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サスティナビリティ

【AIイノベーションAWARD2022】  産学共創でAIによるイノベーション創出を目指すアワードが開幕。  Vol.1 AI企業セッション編

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立教大学・東京電機大学とNTTPCコミュニケーションズ、そしてAI企業のコラボレーションによって実現した「AIイノベーションアワード 2022」が、2022年2月7日より開催されました。

立教大学は、2020年にAIに特化した大学院としては国内初となる人工知能科学研究科を開設しました。社会人院生も多く在籍し、AIテクノロジーとリベラルアーツのクロスロードで多様な人材がコラボレーションを推進しています。

東京電機大学は、「技術で社会に貢献する人材の育成」をミッションに掲げ、AI・IoTをはじめとする先進技術の教育に力を入れています。グループディスカッション・グループワークを重視したカリキュラムにより、高い専門力を持ち、時代を先導できる人材を養成します。

実社会上のリアルな課題をAIで解決していくためには、机上での座学だけでなく、独創的なアイデアの検討~プログラミングを用いた具体化~スモールスタートでの検証というように、自ら主導的に仮説検証していくプロセスは必要不可欠です。

本アワードは、未来を担うAI人材である立教大学・東京電機大学の学生に向け、AIの社会実装 / ビジネス実装に関する実践的な「学びの場」を提供することを目的とし、今回初めて開催されました。

アワードは、①AI企業による学生向けセッション ②学生参加型のアイデア&プログラミングコンテスト の2部構成で行われています。
学生向けセッションは2月7日に開催され、4社のAIリーディングカンパニーより、今後のAI市場の動向や、AIをビジネス実装する上での最新手法が講演されました。
さらに、2月26日より3月21日の期間、最高賞金100万円を賭けたアイデア&プログラミングコンテストを開催。AI企業・大学から与えられた、実社会での課題解決に即したテーマに対し、学生たちはチーム単位でビジネスアイデアの提起やAIプログラミングに挑戦しています。
 
本記事はアワードレポート前編として、2/7に開催された4社のAI企業による学生向けセッションをレポートします。

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AIイノベーションアワード詳細はこちらhttps://www.nttpc.co.jp/innovationlab/event/ai_innovation_award_2022/
「AI最新技術動向」 
エヌビディア合同会社
Senior Manager, Developer Relations, Developer Programs 鈴木博文 氏
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近年、AIの活用領域はあらゆる産業に広がりを見せています。
サプライチェーンにおいては、アメリカの各地域の需要を予測して最適に商品が届く仕組みや、倉庫内での商品のピッキングルートの最適化、ロボットが自動で商品を顧客に配送するシステムなど、AIによる物流のインテリジェント化が進んでいます。

製造業・建設業においても、AIの目を活用することで、製造ラインにおける不良品検出はもちろん、ドローンを使って橋や建築物など外観検査を自動化することも可能となってきています。
最近のキーワードの一つとしてデジタルツインあるいはメタバースがあります。このデジタル空間でのコラボレーションやシミュレーションを実現するために、NVIDIAは「NVIDIA Omniverse」というプラットフォームを開発しリリースしました。このOmniverseは、デジタル空間上に構築された市街地で自動運転のためのAIを学習させ検証することや、BMWの工場のラインや人の動きをデジタル空間上でシミュレーションし最適化するための取り組みなどに使われています。

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さらに大規模な応用事例としては、地球のデジタルツインを構築する「Earth-2」システムによる気候シミュレーションのプロジェクトも始まっています。

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自然言語処理の領域でも、ここ数年AIを活用した研究開発がさらに加速しています。

例えば、2020年に登場した「GPT-3」は、人間が書いた文章と比較しても遜色がないほど高度な文章を生成できるようになってきています。昨年末には、このGPT-3よりもさらに多い5300億ものパラメータから成る自然言語生成モデル「Megatron-Turing Natural Language Generation(MT-NLG)」をマイクロソフトと共同で発表しました。この巨大なネットワークを十分なデータで学習をさせることで、より高度な自然言語処理が可能になると期待されます。

このように大規模化するモデルの学習を加速させるためにはGPUを搭載した高性能なコンピュータが欠かせません。実はスーパーコンピュータの世界ランキングの上位のシステムの多くはGPUを搭載しています。NVIDIA自身も第6位にランキングされている「NVIDIA Selene」を構築し、先ほどの自然言語処理モデルなどの研究開発などに活用しています。

