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サスティナビリティ

特集 | まちをワクワクさせるローカルプロジェクト

『株式会社eumo』代表取締役/「ソーシャルベンチャー活動支援者会議(SVC)」会長|新井和宏さんが選ぶ、ローカルプロジェクトのアイデア本5冊

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お金(金融)は範囲の広いジャンル。ローカルプロジェクトでお金が必要なときにも多様な調達方法がある。ここではお金を集めるためのさまざまな「分野」がわかる5冊を紹介。「おもしろいかどうか以上に、新しい視点づくりのために読んでほしい」と新井さん。

2019年に『SMO南小国』に入社し、地域での起業や新規事業の支援を行う「未来づくり事業部」が立ち上げられ、責任者に任じられました。私一人の部署だったので「チームをつくらねば」と必死になっていたときに読んだのが、『君に友だちはいらない』でした。
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(左上から)1.『なめらかなお金がめぐる社会。─あるいは、なぜあなたは小さな経済圏で生きるべきなのか、ということ。』/2.『人間主義的経営』/3.「社会を変える」お金の使い方─投票としての寄付 投資としての寄付/4.捨てられる銀行4─消えた銀行員 地域金融変革運動体/5.茶色のシマウマ、世界を変える─日本初の全寮制インターナショナル高校ISAKをつくった 小林りんの物語

新井和宏さんが選ぶ、ローカルプロジェクトのアイデア本5冊

ローカルプロジェクトで資金調達を考えたとき、クラウドファンディングを考える人も多いでしょう。『なめらかなお金がめぐる社会。』はクラウドファンディングそのものの生い立ちや、著者がどんな思いでシステムを立ち上げたのかを背景として理解しておいてほしいと選びました。なぜゼロから立ち上げたのか、その先に今のクラウドファンディングがあると押さえていただきたいです。

『人間主義的経営』は、イタリアの小さなまちを一企業がインフラも含めて担っている事例です。まちそのものを持続させながら会社もきちんと上場させている。大きな企業が地域のために活動し、それを応援する人たちが株主になっている稀有な例で、そのあり方には学びがあります。このように運営できないことを言い訳をしてはいけないという、メッセージとしても発信したいですね。

『茶色のシマウマ、世界を変える』は、インターナショナルスクールを設立した小林りんさんの活動を追ったノンフィクションです。おもしろいのは、資金調達の方法にふるさと納税を利用していること。今は地域振興につながる事業の支援もふるさと納税に組み込んでもらえるんです。そのための手法の話はありませんが、ふるさと納税は返礼品ありきで考えがちな風潮がある中で興味深く、健全な例を出せているといえます。
 
最新刊ということで『捨てられる銀行4』を選びましたが、このシリーズはすべておすすめです。銀行が数字で測れる担保だけで融資を決めていた時代は変わりつつあります。ローカルプロジェクトで金融機関に打診したけれど断られて……と閉塞感を覚えた方には、イメージとは違う金融があることも感じていただけるのでは。金融機関側の目線でファンドレイジングの苦労が語られてもいますので、視点を増やすのにもいいでしょう。

『「社会を変える」お金の使い方』は、お金を集めるのが苦手で、よくないことだと思ってしまいがちな人にとくにおすすめしたいですね。寄付をたくさん受けられるのは「バリューがあるから」という前提に立ち、寄付を受ける組織を運営していくために必要なこと、どうやって寄付する、されることが理想なのかなどが書かれています。
 
今回挙げたものは分野のほんの一部です。今後は金融も多様化していきますので、固定化された頭にならず、金融に対する認識をアップデートしてもらえればと思います。

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あらい・かずひろ●1968年生まれ。東京理科大学卒。銀行での勤務などを経て、2008年に『鎌倉投信』を元・同僚と創業。2018年9月に退職後、『株式会社eumo(ユーモ)』を設立。著書は『投資は「きれいごと」で成功する』(ダイヤモンド社)など多数。
記事は雑誌ソトコト2022年3月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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