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特集 | かっこいい農業 これからの日本らしい農業のあり方 !

『ポケットマルシェ』代表取締役/『東北食べる通信』創刊編集長/『日本食べる通信リーグ』代表|高橋博之さんが選ぶ、「農度」を高める本5冊

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全国の生産者と消費者を直接つなぐ産直サービス「ポケットマルシェ」をはじめ、これからの流通の形を提案し続けている高橋博之さん。生産者と消費者のどちらにも読んでもらいたい、流通の未来を覗くような5冊を紹介。

『ポケットマルシェ』代表取締役/『東北食べる通信』創刊編集長/『日本食べる通信リーグ』代表|高橋博之さんが選ぶ、「農度」を高める本5冊

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(左上から時計回りに)2.『日本の食と農の未来 ─「持続可能な食卓」を考える』/1.『ゆっくり、いそげ ─カフェからはじめる人を手段化しない経済』/3.『食べること考えること』/4.『生命と食』/5.『宅配がなくなる日 ─同時性解消の社会論』 
『東北食べる通信』や『ポケットマルシェ』などを通じて、十数年にわたり生産者と消費者の顔が見える、関係を育む流通を実践してきました。これがこれからの流通のあるべき姿だと思っているからです。それはなぜなのか。今回はその理由がわかったり、理解が深まったりするような本を選びました。

 まず、今の一般的な流通の市場は、生産する側から見たとき、顔が見えない不特定多数のお客さんたちがいるところになります。そこは価格競争の世界であり、コスト削減でしか勝負になりにくい世界です。反対に思いやこだわりのある生産者もいて、考えに共感したお客さんが買ってくれるわけですが、その絶対数が少なすぎて食べていけないというのが、これまでのパターンでした。『ゆっくり、いそげ─カフェからはじめる人を手段化しない経済』の中で著者の影山知明さんは、「顔が見えない不特定多数の市場」と、「顔が見える特定少数の市場」の間に、「顔が見える特定多数の市場」があるんじゃないかと言っていて、ご自身がオーナーのカフェ『クルミドコーヒー』で実現させています。

「顔が見える特定多数の世界」で重要なのは、お客さんに一人の人間として向き合い、手間と時間をかけること。影山さんの言葉を借りれば、消費者には、「消費者的人格」と、「受贈者的な人格」があり、前者は安売りなどに弱く、後者は買ったもの以上のものがプラスされると何かの形で返したくなります。これは第一次産業の世界でも同じ。つくるものが良質であるのはもちろんですが、生産者からちょっとした手紙やおまけの商品が入っていたら、お客さんはその気持ちを返そうとして、リピーターになったり、知り合いに紹介したくなったりするわけです。これを僕は、「真心マーケティング」と言っています。『食べる通信』や『ポケットマルシェ』を通じて、日本中の生産者と出会ってきましたが、コスト削減に走らずに少量多品種でやっていける農家さんは、そういういい関係をお客さんとつくれています。

 こうした考えを具体的に農業に当てはめているのが『日本の食と農の未来─「持続可能な食卓」を考える』です。この本では、日本の食料自給率の問題や、これまでの流通の変化を伝えながら生産と消費がつながることが必要だと説いています。生産者と消費者の良質な人間関係がさまざまなところで生まれること。それが、最終的に流通業界全体を変えていくことにつながるのだと思います。

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たかはし・ひろゆき●2013年に『東北開墾』を立ち上げ、『東北食べる通信』初代編集長に就任。14年『日本食べる通信リーグ』を創設。16年に全国の生産者と消費者を直接つなぐ『ポケットマルシェ』をリリース。著書に『都市と地方をかきまぜる』など。
photographs by Yuichi Maruya text by Ikumi Tsubone
記事は雑誌ソトコト2022年1月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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