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サスティナビリティ

ごみを減らすだけでなく、「捨てる人」も減らす。IoTで清掃活動の成果を見える化する「Rethinkトング」にかける『JT大阪支社』の想いとは

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2004年より「ひろえば街が好きになる運動(通称:ひろ街)」として、全国で清掃活動に取り組んでいる『JT(日本たばこ産業株式会社)』。 ごみを“ひろう”体験を通じて“すてない”気持ちを育てることがテーマだという。そのなかで活用されているのがIoTでごみ拾い活動を支援する「Rethinkトング」。清掃活動の成果の「見える化」や回収したごみのデータの蓄積、参加者のモチベーションづくりなどに役立っているそう。ここでは『JT大阪支社』の石野さんに、「Rethinkトング」開発の経緯や、今後の展望についてお話をうかがった。 

目次

バリアフリーなごみ拾いをサポートしたい気持ちから生まれた「Rethinkトング」

――「Rethinkトング」を開発し、清掃活動に導入しようと考えられたきっかけは何だったのでしょうか。 

石野 構想が始まったのは2018年ごろで、最初はバリアフリーな清掃ツール、たとえば体の不自由な方でも指先の動きだけで清掃活動に参加できる、ラジコンのようなかたちのものを考えていました。 

そして、アイデアをかたちにするために『奈良先端科学技術大学院大学』に相談にいったところ、現在の「Rethinkトング」の原型にあたるものを紹介され、そこから開発が始まりました。

「Rethinkトング」。取り付けられたスマートフォンで撮影を行い、ごみのデータを収集する。

――「Rethinkトング」の開発・導入に対する社内外の反応はいかがでしたか。 

石野 社内の反応よりも、地域の方や商店街の方など、社外から「いいツールだね!」と評価していただくことが多かったですね。日ごろから清掃活動に参加されている方などには好意的に受け止められたのではないかと感じています。 

「Rethinkトング」のコンセプトには、「ごみ拾い用の道具」ではなく「地域の課題を解決するツール」という目的があります。このトングを使って、捨てられているごみを把握することで、「捨てる人」を減らすことにつながる働きを期待していますし、それができるツールであると思っています。 

2023年11月に大阪で開催された清掃活動。ここでも「Rethinkトング」が使われた。 

ごみを拾う人にも寄り添う。「Rethinkトング」が築くコミュニティ

――では「Rethinkトング」で一体どういうことができるのか、教えていただけますか。 

石野 「Rethinkトング」を使ってごみを拾うことで、「どういうごみ」が「どこに」あったのかを地図上に記録すること、いわゆるマッピングができます。これにより、たとえば街の一丁目にはたばこのごみが多い、三丁目にはお弁当のごみが多い、といったデータが取れるんです。こうしたデータを自治体に提供することで、自治体が街の美化に向け喫煙所やごみ箱をどこに設置するかという対策をより具体的に立てられるようになります。 

これまでも拾ったごみを記録するツールがなかったわけではないのですが、たとえば植木の上や側溝の中などに捨てられたごみの把握が難しかったりで、不完全なデータになってしまうことが弱みでした。また、マッピングに特化したものなどもあったのですが、ただマッピングするだけではやはりごみは減りません。リアルタイムで清掃活動とデータの取得を同時にできることが「Rethinkトング」の大きな特徴と言えます。 

また機能面だけでなく、使う人にも寄り添うことが「Rethinkトング」が「社会課題を解決するツール」になる為には必要だと考えています。 

その一つに「コミュニティの形成を助ける」ことが挙げられます。「Rethinkトング」はごみのデータだけでなく、「誰が」「いつ」そのごみを拾ったのかも記録できます。自分の清掃活動が見える化されることで、活動を続けるためのモチベーション維持にもつながりますし、ゲーム感覚で気軽に、楽しくごみ拾いに参加する後押しになるかもしれません。 

また、たとえば清掃活動を地域通貨と連動させて参加者にお礼をしたり、ほかの企業さんとコラボレーションして清掃活動をイベント化できる可能性もあります。もし、こうした催しなどが実施できれば、そこで清掃活動に参加された方は、それ以降ごみをポイ捨てすることはなくなるのではないでしょうか。 

こうして、機能面と「Rethinkトング」を介したコミュニティ形成を通じて、ごみを捨てる人を減らすことで、「Rethinkトング」が「社会課題を解決するツール」になれればと期待しています。 

この日の清掃活動で集められたごみ。ごみ箱からはみ出すほどの量が集まった。

すぐそこまで来ている「Rethinkトング」のある日常

――すでに清掃活動を行う催しなどで導入されている「Rethinkトング」ですが、これから街でも当たり前に見られるものになっていくのでしょうか。 

石野 今は大阪から少しずつ活動を広げている段階です。北海道の札幌でも実験を進めています。「Rethinkトング」のすそ野が広がっていくことで、たくさんのごみのデータが集まるだけでなく、「Rethinkトング」そのものを改善するためのデータも集まります。 

現状では専用のスマートフォンに有線で接続しないといけないのですが、いずれはどのスマートフォンともBluetoothで接続できるようにして、アプリで清掃活動の記録を取れるようにしていきたいですね。たとえば自動販売機の脇などにフリーの「Rethinkトング」が置かれていて、そこを通りがかった人が「ちょっとごみ拾っていこうかな」と、思ってもらえるようになればいいなと考えています。 

――ポイントを集めることや、位置情報ゲームなどが好きな人も多いので、「Rethinkトング」でコツコツごみ拾いすることにハマる人もいらっしゃると思います。 

石野 やはり「見える化」されることが大きいと思います。一人で街全体を清掃することはできませんが、たとえ一区画であっても自分のやったことが可視化されることで、ゲームのように楽しく清掃ができますよね。落ちていたごみのデータをマッピングし、街の美化につなげていくこともそうですが、可視化することのメリットを活用していきたいです。 

2024年の秋頃には、街中で「Rethinkトング」を使えるように予定していますので、もし「Rethinkトング」を見かけられたとき、少しお時間があれば、気軽にちょっとのごみを拾ってみてもらえればうれしく思います。

日本たばこ産業株式会社のHPはこちら 

■ソトコト×GOMITAIJI 
SDGs の目標12「つくる責任 つかう責任」のターゲットである「廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。」への啓蒙活動として、企業のアップサイクルや、GOMITAIJIの取り組みを紹介するコンテンツを「ソトコト×GOMITAIJI」としてソトコトオンラインにて掲載していきます。 

一般社団法人GOMITAIJI 

 

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