【記事提供:UPDATER】
ORANGE RANGEの「20th Anniversary ORANGE RANGE LIVE TOUR 021〜奇想天外摩訶不思議〜」にて、昨年全国5都市10会場をまわったツアー公演すべてでカーボンオフセット、つまりバンドの「CO2削減に貢献したい。再エネの選択をより多くの方々に知ってもらいたい」との想いが具現化したのだ。
Coldplayの”クライメートポジティブ”なワールドツアーは、今年実現されることを公表しただけで大きなニュースとして世界を駆け巡ったのに、ここ日本では本質的に斬新なことに対してなかなか反応がないのも、いつものこと。でもこれは正真正銘、今後必須となる取り組みのクリアで代表的なモデルとして、真に貴重な一歩であった。
UPDATERの「みんな電力」、「みんなエアー」両事業がフル参戦したツアーを終えて、ORANGE RANGEメンバー全員に当事者として、UPDATER三軒茶屋オフィスで想いに迫った。
ですから、できれば家で家電製品を使う時はCO2ゼロというか、それこそみんな電力じゃなくてもいいので、家の電気を「再生可能エネルギーに変えていきましょう」ということをずっと言っています。でも、そこを僕たちが言い続けるのにも、限界があるわけです。
去年菅首相が「脱炭素です」と言い出して、それで世の中は急に「CO2をなくさなきゃ」ということになったんですが、海外ではColdplayがツアーや移動の脱炭素宣言をしています。今年なんて鎌倉の海岸が相当小さくなっていて、それも原因は気候変動による海面上昇で、九州の離島の面積も減っていっていて、僕なんかの世代で言えば『チャコの海岸物語』が歌えなくなるんじゃないかっていう。
だからわりと気候変動は僕らの目の前に迫ってて、「CO2はちょっとでも減らさないといけないよね」ということはあって、でもそこを僕らが話すのにも限界があって。
海外のミュージシャンならビリー・アイリッシュやLADY GAGAとか、ほかにもグレタさんは有名ですし、企業もアップルやグーグル、スポーツメーカーも含めて「再生可能エネルギーしか使いません」という動きが大きくなっています。
でも、みんなの音楽の聴き方が気候変動の原因になっているのなら、「自然に優しいかたちで音楽聴こうよ」という、そこはアーティストさんたちの呼びかけで全然違う広がりの仕方をすると思います。だから今回はぜひご一緒に、気候変動に対しての呼びかけができれば嬉しいです。
そういう意味で、今まで相当な人たちとこういう話をしてきましたが、ツアー全体をCO2を出さないまま実現させたのは、ORANGE RANGEさんが日本で初めてなんですよ。
一同 (笑)
― かなり胸を張っていい事例です。
大石 めっちゃいい事例なんですけど、イマイチみんな知らないから、ここでちょっと改めて。
HIROKI 漠然とその話は聞いてはいたけど、そこまで「国内初」とか「新しいこと」という認識はなかったですね。
それで、自分たちの音楽の現場というか、ステージやそこにまつわるもので「少しでもアプローチできたらいいな」と。でも2011年以降、特に「電力」というワードに対してのアレルギーがあるから、なかなかメンバーレベルでも説明がすごく難しいなと思っていて。
まずは、この場所にみんなでお邪魔させてもらって、質感に触れてもらうことから始めたらいいんじゃないか?ということで、「そういう機会を設けたい」とマネジメントとも話していました。
― ではそれがやっと実現した機会ということで、本当にありがとうございます。YAMATOさん、RYOさん、NAOTOさんは、沖縄で気候の変化を感じることはありますか?
NAOTO 温暖化の影響か、鯨の死体が海岸に打ち上がったり、あと台風も変な動きしてますよね?
