明星高校(東京都府中市)では、国連の定めた持続開発目標「SDGs」の推進校として宣言をし、「地域と世界を、明星がつなぐ」をテーマにSDGsに関する探求活動を行っている。第一学年では授業の一環で地域の課題を見つけ、数チームに分かれてテーマを決め、それぞれ解決策を考え実行した。その活動をご紹介!
M-Project
M-Project とは学校名の“Meisei”と今回の活動の協力者『mymizu』の頭文字である「m」をとって名付けられたもの。『mymizu』は、消費活動の変化を目的とし国内外問わずプラスチックの消費の削減に取り組む企業で、開発した無料給水アプリには国内8,000ヶ所以上(世界20万ヶ所)の給水所が登録されている。
プロジェクトに参加した生徒は、少しでもペットボトルの消費を抑えるべく「マイボトルの作成」と「校内への給水器の設置」を実施。マイボトルの作成では、デザインコンテストで楽しみながらマイボトルへの抵抗を抵抗を減らせたらいいと考え、同学年の一人一人にデザインを考えてもらうことによって意識の醸成に取り組んだ。また給水器の設置においては、校長や学年の先生に向けてプレゼンを行ったり『mymizu』の意見を聞いたりと取り組んだ結果、来年度から導入することに。他にもクラス対抗の「mymizuchallenge」や「ビーチクリーン」などの企画も用意しているという。
ほしのきぱーく
母子支援をメインテーマとして活動した「ほしのきパーク」は、クリスマスの時期に府中市の団体『ママチャーリーズ』の企画「すまいるサンタ」にジョイン。高校1年生全員を巻き込んで、地域の寺子屋や教会に来る子供達に向けたメッセージカードを用意し、それらを装飾しプレゼントと一緒に子どもたちへ配布した。子どもたちはとても喜んでくれたそうだ。
他にも未就学児への本の読み聞かせやぬり絵を予定していたが、コロナウイルスの影響で延期となった。そのため今できることとして、自分たちで作った紙芝居を使った「オンライン読み聞かせ」の練習を実施。これらの取り組みを、全国の高校生を対象とした「マイプロジェクト 関東大会」で発表したところ、一緒に何か計画したいという仲間も見つかり、今後もたくさんの方と関わりながら続けていきたいと考えているそうだ。
まごころ届け隊
「まごころ届け隊」は、買い物代行など困っている高齢者の手助けや、思い出の場所を高齢者に代わって訪れ撮影するなど「高校生でも力になれること」を行いながら、高校生の人生相談にも乗ってもらうことを目的として活動した。
近隣のデイサービス「おとなりさん」主催のお掃除散歩に参加した際は、高校生が参加するのは初めてということもあり、高齢者の方に喜んでもらうことができ楽しい時間を過ごせたそうだ。
他にも、デイサービス「まほろば」とzoomを通じて交流を実施。クイズや人生相談をしたりダンスを見てもらったりと、さまざまなプログラムを取り入れたところ、こちらも大好評だった。さらにまちづくりイベントで高齢者や専門学校の先生、市役所職員、介護士などさまざまな立場の方から企画に関して意見をもらうことができ、より深く考えることができたそうだ。
参加した生徒は語る。「少子高齢化が進んでいる今だからこそ困っているご高齢者の力になる取り組みが必要不可欠になると思います。そのため、自分たちの活動を多くの人に知ってもらい、同じような取り組みをする人が増加することでより良い未来に進めると思います。「まごころ届隊」としての活動を通じて少しでも多くの人に『まごころ』を届けられるようにしたいです」。
ランドセルプロジェクト
小学校を卒業した後、ランドセルはどうなってしまうのだろう。ソフトバンクが行った中学1年生~高校3年生の子供を持つ親581名への調査(2018年10月実施)によると、2割以上のランドセルは捨てられてしまっているとのこと。また保管している場合でも、スペースや使い道が無い、処分にお金がかかるなどの理由で困っているとの意見が多く挙げられていた。
そこで、一部の生徒はアフガニスタンの子どもたちにランドセルを贈る「ランドセルプロジェクト」(ジョイセフ)に着目した。アフガニスタンでは、旧ソ連のアフガン侵攻、その後の内戦やタリバンの台頭など、23年間に及ぶ争いが2001年に終結したものの、教師や学校施設の不足、貧困、山賊による学校破壊などのためいまだ多くの子どもが学校教育を受けられていない。また長く続く紛争やテロ、避難民の流入などにより、校舎のない青空教室で学んでいる子どももたくさんいる中、ほとんどの子どもはビニール袋や布にくるんで教科書を持参。なかにはそのまま手で掴んで持参するケースもあるそうだ。
ランドセルプロジェクトは、そんなアフガニスタンの子どもたちに日本からランドセルを届けるというもの。ランドセルがあれば本がボロボロになることを防げるのはもちろんのこと、家庭内や青空教室でちょっとした机代わりにすることもできる。
実態を知った生徒は、高校内で行うランドセルプロジェクトを「ランドセルを寄付」「海外輸送費の寄付」「倉庫への送料寄付」の3つのステップに分け、各人がそれぞれに合った寄付をできるようにした。学校という場で活動するからこそ、ランドセルだけでなく書き損じハガキでの寄付も受け付けるなど、誰もが簡単に寄付できるよう心がけたそうだ。