深刻な社会問題の1つである子どもの虐待。その現状を伝え、子どもの虐待をなくすことを呼びかける「オレンジリボン運動」が全国に広がっています。『FWD生命保険株式会社』(以下、FWD生命)では、子どもたちの明るい未来を支える社会の実現に貢献するためにオレンジリボン運動を支援しています。支援のきっかけ・背景や取り組み内容について、FWD生命ブランド&マーケティング部部長の大瀧陽介さん(写真右)と『認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク』の理事長である川松亮さん(写真左)にお話を聞きました。
FWD生命が「オレンジリボン運動」を支援する理由
FWD生命は、アジアの10地域に展開し急成長している「FWDグループ」の一員。「Celebrate living(人生を讃えよう)」というブランドスローガンを掲げ、生命保険の商品・サービスの提供、そして社会貢献活動にも取り組んでいます。FWD生命の大瀧陽介さんは次のように話します。
大瀧陽介さん(以下、大瀧) 公的な保険を補完する役割を担う保険会社として、FWD生命は独自性豊かな商品・サービスを提供するとともに、従来から社会貢献活動にも取り組んでいます。私たちが提供する商品の1つに収入保障保険があり、その主なお客さまは小さいお子さまのいるご家族です。そのため、子どもに関する社会貢献活動を検討していたところ、オレンジリボン運動のことを知りました。
FWDグループはSDGs達成に向けた取り組みに力を入れており、2023年7月よりオレンジリボン運動を支援させていただいています。オレンジリボン運動を少しでも多くの方に知ってもらうために、弊社の社長自らが率先してオレンジリボンのピンバッジを付け、普段はスーツを着る弊社の営業社員もオレンジリボンのピンバッジを付けるようになり、いまでは社章の代わりのようになっています。
そして、『認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク』の川松亮さんは、子どもの虐待の現状について次のように話します。
川松亮さん(以下、川松) 児童相談所における子どもの虐待に関する相談対応件数は右肩上がりに増えており、1990年の約1,100件から、2022年には約21万4,800件へと急増しています。これは必ずしも虐待そのものが増えているというわけではなく、発見や通告の件数が増えてきていることが影響しています。児童相談所への通告について周知が進んできたのが要因だと思います。
<児童相談所における児童虐待相談対応件数>
子どもの虐待といっても幅が広く、児童虐待防止法では ①身体的虐待、②性的虐待、③ネグレクト(保護の怠慢)、④心理的虐待の4種が定められています。最近ではヤングケアラーの問題が注目されていますが、家族の介護のために本来子どもとして体験することができなかったり、教育を受けられなかったりと、さまざまな機会が失われ成長における制約が大きいという点において、ネグレクトの一種だと考えられます。そういった教育や体験の機会損失を防ぐということは、「質の高い教育をみんなに」というSDGs目標4に関連しますので、オレンジリボン運動の取り組みはSDGs達成にもつながっていると思います。
子育ての悩みに関する相談専用ダイヤルの周知に取り組む
FWD生命は『認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク』と協力しながら、オレンジリボン運動と子育てに関する悩みなどの相談窓口の周知を中心に取り組んでいます。
子どもの虐待を通報する番号(189)のほかに、子育てに関する悩みを相談できる児童相談所相談専用ダイヤル(0120-189-783)がありますが、その相談専用ダイヤルを知っている人は少ないのが現状です。その相談専用ダイヤルについて大瀧さんは次のように話します。
大瀧 子どもの虐待にはさまざまな要因があると思いますが、子どもが生まれた瞬間から虐待をする親はいないと信じています。ただ、子育てに悩み、ストレスを抱え、そこから虐待につながってしまうケースを考えたとき、子育ての悩みを気軽に相談できる場所があることを知ってもらうことが、子ども虐待の根本的な解決につながると思いました。いま子育てをしている人たちだけではなく、若い世代やシニア層も含めて幅広くこの相談窓口の存在を知ってもらうことで、子育ての悩みなどを相談しやすい風土をつくっていけるのではないかと考えています。
