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『アットホームサポーターズ』代表取締役/「狩猟とサウナ」実行委員|保坂幸德さんが選ぶ、道の駅をつくる本5冊

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地域と共に、個性豊かなにぎわいの場をつくり上げるには? そんな疑問の答えとなる本を、関東で最も人口が少ない村・丹波山村で「狩猟とサウナ」という人気イベントを企画、開催している保坂幸德さんに聞いてきました。

保坂幸德さんが選ぶ、道の駅をつくる本5冊

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(左上から時計回りに)2.『「相対性理論」を楽しむ本 ─よくわかるアインシュタインの不思議な世界』/1.『「原因」と「結果」の法則』/3.『武士道』/4.『丹波山村誌』/5.『エゾシカを食卓へ ─ヨーロッパに学ぶシカ類の有効活用』 
 東京で働いていた時のことです。2011年の東日本大震災の直後、多くのスタッフが地域や親族のために帰郷する姿を見て、私も有事の時はすぐに、地元の山梨県甲府市に駆けつけようと思いました。しかし「果たして急に帰って、自分の仕事や生活も安定しない中で何ができるのか」という疑問が浮かび「それなら今のうちに地元に帰ろう」と考えました。山梨県について調べる中で鹿の被害が多いことを知り、ジビエにまつわる事業を模索。その過程で狩猟文化が盛んな丹波山村と出合い、移住しました。今は私が村内で立ち上げた会社を通じ、鹿肉の加工販売やイベントによる地域創生に取り組んでいます。狩猟文化に触れつつ、鹿肉とテントサウナを楽しむイベント「狩猟とサウナ」は2019年にスタートし、延べ2000人以上が参加してくれました。また、丹波山村にある道の駅でも本イベントを開催しました。

 そんな私の思考の根本にある本は「義」「仁」「礼」といった、考え方の礎となる書籍『武士道』で、事業やイベントを行ううえでの考え方は『原因と結果の法則』から学びました。何かがうまくいかない時、私たちは周りに原因を求めがちですが、そうではなく自分の中にある原因を冷静に分析しないと先に進めない、ということが書かれています。企画段階では、面倒なことが降り注ぐこともあります。でも、それは自分が「やりたい」と動き出したからこそ起こっていることです。それを受け止め、あきらめずに取り組み続ける。そうすれば仲間も増えるし、共感の論が広がっていくと思います。

「狩猟とサウナ」を開催するまでには、反対意見もありました。その時に思い出し、自分の行動の指針にしたのが『相対性理論を楽しむ本』です。これは物理がテーマですが、他者の理解のきっかけになりました。特に、光を介した見え方を例に「置かれた場所によって見え方が違う」と説明している箇所には、世の中も同じだと共感。意見が合わないと、自分の意見や見方を相手に強要してしまいがちですが、それでは相手は動きません。時間の感覚や仕事の流れ、ものの見方は人それぞれ。だから、イベントを企画する時は地元の人たちと同じ目線に立ったうえで、提案をする必要があります。同じスタンスで動き、成果を見せないと、地域のコミュニティは納得しないです。地元の人と共に行動し、共に結果を出すことを大切にしながら、今後も活動を続けていきたいです。

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ほさか・ゆきのり●山梨県甲府市出身。東京での会社員生活を経て、2017年に山梨県の丹波山村の地域おこし協力隊隊員に。現在は丹波山村で狩猟をベースとした事業と、さまざまな自治体に向けたテントサウナのリースやイベントの企画・運営を行っている。
photographs by Yuichi Maruya text by Miho Soga
記事は雑誌ソトコト2021年11月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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