持続可能、そして世界で活躍できる子どもを育てる教育を考える連載「インターナショナル教育とSDGs」、第8回目は「無限の可能性へと羽ばたく子供たちへのエールと大人の責任」になります。
年が明け、幼稚園の年長さんには、卒園の時期が迫ってきました。私たちの学校「ローラスインターナショナルスクール・オブ・サイエンス(以下、ローラス)」では、卒園式でサイエンスに関する発表があります。その発表に向けて、年明けから子供たちのサイエンス・プロジェクトが本格的にスタートします。ローラスには、現在、7つの幼稚園がありますが、各校それぞれ子供たちの興味、関心に即した約2か月間のプロジェクト学習が行なわれます。
これまでに実施されたプロジェクトの例としては、恐竜についてのプロジェクトがあります。各自、担当の恐竜について調べ、等身大とはいきませんが、スケールの大きな恐竜の絵を描き、卒園式では、園庭に設置したその恐竜の前で親御さんたちに発表しました。
また、熱について調べ、どの色が太陽の熱をよく吸収するのかを調べたり、温かい水と冷たい水がぶつかったときに起こる水の対流について、温度計やサーモグラフィーを使って調べたりしたこともあります。
他にも、再生エネルギーついて調べ、実際に太陽光発電機や水力発電機、風力発電機などを製作したこともあります。はじめの一回ではなかなか発電できず、何度も失敗を繰り返しながら、なんとか卒園式には間に合って親御さんたちに披露できました。その発電機は、メーカーフェアなどの一般の展示会にも出展しました。
また、いろいろな材料で色も形も様々な結晶作りをした学校もありましたし、ドローンの飛ぶ仕組みを学び、小型のドローンを自作した学校もあります。更に、環境に関するプロジェクトの一環で、自分たちがどのくらいゴミをだしているかについて、実際に1週間ごみをためて、その重さや量を測ったこともあります。この時は、子供たちだけでなく、先生方も自分たちの出すゴミの多さに驚いたのを覚えています。
どのプロジェクトでも、その工作や実験は、必ずしもスムーズに事が運ぶものばかりではなく、トライ&エラーの連続です。でも、子供たちはいつも楽しそうで、目をきらきらと輝かせながら取り組んでいます。その目の輝きは、彼、彼女たちが卒園した後もずっと鮮明に覚えています。その純粋な目の輝きをいつまでも失うことなく、今後、彼らの前に無限に広がる可能性に向かって、羽ばたいていって欲しいと、卒園のこの時期になるといつも思います。それと同時に、SDGsといった目標まで立てなければならないほど、社会環境、自然環境を悪化させてしまった大人の責任として、未来ある子供たちを全力で支えていかねばならないと自戒させられるこの時期でもあります。
ローラスインターナショナルスクール・オブ・サイエンス
サイエンス顧問:村上正剛さん
オーストラリア、マレーシア(ボルネオ島)にて環境教育に従事。東北大学、北海道大学の他、カナダやオーストラリアの大学(院)にて、人と自然との関わりや科学技術コミュニケーション等について研究。現在も引き続き京都大学にて研究中。