サスティナブル・ブックガイド 多様性×青木真理子さん

特集 | 未来をつくる本 | サスティナブル・ブックガイド 多様性×青木真理子さん

 新型コロナウィルスの影響で社会が大きく揺さぶられ、さまざまな分野で大きな変化が起ころうとしています。これからの未来はどうなっていくのでしょうか? 不安定な社会で暮らし、生きていくためのヒントをくれる、そんな“未来をつくる本”を紹介します。


多様性×青木真理子さん


 目指すのは、なるべく手がかからず、でも植物が自然に成長し四季折々の表情をみせる庭。植物と庭のつくり手に負荷をかけないつくり方に、垣間見える“一様”でないことを受け止める彼女の姿勢と生き方から、多様性を考えていきます。


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左/銀の匙 Silver Spoon(荒川 弘著、小学館刊)。右/山賊ダイアリー リアル狩猟奮闘記(岡本健太郎著、講談社刊)

 私は大のマンガ好きで、自分にとっての多様性の本というのは、何度も読み返したい、ずっと記憶に残っている、誰が読んでもおもしろいマンガだと思ったんです。


 例えば『銀の匙 Silver Spoon』は、北海道の農業高校を舞台に、目的を持って入学した生徒たちの中で、やりたいことがわからない少年が農業の厳しい現実に葛藤しながら、最初は流されるままだったのが、周りと交流を持ち知識を得るにつれ、彼が中心になって物事が進むというお話。最初はやりたくてやっていたわけじゃないけど、興味を持ち、思うほうに思うように進み、深く知るほど農業にハマッた主人公の姿が、ガーデンデザイナーに特になりたかったわけではないけれど、ハマッて、結局いまにいたっている自分とちょっと似ているなって思っています。


 そして『山賊ダイアリー リアル猟師奮闘記』。私が住む山形県はとても自然豊かで、家の周りにもシカやイノシシがいて、猟師が撃って、食べたりしています。でも生き物を狩り、食べるということはどういうことなのか、私は知らなかった。だから知りたいと思ったときに、それはやってみないとその気持ちはわからない、だったらやってみようと思って狩猟試験を受け、私も”山賊“になりました(笑)。


 なにかに興味を持ち、知っていくと、それが意味のある好きなものになっていくというのが、この2冊に共通すること。


 私にとって「知りたい」という気持ちはすごく重要で、「らしいよ」で終わると物事ってなんにも身にならないから、「ナントカだよ」って言い切りたいんですよね。感覚のままとか、わからないままでいるのはすごく気持ち悪いんです。


 実際、感覚にも理屈があって、理屈を知るとあとはその理屈にしたがって、感覚で物事を進めることができるようになるんです。だからちゃんと理屈が欲しい。それに多少なりともなにかを知れば、次にどんどん派生していって、自分にとって好きなものが増えていく。でもそんなの無理って言う人が多いですよね。


 新しいことを知るのは疲れるかもしれないけど、私にとって新しいことを知るのはすごく楽しいし、自分の好きなものを信じ、好きなもので自分の周りを固めるとブレないと思っています。それにまず、一つでもなにかしら興味を持てるっていうのが大事。興味すら持たないと自分の視野に入らないから、私はなるべくいろんなことに興味を持って、受け入れていきたいんですよね。


青木さんおすすめの5冊


●銀の匙 Silver Spoon(荒川 弘著、小学館刊)
農業高校が舞台のマンガ。受験戦争に敗れた主人公の八軒勇吾が、今の環境ではない「ここじゃない場所」を求めて進学。そこで学び、認められ、自分はここにいてもいいんだって、思わされる。登場人物みんなみんな優しい、そんなお話。


●山賊ダイアリー リアル狩猟奮闘記(岡本健太郎著、講談社刊)
マンガ家でありながら、狩猟免許を持つ作者の実体験を描いたマンガ。自分の周りの環境や、生き物、生き物を食べるということを知りたいと思わせてくれた一冊。狩猟のことだけでなく、猟銃や罠など、新しい趣味と世界を開いてくれました。


●弟の夫(田亀源五郎著、双葉社刊)
父娘で暮らす親子と、その父の弟の結婚相手だったカナダ人男性の家族ドラマ。同性カップルの存在は知っていても、もしそれが自分の身内だったら、考え方も捉え方も変わり、思っていることを再確認できるんだろうなと感じた作品です。


●アウターゾーン(光原 伸著、集英社刊)
現実と空想の狭間に存在する未知の世界「アウターゾーン」を舞台にした各話完結マンガ。いろんな世界、時代が描かれるこの作品は、自分が興味のないジャンルも出てくることで勉強にもなるし、そこから歴史なんかにも興味を持った作品です。


●HUNTER×HUNTER(冨樫義博著、集英社刊)
主人公のゴンが、まだ見ぬ父親と会うため、父と同じハンターとなり、仲間たちとの絆を深めながら成長するマンガ。私も仕事で、仲間たちと苦手なところを補い合いながら、庭をつくります。やっぱり仲間って大切、と思わされた作品です。


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左/弟の夫(田亀源五郎著、双葉社刊)。中/アウターゾーン(光原 伸著、集英社刊)。右/HUNTER×HUNTER(冨樫義博著、集英社刊)

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