世界レベルで加速する脱炭素化や再生可能エネルギーの導入。最近、ニュースや新聞でよく聞かれるトレンドですが、一般消費者レベルでその潮流を肌で感じるシーンは、まだそれほど多くないかもしれません。今回は暮らしに欠かせない“住まい”や“まち”の視点から、再エネ化や脱炭素化の流れについて、大和ハウスグループの事例をもとに紹介します。
“家づくり”“まちづくり”の観点から求められるメーカー主体の脱炭素化・再エネ化・省エネ化の波
※1 SBT:パリ協定が求める水準に整合した、5~15年先の目標として企業が定めた温室効果ガス排出削減目標。
住宅・建設業界においても、先進的な脱炭素を推進することは大切な役割として認識されており、今回取材した大和ハウスグループも例外ではありません。同社が脱炭素への戦略的アプローチとして取り組んでいる「再エネ100%のまちづくり」は今後、私たちが暮らす住まいがどうあるべきか? の好例として示唆に富んだものです 。
なぜ進む? 再エネ100%のまちづくり 避けては通れない2つの世界的潮流
一つ目は、「気候変動の深刻化」。気象災害の頻発化・激甚化が進み、住まいの安全・安心が脅かされる状況では、マイホームの夢を描く人が減少していく可能性があります。
二つ目は、「脱炭素革命の加速」。近年、世界経済は脱炭素に舵を切っており、世界でビジネスを拡大するには、世界標準の取り組みが必須になります。
大和ハウスグループは、こうした潮流を捉え、2018年には住宅・建設業界として世界で初めてSBT、EP100、RE100の3つの国際イニシアティブに加盟するなど、世界標準の高い目標を掲げて、脱炭素を推進しているのです。
再エネ&省エネで進む「脱炭素を目指すまち」。 この10年で誕生した事例を紹介
高尾サクラシティ(2016年)
街全体でエネルギー利用の見える化を行っているほか、住宅-商業施設間のクールシェアサービスや、非常時に商業施設からマンションへの電力供給を実施します。
そして、戸建住宅街区では、全住戸3電池(太陽光発電、燃料電池、リチウムイオン蓄電池)と「D-HEMS」を導入。「D-HEMS」は、大和ハウス工業がスマートハウス向けに開発した「HEMS(Home Energy Management System)」で、住宅内の消費電力を「見える化」するほか、リチウムイオン蓄電池等の家電・設備機器の制御に対応しています。
スマ・エコ タウン陽だまりの丘(2014年)
再エネ100%の暮らしの最新事例。 船橋グランオアシスの場合
まちで使用する再エネ電気は、大和ハウスグループが全国で管理・運営する377か所※2の再⽣可能エネルギー発電所のうち、2018年10⽉より本格稼働した岐⾩県⾶騨市の「菅沼⽔⼒発電所」で発電した電気を中⼼に供給。大和ハウスグループが同発電所で発電した電気であることを証明する⾮化⽯証書(トラッキング付)を購⼊することで、再エネ電気のみを利⽤するまちづくりを実現しています。
※2 2021年3月末時点。
CO2削減効果としては、一般的な建物の排出量合計が2,935t-CO2/年とした場合、この船橋グランオアシスでのCO2排出量は751t-CO2/年(ガス使用に伴うCO2排出量)となり、74.4%の削減効果(商業施設は含まず)が期待されます。
こうしたCO2削減効果には、大和ハウスグループが培ってきた様々な省エネのノウハウも大きく貢献しています。
また、各戸にリアルタイムインジケーターを設置し、電⼒の利⽤状況を⾚・⻩・緑の⾊でリアルタイムに入居者に知らせます。表⽰と併せて、電力負荷に応じて変動料金となる仕組みを取り入れ、無理のない節電⾏動が電気代の削減に繋がるようになっています。
大和ハウスグループによると、「船橋グランオアシス」の住宅の電気料金は、大まかに、大手電力会社よりも安く、値段にこだわっている新電力会社と比較すると少し高い程度ということです。
これからどうなる? 再エネ・省エネ・脱炭素のまちづくり
近い将来、住まい探しや街選びでも、再エネ・省エネ・脱炭素が大切なキーワードになっていくと予想されます。今回紹介した事例から、再エネや省エネが“あたりまえ”になった暮らしをイメージしつつ、これからの住まいについて考えてみてはいかがでしょうか?
画像提供:大和ハウス工業株式会社