石井康雄さんが選ぶ、道の駅をつくる本5冊
これは、僕が常にカバンに入れて持ち歩いている『自己信頼』の一節。
実は、僕はもともとあまり本が好きではありませんでした。なぜなら、本は“先生”のような存在だと感じていて、本の知識に縛られると、自由な成長が阻害されるように思っていたからです。実際、プロボクサーだった頃も、トレーナーの指示に縛られず、自ら試行錯誤をしながらトレーニングをしたほうが大きく成長できると実感した経験があります。
その一方で、ボクサー引退後に飲食業界に入って経験を積み、コーヒーの奥深さに魅了されて現在の仕事にたどり着くまでに、「餅は餅屋」という言葉に深く共感するようになりました。そうした中で出合ったのが、この一節です。
独立して10年目を迎え、本当にやりたい仕事に打ち込めて充実している今、この一節を読み返すと、もっと力が湧いてくるような感覚があり、僕のメンタルの栄養になっています。ただ、元気がないときに、この一節を読むと、怒られているような気がして、もっと落ち込んでしまうんですよね(笑)。そういう意味では、この一節は、常にあるべき姿を示してくれる、理想の“先生”のような存在なのかもしれません。
『40歳から食べてはいけない病気になる食べもの』は、僕のフィジカルの栄養に関わる一冊です。おいしいコーヒーを焙煎し、淹れるにも、その味や香りを楽しむにも、心身の健康が重要。僕は3年前からヴィーガンとグルテンフリーを実践していて、食べ物には気を配っています。
その中で、この本には、僕たちのとても身近にある「白糖・白米・白い小麦粉」の栄養についての指摘や、これらの食品が多用されるようになった経緯が書かれていて、自分自身の食生活を、より詳細に見直すきっかけになりました。
本の中では、白糖・白米・白い小麦粉を「白い悪魔の三兄弟」と表現していたり、少し過激な部分もありますが、僕自身はそういった食品を否定するつもりはまったくなく、自分の生活や仕事の質をさらに高めたいという思いで参考にしています。
最後に、今回のテーマが「道の駅」ということで、もし僕が道の駅をつくるとしたら、テーマは“気づき”ですね。おいしいコーヒーを提供するのは当然で、オーガニックの食事などを通じて、健康だったり、人生の質を高める“気づき”を提供する場をつくってみたいと思いました。