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サスティナビリティ

連載 | NEXTSTAGE まちのプロデューサーズ2.0

ちょうどいい距離感で、人がつながる場をつくる。

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目次

今月のまちのプロデューサー

緒方康浩さん

 今回バトンを受け継いだのは、千葉県柏市でコワーキングスペース『Noblesse  Oblige(NOB)』を運営する緒方康浩さんだ。学生時代、ライターとして日本各地の先進的なまちづくりの事例を取材した経験を生かし、鹿児島県で地域おこし協力隊として社会人生活をスタート。現在はコワーキングスペース事業に参画しつつ、地域活性化のためのイベントなども主催している。    

 緒方さんは地方で生まれたこともあり、地域の今後のあり方に興味があったという。転機となったのは、東日本大震災だった。大学を休学して都内から東北の復興支援活動に携わり、都市防災の大切さに気づき、防災情報マガジンも立ち上げた。そして卒業後は、「一つの地域にしっかりと根を下ろして活動したい」という思いから鹿児島県鹿屋市に移住し、地域おこし協力隊に着任。役所で地域の特産品のPRなどに奔走した。ここで様々なイベントの立ち上げなどに関わるも、一方で地方にある濃密な人間関係に溶け込むことができない自分がいた。「『近すぎる』人間関係に悩むのは、ひょっとしたら自分だけではないのではないか」と考え、次第に自分と同世代の人にとっての「心地よい距離感」とは何か、考えるようになっていった。そんな中で出合ったのが、『NOB』だった。

『NOB』で運営するスクール「n school」ではヨガやお茶など様々な講座を展開。
『NOB』で運営するスクール「n school」ではヨガやお茶など様々な講座を展開。

 『NOB』で気をつけているのは「いつも」ではなく「思い立った時に」気軽に集える場所づくりだ。人と人をつないで地域に新しい仕事を生み出すことを目指しつつ、極度なおせっかいはしないようにしている。「普段は出会わないような人がここで作業することによって出会い、新しいものが生まれる瞬間」を、緒方さんはこっそり喜んでいる。プライベートでも人と人とが「自然と」出会う場所をつくるべく、「green drinks  Kashiwa」というイベントを定期的に開催。回数を重ねるうちに、知らなかった柏の魅力を発見したり、柏を好きになる人が増えたりしているという。「まちづくりがちょっとしたブームになっていくにつれ、過度な人間関係を求めるサービスも増えてきた。でも、きっとそれに飽き飽きしている同世代の仲間もたくさんいる。これからは、浅くもなく、深すぎることもない関係、その塩梅をうまく調節したい。そこに行けば誰かに会え、行かなければ会えない。その距離感が大切なのではないか」と話す。

主催イベント「green  drinks  Kashiwa」では参加型のトークライブを行う。
主催イベント「green  drinks  Kashiwa」では参加型のトークライブを行う。

 「やりたいことがあるけれど、何から始めたらいいか分からないという人は結構いると思う。そういう時に、そっとアドバイスや応援してくれる人たちは周囲に絶対にいる。そんな人たちと適切な時に出会えるような仕組みを、もっと生み出していきたい」。そんな思いを胸に、今日も緒方さんは試行錯誤を繰り返している。

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