地方で働く女性、都心で働く女性、子育てをしながら働く女性、さまざまなライフスタイルを送る女性たちを取り上げ、女性の健康課題や社会課題について考える対談コンテンツ『フェムコト』。
今回対談させていただいたのは、漫画家のまんきつさん。大のマンガ好きから、「仕事として携わりたい!」とマンガの世界へ。自身の体験を綴ったマンガ『アル中ワンダーランド』や『湯遊ワンダーランド』などの作品に続き、美容ヲタク歴23年の一つの集大成ともいえる『そうです、私が美容バカです。』を発売しました。あらゆる美容法を試してきたまんきつさんのお話は、キレイになりたいと願うすべての人、必見です。また、今なお苦労しているという生理との向き合い方などについてもお聞きました
ーまんきつさんの3つのルールー
RULE1.美容は安くてもいいものを継続して使う
RULE2.自分の肌をこまめにチェックする
RULE3.食事と睡眠を大事にする
〈Profile〉
漫画家・まんきつさん
1975年生まれ。埼玉県出身。自身のアルコール依存症を描いた『アル中ワンダーランド』(扶桑社)は累計発行部数7万部超。サウナでの実体験を綴った『湯遊ワンダーランド』(扶桑社)は2023年にTVドラマ化され話題に。現在、週刊SPA!で『犬々ワンダーランド』、anan webで『そうです、私が美容バカです。』を連載中。
X @kitsukomz
とにかく試して、自分の肌に合うスキンケアを知る
フェムテックtv:まず、まんきつさんが漫画家を志したきっかけを教えてください。
まんきつさん:小学生の頃からマンガを読むのが大好きで『週刊少年ジャンプ』や『りぼん』など、少年マンガから少女マンガまであらゆる作品を読んでいました。実家にはちょっとした漫画喫茶くらい、マンガがありましたね。
フェムテックtv:すごいですね! 影響を受けた漫画家さんはいたのでしょうか?
まんきつさん:始末人シリーズなどを描かれている明智抄先生に影響を受けました。それから高校生になって“マンガを読むより描きたい”と思い、大学4年生のときに江川達也先生のアシスタントをすることになったんです。
フェムテックtv:アシスタント時代を経て漫画家デビュー。どの作品もすごくおもしろいです。1月31日に発売された『そうです、私が美容バカです。』は、anan webで連載されていたものの書籍化ですよね。連載するきっかけはなんだったのでしょうか?
まんきつさん:私と漫画家の鳥飼茜さん、オカルト編集者の角由紀子さんで美容イベントを開催することになって。それをX(当時はTwitter)で告知したら、編集担当をしてもらうことになるマガジンハウスの柳川英子さんから連絡をもらいました。私自身、美容マンガをずっとやりたかったので、“ついに来たぞ!”と思いましたね。
フェムテックtv:25歳から美容にドハマりしたとのことで、あらゆる美容法を試されたかと思います。年齢とともに、美容法にも変化はありますか?
まんきつさん:20代のときは、そんなに美容にお金をかけられなくて、基本は家でのセルフケアでした。ただ48歳になっても、それは変わりません。セルフでも、結構なんとかなるんですよ。
フェムテックtv:正直、年齢とともに美容医療に頼ったり高級な化粧品を使ったりするなど、お金をかけないと厳しいと思っていました。まんきつさんが普段、どんなアイテムを使用しているのか気になります。
まんきつさん:『サンソリット』の石鹸は20代の頃から使っていますが、やっぱりいいですよね。エイジングケアのために1本5万円ほどの美容液を使っていた時代もあって、やっぱりいいものはいいなと実感はあったんですが、高いアイテムは継続が難しいんですよね。それより美容で大事なのは、自分の肌に合ったものを継続すること。私が最近好きなのは、『白潤』の化粧水。それからワセリンと日焼け止めを愛用しています。この3つが最低限のアイテムですね。
フェムテックtv:著書には美容医療のことも描かれていて、これからやってみたいと考えている方は必読ですよね。
まんきつさん:そうですね。正直、レーザーなどは続けることでより効果が発揮されるものという印象があって、私のようにお金にそこまで余裕がない人間にはそれが厳しい。そんな中で50歳近くなった今、高くてもやって良かったと個人的に強く思えたのが切開リフト。100万円くらいしたんですが、そのためにお金を貯めておくのがいちばん経済的だったかもって、それくらい私は効果を実感しました。もちろんリスクもあるので、やる前にどの病院のどの医師に依頼するのか、よくよく検討されることをおすすめしますが。
フェムテックtv:自分に合う美容法は、どのように見つけたらいいのでしょうか?
