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サスティナビリティ

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SDGsの視点で、世界自然遺産を旅しよう。

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日本の世界自然遺産を守るために、観光客にもできることがある。そのヒントとなるデジタルパンフレットが公開されている。

発行:東京都/公益財団法人東京観光財団

目次

環境保全と観光を両立させる。

「顕著で普遍的な価値(人類全体にとって特に重要な価値)」を持つ世界遺産には「自然遺産」と「文化遺産」、その両方の価値を備えている「複合遺産」がある。その中で、「自然美」「地形・地質」「生態系」「生物多様性」という4つの評価基準のいずれかを満たしているものを「世界自然遺産」という。

2023年時点で、世界自然遺産に登録されているのは227件。日本では「知床」(北海道)、「白神山地」(青森県・秋田県)、「小笠原諸島」(東京都)、「屋久島」(鹿児島県)、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」(鹿児島県・沖縄県)の5件が登録されている。

東京都と『東京観光財団』は、世界自然遺産が存在する北海道、青森県、秋田県、鹿児島県、沖縄県と2019年度から連携し、世界自然遺産の知名度やブランドイメージを活用した観光振興を行っている。そして、各世界自然遺産の魅力を発信するなかで、旅行者に守ってほしいルールやマナーも蓄積されている。最近では、SDGs(持続可能な開発目標)の達成につながるサスティナブル・ツーリズムへの関心も高い。そこで日本の世界自然遺産を訪れる旅行者に、自然のすばらしさや動植物のたくましさを学ぶとともに、SDGsの目標年度である30年までに、ぜひ一度は体験してほしいことを各地域から6個ずつ、計30個のミッションリストにまとめた。それがデジタルパンフレット『世界自然遺産で2030年までにしたい30のこと』だ。

世界自然遺産だからできる、旅がある。

デジタルパンフレットでは、それぞれの世界自然遺産の価値を、自然、生物、文化、生活という4つの視点から紹介。そして各地域で体験してほしいミッションリストと、それに関係するSDGsのゴールを示している。

たとえば知床のパートにある「知床生態系の要・サケの水揚げを見る。」という“したいこと”は、SDGsの13(気候変動に具体的な対策を)と14(海の豊かさを守ろう)につながっている。旅行者に向けては、サケの水揚げを見ることができる施設が紹介されている。

また屋久島で“したいこと”に挙げられているのは「環境にやさしいEV(電気自動車)で島内を回る。」。SDGsの7(エネルギーをみんなにそしてクリーンに)と11(住み続けられるまちづくりを)につながっていて、島内でEV車をレンタルできることが紹介されている。

さらに、それぞれの地域で6項目の「しないことリスト」を掲載。動物には餌を与えない、植生地には踏み込まない、ゴミは絶対に捨てない、トイレ以外の場所で用を足さないなど、“しないこと”をリスト化している。当たり前に感じるかもしれないが、ルールを守って旅してほしいという思いが伝わってくる。

この“したいこと” “しないこと”のリストは、どちらも地域の人たちが大切にしている考え方やルールなどを参考に、『東京観光財団』と世界自然遺産がある各自治体などとで、相談しながら決めたもの。世界自然遺産を訪れたいと思っている人は、旅行前にぜひ一度パンフレットを読み、そのうえで貴重な自然を体験し、学び、そして未来を守ることにつながる旅を楽しんでほしい。

多様な姿を見せる日本の世界自然遺産。

北から南まで、それぞれが持っている唯一無二の個性を紹介。

【知床】
海と陸の生態系が循環する場所。

【写真提供元】知床羅臼町観光協会

北海道の最北東端に海へ突き出すように延びる知床半島。知床は、北半球において流氷が接岸する南限であり、この流氷の影響を受けた海と陸の生態系の豊かなつながりが高く評価されて、2005年7月に世界自然遺産に登録された。手付かずの原生林が広がり、シマフクロウ、シレトコスミレなど希少な動植物が高密度に生息している。

【白神山地】
東アジア最大級のブナ原生林。

【写真提供元】白神山地ビジターセンター

青森県から秋田県にかけて広がる白神山地のうち、原生的なブナ林約1万7000ヘクタールが、1993年12月、屋久島とともに日本で初めて世界自然遺産に登録された。貴重な森林生態系が保たれ、ニホンカモシカやツキノワグマ、クマゲラなど、多数の動植物が生息している。

【小笠原諸島】
南海に浮かぶ「進化の実験場」。

【写真提供元】小笠原海洋センター

小笠原諸島は、東京都心部からはるか南に離れた父島・母島を中心とした大小30あまりの島々からなる。亜熱帯性気候。一度も大陸と陸続きになったことがない海洋島として独自の生態系が残ることから、2011年6月に登録。動植物は固有種が多く、特に植物は自生種の5割が固有種とされ、「進化の実験場」と言われる。

【屋久島】
巨木が残る「洋上のアルプス」。

【写真提供元】屋久島レクリエーションの森 保護管理協議会

白神山地とともに日本初の世界自然遺産として、1993年12月に登録。標高1000メートル以上の山が連なり「洋上のアルプス」とも呼ばれる。標高差による気温の幅が広く、日本全体の自然植生が垂直分布する稀有な自然環境。標高500メートル以上で育つ天然杉の中には屋久杉と呼ばれる樹齢1000年を超えるものも多い。ウミガメの産卵地としても知られる。

【奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び⻄表島】
亜熱帯にある生物多様性の宝庫。

【写真提供元】gyro

2021年7月登録。温暖で多湿な亜熱帯性気候で、海には珊瑚礁、陸には原生的な常緑の広葉樹林が広がっている。4つの地域には、それぞれ独自の進化を遂げた多種多様な動植物が生息。アマミノクロウサギやイリオモテヤマネコ、ヤンバルクイナなどの固有種は、絶滅危惧種でもある。

text by Reiko Hisashima

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