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NVIDIAはハードウェア、GPUの会社と思われがちですが、社員の半分はソフトウエアエンジニアです。彼らがAIの研究開発を加速するためのソフトウェアに取り組んでおり、事前学習済みモデルも含め無償で利用できるものを数多く公開しています。これらを活用し、世界各国の250万人の開発者、7600以上のスタートアップがそれぞれの地域の課題解決に取り組んでいます。
この企画の参加者の方から、AIを活用した様々なプロジェクトが出てくることを期待しています。

「組織におけるAI /DX人材の重要性」
株式会社アイデミー
取締役執行役員 事業本部本部長兼Modeloy事業部部長 COO 河野英太郎 氏

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アイデミーという社名は、AIとアカデミーの造語から生まれました。創業者の石川は学生の時に起業しています。ただし、立ち上げた当初は事業が思うように進まず、会社を一旦休眠させて、再度大学に戻り、大学院で水資源の利活用の研究を行っていました。この研究室でAIについてリサーチしたときに、文献や資料が少なく苦労した経験が、今のAI人材を育成する事業を立ち上げるきっかけとなりました。

さて、ここでみなさんに考えていただきたいことがあります。

今、日本には上場企業が4000社弱存在しています。上場企業が中期経営計画を発表するとき、その計画にAIやDXという言葉が入っている企業はどれほどの割合でしょうか?
3年前は、800社ほどしかありませんでした。しかし今では、上場しているほとんどの企業の計画に入っています。
企業内部でAI活用やDXを進めていくには、まずは知識を付けなくてはなりません。つまり、専任のAIエンジニアだけがわかっていればよいわけではなく、一般の社員も知識をつける必要がある、ということです。

ただし現状では、DXに着手はしていて部分的な成果は上がっているものの、会社全体の取り組みになっていないという企業が非常に多いです。

DXを進めるには、少数の変化を起こす人たちだけではなく、いかに、大多数の社員を動かせるかにかかっていると言われています。この大多数の社員に火をつけるにあたり、私たちは大きく5つのカテゴリごとに人材育成のメニューを提供しています。それぞれに求められるスキルに合わせたり、人数、場所などの制限により、eラーニングや集合型、あるいは双方を組み合わせて育成をしていくことが、ひいては企業全体のAI活用やDX化を推進するために必要だと考えています。

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みなさんも将来、開発側、あるいは事業側でAI活用やDXを進める場合もあるでしょう。ぜひ、ひとりひとりが使命感を持って動いていただきたいと思います。
「スマートシティで描く未来」
ニューラルポケット株式会社 
CTO 佐々木 雄一氏  理事 一言 太郎氏 2名の対談形式

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佐々木氏 CTOの佐々木です。セルン(欧州合同原子核研究機関)、マッキンゼー、AIスタートアップを経て、今ニューラルポケットのCTOを務めています。

一言氏 僕は、東大の農学部を出てから、都市工学の環境の専門家として国土交通省で働いていました。去年からニューラルポケットにジョインしています。当社のミッションは「世界を便利に、人々を幸せに」というものですが、まずは佐々木さんに、これから成し遂げたい野望について、せっかくの機会なのでここで聞かせていただけますか。

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佐々木氏 僕は、小学校の頃から、人類の技術の時計の針を10年進めてやろうという野望を描いていました。ドラえもんが開発されるまで生きていられない可能性が高いし、自分でタイムマシンを作ってやろうと本気で考えていました。
大人になった今、「未来の社会をみてみたい」というのが僕の原動力になっています。

その中で、今「AI」は、人類変革のツールなんじゃないかと思うんです。100年後振り返ったときに、きっとそうなっているに違いないと。
一言さんが、ニューラルポケットに入ったきっかけは?

一言氏 私がもともといた国土交通省は、道路河川公園、空港鉄道、海上保安庁も管轄しています。役所は、動きは遅いものの、新しい技術の情報収集をしています。
私は都市公園を専門に扱っていました。みなさんも、公園からよく遊んでいた遊具がなくなったり、野球をしていた広場がなくなったなどの経験はありませんか?管理している行政側は、もっと便利に安全にと思ってやっているものの、実は実際その公園がどう使われているか知らないことも多いんです。街の実態を行政は捉えるべきだと考えたときに、ニューラルポケットが取り組んでいる「エッジ」による情報収集で行政がやりたいことが実現できると。

例えば、柏の葉スマートシティでの取り組み。街中で凶器を検知したときにアラートを発することができます。バット、拳銃、ノコギリ、ナイフなどを画像から判定しています。

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スマートシティで便利に、とよく言われるけれども、社会の成熟が進む中で、「幸福」という言葉は、多様なステークホルダーの視点で考えるべきものに変化してきています。行政、ディベロッパー側の管理側の利点だけではなく、暮らしている人々のためにスマートシティが何をしていくのかを議論する必要がありますね。

