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連載 | Web3.0でつくるローカルの未来

「地方創生DAO」とは? 仕組みや機能、おもしろい事例を分かりやすく紹介

ローカル×Web3.0編集部

ローカル×Web3.0編集部

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各地方でDAO形式のプロジェクト立ち上げを検討している方に向けてDAOの活用方法や導入するメリットやデメリット等に関して、分かりやすく解説しています。

この連載企画は、国と地域を問わずローカルでの活動にWeb3.0の技術や思想を活用している事例を紹介するメディア『ローカルWeb3』からのコンテンツ提供でお届けしています。当記事は『ローカルWeb3.0』にて、2023年5月30日に公開されたものを再編したものです。
地方創生の未来を切り拓くきっかけになりえる、DAOは、「Decentralized Autonomous Organization」の頭文字を並べたもので、「ダオ」と呼びます。日本語にすると「分散型自立組織」と訳せます。DAOは、地域課題を解決するためのきっかけになる可能性を持っている、Web3の技術・思想を取り入れた組織形態です。既に複数の自治体で導入事例があり、地方の関係人口を増やすきっかけにもなっています。

この記事では、各地方でDAO形式のプロジェクト立ち上げを検討している方に向けてDAOの活用方法や導入するメリットやデメリット等に関して、分かりやすく解説しています。

目次

「地方創生DAO」とは?

「地方創生DAO」とは、ブロックチェーン技術を活用し、地域活性化や地方創生を目的とした分散型の組織です。従来の縦割りの会社組織や行政組織と異なり、参加者全員がフラットに意思決定やお金の使い道に関与できます。地方創生DAOでは、地域住民や関係者が共同でプロジェクトを立ち上げ、運営し、成果を共有することで、地域コミュニティの強化や、地域課題の解決を目指します。

DAOとは?

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DAOは、スマートコントラクト(※)による自動執行機能を中心にして人々が自由な意思決定に基づいて参加し、それぞれの得意とする役割を果たすことで、プロジェクトを進めていく組織形態です。

※プログラムにより事前に取り決めたことが、自動で執行される仕組みのこと

報酬は、DAO独自のトークンやNFTによって支払われます。DAOの価値を上げることが自身の報酬UPにも繋がるため、参加者が同じ方向を向いて物事に取り組みやすくなります。基本的には誰でも参加可能なオープンな組織であることが多く(一部特定のNFT保有が条件になることもあります。)、意思決定の仕組みや報酬支払いも透明化されています。

地方創生DAOの仕組みと機能

地方創生DAOは、DAOの考え方を地方創生に応用した取り組みです。その仕組みと機能を、簡潔に説明します。

✔️コミュニティによる事業推進
地方創生DAOでは、地域住民や地域に関心を持つ人々が共同でコミュニティを形成し、意思決定や資源の配分に関与する。これにより、地域住民自身が地域の発展に直接関与することができる。

✔️トークン経済
地方創生DAOでは、ブロックチェーン技術を活用して独自のトークンを発行する。トークンは、コミュニティの参加者が提案や意思決定に投票する際に使われるほか、地域内での取引や報酬にも利用される。トークンの仕組みにより、全員が同じ方向を向いて事業を進めていくことが可能。

✔️透明性と信頼性
ブロックチェーン技術の特性上、DAOによる取引(財務状況)は全て公開される。これにより、情報の透明性が確保され、参加者間の信頼が築かれる。

✔️プロジェクト提案と投票
地方創生DAOでは、コミュニティ参加者が地域の課題やニーズに応じたプロジェクトを提案可能。提案されたプロジェクトは、トークン保有者の投票によって採択・資金調達が決まる。

日本の地方創生DAO事例紹介【ロールモデル】

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地方創生の取り組みが日本全国で広がるなか、新たな技術としてブロックチェーン技術を活用した地方創生DAOが登場しています。ここでは、その先駆けとなる日本の地方創生DAO事例を4つ紹介します。

