「田舎暮らしをしたい」「古民家を再生したい」「持続可能な地域活性化のデザインをしたい」。そう考えたときに、建築家、コンサルタント、行政等と現場や地域の人たちをつなぎ実現化するための考え方やヒントが、大島さんの歩みを振り返る本から浮かび上がる。
大島奈緒子さんが選ぶ、リノベーション×ローカルデザインのアイデア本5冊
そこで向き合った木、木材は、のこぎり1本あれば誰でも扱える身近な素材ですが、本当に難しく奥深い。企画力やデザイン力、おもしろさだけではどうにも生かし切れないこの素材を知りたいと思って、岐阜県高山市にある『オークヴィレッジ』という会社に就職し、建築設計や図面の描き方などを、ゼロから鍛えてもらいました。
『オークヴィレッジ―緑の国から』に書いてあることは「新しい村」をつくることから始めた彼らのストーリーです。日本では雑木と言われるカシやナラの木を使った手仕事をしたり、コミュニティをつくったりしています。地域で会社を、仕事をつくるのと同時に、地方を暮らす場所として選ぶ。そして、分断している人やものをつないでいく。私はそういうものをとても大事に思っているんだな、という原点に改めて気づかされます。
『進化思考』は、未来の私の活動の方向性を探り深めていくための本です。まちづくり(私たちは「やがて風景になるものづくり」と言っています)でも古民家改修でも、今までやってきたことの延長でやっても世界の変化には追いつかない。車が飛ぶようになったら接道規定がなくなるし、水や電気の引き込みがどこでもできるようになったら間取りががらりと変わる。家やまちも今までとは違う形態になります。
「インフラの維持コストが大変だから集まってコンパクトシティにしていこう」という方向も、「自律分散型社会」を実現できるテクノロジーが発展した場合には「田舎の景色のいい場所など、好きな場所にもっと自由に住める」という方向も、どちらも起こり得ると私は思っています。
リノベーションは、まずやっていくことが大事です。それと同時に、虫の目、鳥の目、魚の目どれもが必要です。長期目線もそうだし、国目線、地域の人目線、現場の目線など、私はどれかだけでいいと思ったことは一回もないし、上下もありません。私はそこが分断することに痛みを感じるのです。私はチームを持つことで、分断を解消してつなぐことにチャレンジしています。