だから、温暖化のこともそうですけど、各所の変化が情報として入ってくるようにはなってきています。
― ミュージシャンは、それこそレゲエのラスタ思想はもともと循環型とか地産地消を体現していますし、いい環境に対してのアンテナが高い気がします。
それで、自分たちがこういう環境を意識したライブができることを提案してもらって、何かしら力になれて、未来での僕らはもちろん、今小さい子どもたちも海に行けるって考えたら、できることであればやっていきたいですね。
でもこの気候を放っておくと、ただでさえ2100年には東京が43度って言われていたのが、もうたぶん2050年くらいには「そうなってしまうんじゃないか」って。
RYO たしかに、もう近い感じがしますね。
HIROKI 小さい時からも、明らかに違う。小学生の頃から、イロイロ言われてた。
NAOTO インドで40度超? え?? みたいな。今もうそれ、埼玉でありますもんね。
HIROKI CO2で、温暖化で、気温上昇とか言われていた近い未来というのが今現実にきているというのを、実感しますね。
LIVE撮影(2枚目):平野タカシ
オフィス撮影:井手康郎(GRACABI inc,)
そんなみんなエアーに加え、ORANGE RANGEの「20th Anniversary ORANGE RANGE LIVE TOUR 021〜奇想天外摩訶不思議〜」にはもう一つ、日本で初となる画期的要素があった。
それは、全国でまわった5都市10会場のライブをカーボンオフセットで実現、つまり気候危機の抑止に向け、CO2を出さないかたちで開催したのだった。これは海外ではColdplayの事例や、地球環境に想いを寄せるビリー・アイリッシュやレディ・ガガ、最近対策に17億円もの寄付を発表したリアーナなど普通になりつつあるが、ここ日本では正真正銘初の事例だった。
貴重な皆さんとの対話、ぜひ、より多くの方々に届きますよう。
どうしても国民性というか、そういうことで、いきなりヨーイドンではできないんだろうなって。
でも、殻に閉じこもっているよりも外へ出て、周りと情報をシェアしていった方が何もかもが圧倒的に早かったんです。もちろん考える時間も必要。そのうえで、共鳴し合える人とは繋がっていくというアクションを定期的に織り交ぜていくことで見える景色も少しずつ変わっていきました。
ネット社会でたくさんの情報に触れるけど、その情報ひとつにしたって海を越えるだけで時にフィルターがかかっちゃったりするじゃないですか?だから確かめるというか、自分で動くという選択肢を用意しておくのもいいんじゃないかなって。
今回の気候危機に対しての取り組みも事前に見させてもらいましたし、「ウチらもなにかできないかな?」って感じで自然に広がっていくと僕らも嬉しいですね。
そういうことをやってきた20年なので、このままのORANGE RANGEスタイルで続けられたらいいなと思っています。
― 皆さん、大きくは同じ「行動で示そう」ということを、仰ってくださっているように受け取れます。
とはいえ、僕は性格的にもやっぱり日本の考え方だから、さっきYAMATOが言ったみたいに、喋るのも説明するのも苦手だし、だけどこういうことにはとても賛成だし、自分たち自身が自然の中で育ってきているので。
だからライブをやるんだけど、こういう機会とかでその中身も伝えていける、そのバランスはいいんじゃないかと思います。
― 皆さん、事前の打ち合わせをしていたと聞いてもおかしくないくらい、足並みが揃われている気がします。
NAOTO まあ、キャラクターは一緒というか(笑)。
だから、グレタさんがトランプ大統領をすごい非難することで話題を世界に広げたり、どうしても平和的なチェンジじゃないんです。「対立を生む変革」みたいなところがあって、もっと自然に「やっぱりこうだよね」ということがジワーッと広がっていくようなかたちというのは、日本的なこととして向いているような気もします。
あとは有名な、「3%理論」ということがあるんです。要は全体の3%の人が変わりはじめると、一気にマスが変わりだすという話で。それって、ある会場に100人いたらたった3人が「私、替えました」という風に言い出せばいいだけなんです。
それは、そこにいる全員をどうにかしようと思うと大変ですけど、ほんの数人だけでも理解者というか、シンパシーを感じてもらう人がいるだけでも広がっていくと思うと、それで気分が少し楽になる側面はありますよね。無理がない。
大石 あと、「あいつはなんでやらないんだ」みたいなイラ立ちを持っちゃうと、対立を生んじゃうというか、持続性を失ってしまう。でもそこで、さっきYOHさんが言ってくれたように、空気感で「楽しそうだな」「それならオレでもできそう」みたいな、本当はそういう流れで広がっていくのがいいんですよね。
― YOHさんは宇都宮まで、ソーラーシェアリングの現場視察に来てくださいました。
YOH すごく前向きな生き方、そして取り組みだなと思いました。しかも収入が増えた分を、自分たちが農作物をつくる過程に還元して、より良い環境でいいものを生み出そうとしている、それはみんながみんなできていることではないので。
自分自身もそれをはじめて見て、すごく「未来を考えてくだされた決断だったんだろうな」と感じました。なので、「もう少し見てみたい」というか、自分自身「もっと勉強したい」と思っています。
オフィス撮影:井手康郎(GRACABI inc,)
LIVE from the Office(YOH×片平里菜)
https://youtu.be/qdAMo-ajHwU
YOH×片平里菜 ENECT記事
https://enect.jp/life/rina-yoh/