佐々木氏 あと、公共における申請もそうですね。文章も複雑だし、制度も複雑。コンシェルジュがその人にとって必要な情報を答えてくれたらいい。そんな、世の中に便利なものの開発を進めていきたいですね。「イシューを解くためのAIテクノロジー」というのが、僕の中でのキーワードです。ご質問がある方いらっしゃいましたらよろしくお願いします。

 
(学生より質問) 現在、プログラミングを勉強している大学1年生です。目標ややりたいことがなく、ただ楽しいという理由で情報系の勉強をしています。社会で働くことを考えると、他の方に比べて、目指すものがないので競争に勝つことが難しいと思います。何か改善できる点などはありますでしょうか?

佐々木氏 楽しむことが一番大事ですね。あとはいかに継続できるか、ということかなと。成長し続けるためのマインドセットが重要だと思います。

一言氏 僕も楽しむことが大切ということは同意ですね。あとは、自分の技術を生かしてくれる人とどう組んでいくか。強みを持った個人が集まって集団となり組織ができていきますから、今のやり方を続けて楽しみながら学んでいただくのがよいかと思います。

佐々木氏 ニーズに立脚して、AI技術で何ができるかを考えるというのが非常に大事だと思っています。逆算の発想ですよね。
例えばSDGsの観点から見ても、ニューラルポケットが展開する「AI MD」は、アパレル業界で発生していた服の廃棄を劇的に減らすことを実現しています。幸せとは、持続可能にも繋がりますね。ぜひみなさんには、おもしろがりながら技術を学び、課題を見つけてほしいと思います。

「画像解析AI導入の課題と解決アプローチ」
株式会社モルフォAIソリューションズ 
テクニカルリード 小川 クルズ ガブリエル 氏

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モルフォは2004年に設立された会社です。最初は、画像処理メイン事業としてスタートしましたが、今では画像処理だけでなくAI技術の研究開発も行っており、スマートフォン、PC、車載モビリティ、ファクトリーオートメーション、スマートシティなど、幅広い事業分野を展開しています。

さて、本セミナーの主題であるAI導入における課題については、大きく4点に分けられると考えています。
①コストとパフォーマンスのバランス
②学習データの収集
③利用者のAI知識レベル
④開発者の導入環境理解 の4つです。

まず、1つ目のコストとパフォーマンスのバランスですが、まず、クラウドかオンプレミスか?そして何を使って処理するか? CPU、GPU、推論専用チップなど、何を選択するかによりコスト、処理時間が変わってきます。費用と時間と精度のバランスをどう取るかが課題となります。

2つ目に、学習データの収集における課題です。
集めたいデータにより、収集の難易度が大きく異なります。例えば、工場における不良品判定については、実際の不良品を撮影することでデータ収集が可能ですが、人のデータとなると、プライバシーや利用目的などで問題が起きることも多いのが実情です。
それだけでなく服装や体格、環境のバリエーションが多いので、汎用モデル作成には、大量のデータが必要となる。このように、集めるデータ一つとっても課題が異なります。

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3つ目に、利用者のAI知識レベルも大きな課題です。
AIは具体的に何ができるか?ということを利用者は理解する必要があります。
利用者の知識レベルによっては、例えばAIが間違った検出をしたとき、なぜ間違ったのか、今後学習することで改善するのか、AIが何をどんなデータで学習しているのかを理解してもらうことが難しい場合があります。

最後に、開発者の導入環境理解です。
現場を理解しないと、できるはずのソリューションができないという判断になったり、できると思ったことができなかったり。これらの課題にアプローチするときに一番大事なことは、開発者のコミュニケーション能力です。利用者へのAI理解を促進し、どのような課題があり、現場を自分の目で見てどんなデータを収集することが可能なのか?
それら一つ一つを、利用者とコミュニケーションをとりながら進めることで課題にアプローチができると考えています。

講演終了後には、学生から「公園で遊ぶ子供達の隠れた要望を技術で明確化できるか?」という質問や、「AIの力で子供達の人権を保護できるか」という質問など、社会作りにどうAI技術が貢献できるかに関する質問が寄せられ、活発に質疑応答が交わされました。
 
今後開催予定のアイデア&プログラミングコンテストの成果発表会や、表彰式の様子も後日ソトコトにて紹介します!

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