川松さんも、子育ての悩みを相談する重要性について次のように指摘します。
川松 虐待になってからだと親も子も大変辛い思いをします。そうなる前に子育て相談や子育て支援で食い止め、川上で防いでいくことが大事です。児童相談所は都道府県の管轄なのですが、身近なところだと市区町村の子育て相談・支援もあります。相談できるいろいろな場所があるということを周知することが、子どもの虐待件数を減らすうえでもとても重要なことです。
多くの保険代理店もオレンジリボン運動の支援に
FWD生命は、オレンジリボン運動と相談専用ダイヤルをより多くの人たちに周知するために、ビジネスパートナーである保険代理店を巻き込んだ活動を展開しています。
大瀧 私たちの保険商品を取り扱う保険代理店の皆さまにもオレンジリボン運動の支援を呼びかけたところ、これまでに200社以上の保険代理店に賛同いただきました。保険代理店の皆さまもオレンジリボンのピンバッジを付け、マスクを始めとするオレンジリボングッズを配布するなど、オレンジリボン運動の周知に取り組んでいます。弊社だけでできることには限りがありますが、全国の保険代理店の皆さまのご協力により、この社会貢献活動の広がりを実感しています。また、オレンジリボン運動の支援の一環として、弊社と保険代理店が協同し、弊社の新契約件数に応じた寄付も年間を通じて行っています。
FWD生命ならではのイベントを通じた募金活動
その他にも、FWD生命はイベントを通じた募金活動にも力を入れています。例えば2023年と2024年にはプロ野球チーム「オリックス・バファローズ」のスポンサー試合として「FWD生命オレンジリボン運動デイ」を開催。オレンジリボン運動の支援に賛同した学童野球チームの小学生約50名と、2024年の同イベントでは大学生約20名も一緒に募金活動を行いました。また2024年に開催したFWD生命と『TOKYO FM』による音楽イベントを通じ、そのイベントTシャツの販売枚数に応じた寄付なども行っています。
SNSの活用や学生のサポートなど、新たな支援活動も
さらにFWD生命は、オレンジリボン運動の周知および寄付の手段としてSNSも積極的に活用しています。「#オレンジリボン運動」の投稿に対する「いいね」などのリアクション件数に応じて寄付する取り組みを実施。7,500件を超えるリアクションがあり、SNSを活用する若い世代がオレンジリボン運動に興味をもつきっかけとなりました。そして、2024年には新たな支援として、全国の大学や専門学校が取り組んでいる「学生によるオレンジリボン運動」のサポートもスタートしています。
大瀧 学生の皆さんが自主的にオレンジリボン運動に取り組んでいることをより多くの方に知ってもらいたいと思い、そのためのサポートや学生の皆さんと一緒にSNSを活用した寄付にも取り組んでいます。学生の皆さんのさまざまな活動にとても刺激を受けています。
このようなFWD生命の支援活動の影響について、川松さんは次のように話します。
川松 FWD生命さんがオレンジリボン運動の支援に参加いただいてから、この運動をより多くの人に知ってもらう機会が増えていることはとてもありがたいですね。イベントやSNSを活用したアイデアもこれまでになかったものです。今後も幅広い年代に対してオレンジリボン運動の周知に一緒に取り組んでいければと思います。
FWD生命はSDGs達成に向けた取り組みとして、オレンジリボン運動の支援を今後も継続していく予定です。
大瀧 社会貢献活動は継続すること、そして広がりをどうつくっていけるかがとても大切だと思います。これまでにも保険代理店の皆さま、学童野球の小学生や「学生によるオレンジリボン運動」に参加する大学生の皆さまと取り組んできたように、FWD生命は今後も多くの方と一緒にオレンジリボン運動の支援に取り組んでいきます。
オレンジリボン運動の、これからの展開に注目です。
text by Makiko Kojima interview photo by Yusuke Abe