「再エネ(太陽光)×空き家」を使った地域づくり・場づくりの先進的事例

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環境省『再エネスタート』

2022.03.03

少子高齢化や人口減少などが原因となり、日本全国で年々深刻化している「空き家問題」。神奈川県の『株式会社Solar Crew(以下、ソーラークルー)』では、空き家に再エネ(太陽光発電)を組み合わせることで、防災や地域コミュニティの活性化につなげる、ユニークな取り組みを進めています。

空き家と再エネで地域課題に光を灯す『ソーラークルー』の活動

神奈川県内に複数の拠点を展開しているソーラークルーは、地域に点在し、地域の困りごとになりがちな「空き家」を借り上げ、コミュニティメンバーがDIYでリフォームすることで、太陽光発電や防災設備を備えた拠点に再生させる取り組みを進めています。

再生させた拠点は、平常時は町内会館的なコミュニティスペースとして地域住民やコミュニティメンバーが利用する「つながりの場」となり、災害時には防災拠点としての機能を発揮。この新たな「つながりの場」が、地域課題を解決する「地域循環共生圏の拠点」になっています。

こうしたSDGsゴール11「住み続けられるまちづくりを」の達成を目指す取り組みは、「空き家×太陽光発電から始まる地域循環共生圏」として、環境省の第8回グッドライフアワードも受賞しました。

地域住民やコミュニティメンバーと協力して空き家をリフォーム。被災時に活躍するシェルターや太陽光発電の設置も同時に進める。

ソーラークルーが生まれた背景とは? 太陽光の技術と空き家の有効活用

横浜市磯子区にあるコミュニティハウス「Yワイひろば」。空き家をリノベーションするのと同時に、災害時にシェアできる太陽光発電装置も備え付けている。

ソーラークルーのCOO・河原さんは建設業を営むなかで、地域で深刻化し、2033年には空き家率が全国で30%を超えると予想されている空き家問題に着目。景観的、衛生的な問題だけでなく、イタズラや犯罪に使用されるケースがあり、災害時には倒壊や火災の恐れもある空き家問題を解決したいという想いを強めていきました。

ソーラークルーCOOの河原勇輝さん。これまでの経験で培った太陽光エネルギーのノウハウを空き家活用に生かしながら、地域循環共生圏を創出する事業を営む。

また、河原さんは、災害時に支援のために被災地へ足を運ぶこともあり、そこで目にした過酷な生活環境に衝撃を受け、災害への備えとして必要になる“避難先”に対する課題意識を持ちました。

こうした中で、長い時間をかけて空き家問題と避難所問題を解決する策を探し、これらの課題を解決する策として立ち上げたのがソーラークルーです。

空き家の活用をとおして消費者に広がる太陽光エネルギーのおもしろさ

ソーラークルーは、借り上げた空き家を活用して、太陽光発電や防災などへの理解を深めるとともに、地域コミュニティを活性化する様々な取り組みを実施しています。

地域の人と空き家をリノベーション。太陽光発電と防災シェルターの設置

空き家を活用したコミュニティハウス「Yワイひろば」の一室。太陽光の配電装置は、防災シェルターとしてリノベーションされた部屋の中に設置される。

空き家を活用したDIYワークショップでは、壁やキッチンなどの解体、床や壁の張り替え、太陽光発電設備の組み立て、防災シェルターの設置などを体験できます。

太陽光のABCを遊びで理解するワークショップ~ソーラーバッタづくり~

ワークショップで提供している、子どもたちに人気のソーラーエネルギーで動くバッタのキット。

子どもたち向けに、太陽光発電の仕組みを遊びながら学べる取り組みとして、太陽光を浴びるとブルブルと動きだす「ソーラーバッタ」づくりを実施。空き家だけでなく、地域のイベントやお祭りでもワークショップを実施して、広く太陽光発電の啓蒙活動を推進しています。

災害時に役立つ電力配給システム~ソーラーデスクづくり~

ソーラーパネルを天板にしたデスクを組み立てるワークショップ。

空き家の中には、老朽化によって屋根にソーラーパネルを設置できないところもあります。そうしたところでは、中古のソーラーパネルを机の天板として再利用した「ソーラーデスク」で、災害時の電力供給に対応。ソーラーデスクづくりもワークショップとして体験可能です。

再エネを備えた防災拠点型コミュニティスペースが地域にもたらしたメリット

Yワイひろばの1F オープンスペース。室内に置かれている備品の中には、地域の方から寄付されたものも。

横浜市磯子区にある「Yワイひろば」は、ソーラークルーが空き家を借り上げてリフォームした拠点の一つです。

Yワイひろばの中には、地域や環境との積極的な関わり・つながりを感じさせる備品がたくさん。

ここでは、1階はオープンスペースとして地域住民に無償で開放し、2階の個室はレンタルオフィスとして貸し出す事業を展開。1階のオープンスペースは、“町内会館”のように利用され、地域の交流の場になっているほか、2階の個室利用者には1階のオープンスペースで定期的にイベントを実施してもらい、地域住民とのつながりを創出しています。

そして、屋根の上に設置されたソーラーパネルで発電した電力は1階に設置された防災シェルターへと配電され、災害時には地域の方々がスマートフォンなどの充電に利用することができます。

地域の問題を一緒に解決することが、再エネや防災への意識向上につながる

空きやリフォームのワークショップの様子。大人だけでなく子どもも参加できる。

ソーラークルーの空き家を活用した拠点は、地域の人たち自らが「つくる」ことで、地域のつながりやコミュニティへの愛着を醸成するだけでなく、再エネや防災への意識向上にもつながります。

また、ソーラークルーは、ワークショップの参加者や拠点の利用者からの声を大切にし、「この街、この地域の持続可能性」を地域の人たちと語り合う中で、再エネの必要性などを共有。地域の声を反映し、暮らしに溶け込むボトムアップ型の仕掛けにこだわっています。

地域で再エネを導入する意義と、ソーラークルーの今後の展望

地域の共有施設に再エネを導入することは防災に直結しますが、ソーラークルーの取り組みはそれだけにとどまりません。空き家のDIYリノベーション体験を通じて、地域の課題解決、活性化、つながりの強化などを実現し、真に強固で持続可能なコミュニティづくりに寄与するものと言えるでしょう。

現在、ソーラークルーは、元箱根、横浜市中区、真鶴などに拠点を持っていますが、神奈川県以外の地域からの相談も増えていることから、今後は幅広い地域で、太陽光発電も取り入れながら、空き家再生を通じたコミュニティづくりを実践するとともに、ソーラークルーの会員向けに各拠点を「二拠点生活」の基盤として整備することも検討しています。

取材:ソトコトオンライン編集部 文:小林ぴじお 写真:高岡 弘
ワークショップ画像提供:株式会社Solar Crew