていくでしょう。

 今回ご紹介するのは、僕の考える「人間と動物の関係性」を捉えた本で、『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』は、猫と少女の交流の物語です。万城目学さんの人を幸せにする文章の運びが好きで、この作品でも優しい気持ちになれました。
『化け猫あんずちゃん』は長生きしているうちに化け猫になってしまったお寺の猫の話。村の人たちはあんずちゃんを怖がるわけでもなく、そこに普通にいる人間と対等なものとして一緒にお互いに困ったり喜んだりします。バイトでお給料をもらったり、マイペースでおもしろいんです。人間と動物の関係のひとつの答えだとしみじみ思っています。

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さしで・かずまさ●小誌編集長。1969年、群馬県高崎市出身。上智大学を卒業後、編集者に。趣味はフライフィッシングで、好きな魚はイワナとタナゴ。2020年1月に保護犬だったメスのフレンチブルドッグを家族に迎え入れるが、本人にはあまり懐いていない。
photographs by Yuichi Maruya text by Sumika Hayakawa
記事は雑誌ソトコト2021年11月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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