1. 山古志DAO(新潟県長岡市山古志村)

https://www.city.nagaoka.niigata.jp/shisei/cate08/file/inobetiku-06.pdf (202759)

via https://www.city.nagaoka.niigata.jp/shisei/cate08/file/inobetiku-06.pdf
山古志DAOは、新潟県にある山古志村を再生させるための、地域活性化プロジェクトです。山古志村は、豊かな自然と伝統文化を持つ村でありながら、2004年に発生した新潟県中越地震の影響もあり、過疎化や高齢化により人口が減少しています。

山古志村再生の手段としてNFTをデジタル住民票として発行し、デジタル住民によるDAOが組成されました。現状、デジタル住民によるさまざまなプロジェクトが進行中です。DAOの参加者はプロジェクトの立ち上げやプロジェクトの実行可否について投票により意思決定することができます。

2. 美しい村DAO(静岡県松崎町、鳥取県智頭町)

https://www.chisou.go.jp/tiiki/kankyo/teian/2022sdgs_pdf/presentation/02_P_chizucho.pdf (202769)

via https://www.chisou.go.jp/tiiki/kankyo/teian/2022sdgs_pdf/presentation/02_P_chizucho.pdf
美しい村DAOは、全国各地の美しい村々(豊かな自然環境が残されている)の再生を目指す地域活性化プロジェクトです。このプロジェクトでは、各地の村の魅力を再発見し、それらを活用した観光事業や地域産品の開発を行っています。

美しい村DAOの特徴は、複数の村が連携してDAOを構成していることです。現時点では、2町村が参加しています。2024年には、30町村の参加を目指しています。

3. みちのくDAO(宮城県仙台市)

https://www.netsugen.jp/wp-content/uploads/2023/03/20230316_michinokudao.pdf (202773)

via https://www.netsugen.jp/wp-content/uploads/2023/03/20230316_michinokudao.pdf
みちのくDAOは、東北地方の経済的自立を目的とした地方創生DAOです。宮城県仙台市は、国家戦略特区として、仮想通貨(暗号資産)やDAOの規制緩和を目指す3つの提案を行いました。提案された規制改革は、次の3点です。

・トークンに係る税務・会計基準の明確化
・DAOの法制化及び既存規制の緩和
・投資ビークルの規制緩和

これにより、Web3.0ビジネスへの挑戦が容易になり、新たなデジタル経済圏が創出されることが期待されます。規制改革により、ビジネスの可能性が広がることでしょう。

4. Web3タウン(岩手県紫波町)

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Web3タウンはブロックチェーン技術を活用した地方創生の新しい取り組みで、地域の活性化を目指しています。地域活性化には、「人」の多様なつながりが大切です。そのため、岩手県紫波町では、最先端のWeb3技術を駆使し、さまざまな人々との結びつきを創出する「Web3タウン」を目指しています。

具体的な取り組みとしては、地域の課題解決を目指すDAOの設立や、Web3技術を活用した新しい地域通貨の発行などです。さらに、ふるさと納税の返礼品としてデジタルアートをNFT化し、Web3技術を推進する企業を地域に誘致することも計画されています。これらの施策により、地域の活性化や新しい価値創造が期待できるでしょう。

今回の記事では「DAOとは何か?」について解説しまし、国内での代表的な事例について紹介しました。次回はDAOを使った組織づくりの「メリット/デメリット」について整理していきたいと思います。

<著者プロフィール>
岡 拓馬
デジタルマーケティング専門家、プロのwebライター・webディレクター、フリーランスのSEOアドバイザー。2014年に独立し、デジタルマーケティングのフィールドに足を踏み入れる。SEO・コンテンツマーケティングを核としたプロジェクトで成功を収め、クライアントのビジネス成長を支援。その傍ら、DAOに興味を持ち、リサーチとアドバイザリー業務にも携わるようになる。現在は、デジタルマーケティングとDAOの知識を活かし、クライアントとのパートナーシップを通じて事業成長を加速させている。特に、ブロックチェーン技術と組織運営の新たな可能性に魅せられ、DAOに関する啓発活動と実践に力を注いでいる。

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