まんきつさん:毎日、自分の肌状態をこまめにチェックしています。その上で“この化粧品は合っていたんだな”“これは肌が赤くなったからやめよう”とか。とにかく自分で試すしかないんですよね。コツコツと。面倒臭いんですけどね(笑)。
一人行動が堂々とできるのはキレイのおかげ
フェムテックtv:サウナ好きが高じて『湯遊ワンダーランド』も描かれていますが、サウナと美容の関係性は感じていますか?
まんきつさん:肌荒れって、ストレスともすごく関係していると思うんですよね。ニキビがひどい時期があったんですが、当時は漫画家のアシスタント時代でストレスがすごくて。私はサウナに行くとストレスがなくなるので、肌にもいいんじゃないかと感じています。
フェムテックtv:外見を美しく磨くことで、得られることはありますか?
まんきつさん:昔から一人行動が多くて、一時期は“一人ボート”も好きで井の頭公園でよく漕いでいたんです。そしたらすれ違う際に「ロンリー」といきなり言われたことが。キレイになってちゃんとメイクしていい格好をしていれば、一人行動でも可哀想と言われないかと思っています(笑)。本当はロンリーって言われようが気にしなければいいだけなんですけどね!
フェムテックtv:(笑)。キレイになることで自己肯定感も上がると思いますか?
まんきつさん:そこまで爆上がりするってことは自分の性格上なかったですが、切開リフトをやる前は鏡を見るたび落ち込んでいましたが、それはなくなったかもしれないですね。
フェムテックtv:美容は一つの悩みが解決されても、次から次へと気になることが出てきてしまいますよね。
まんきつさん:もうそれは一生なくならないなと思います。歳を重ねてまぶたのたるみも鼻の下が伸びてきたのも気になる。“人中短縮”をコツコツ調べているので、4年後くらいには何かしら美容施術をしようかなと考え中。美容は終わらないですね。
生理1週間前からの不調は葛藤するも無理はしない
フェムテックtv:漫画家さんは締め切りに追われて生活が不規則になることも多いと思います。健康面で気をつけていることはありますか?
まんきつさん:食事にはすごく気を使っています。お米にはハトムギを入れて炊き麦ご飯をつくり、梅干しと納豆は毎日摂取。たまにストレス解消で家系ラーメンとかも食べますけどね。
フェムテックtv:ストレスによる食の変化は、生理前などですか?
まんきつさん:そうですね。生理1週間くらい前になると、いろいろと不調を感じます。胸が張り、頭が痛い。ずっと眠いしやる気も出なくて、メンタルが落ちてしまいます。そんなときは、何もせず寝る。生理が始まるとケロッと良くなるんですけどね。生理時はスキンケアも特別なことはせず、極力シンプルに過ごします。
フェムテックtv:生理痛などはいかがですか?
まんきつさん:生理痛もひどくて病院に行ったこともありました。それで28歳のときに、子宮内膜症が発覚したんです。治療のため1年間、ホルモン剤を投与して生理を止めました。正直、生理がない期間はPMSもなく楽でしたね。
フェムテックtv:現在は、PMSのほか女性特有の健康課題などはありますか?
まんきつさん:更年期を感じています。よく冗談で「更年期かも」なんて言っていた時期がありましたが、そんなのは甘い。48歳からガチのやつが来ています。
フェムテックtv:何か対策はされていますか?
まんきつさん:病院に行っても女性ホルモンの数値は通常なんですよね。それでこんなにツラいんだったら、この先どうなっちゃうんだろうと怖いです。今はただ、エクオールというサプリをひたすら飲むくらいのことしかしてないんですよね。PMSとは違って、更年期の症状はとにかく暑い! 冬でも家の中ではタンクトップを着て過ごしています。
フェムテックtv:年齢とともに体の変化も感じているかと思いますが、エイジングに関してはどう捉えていますか?
まんきつさん:生理も終わって60歳くらいからは無敵になれるんじゃないかなと思っています。銭湯で出会うおばあちゃんとかって、みんなすごく楽しそうなんですよね。
フェムテックtv:確かに銭湯で出会うおばあちゃんたちは、みんな若々しく元気に感じます! まんきつさんの元気の源はありますか?
まんきつさん:犬の存在はすごく大きいですね。私には息子が一人いますが、犬を飼うのって、子供が3歳くらいのめちゃくちゃ可愛い時期の育児がずっと続いている感じなんです。雨の日でも散歩に行くので、外に出る理由にもなっていますね。
フェムテックtv:「早く60歳になりたい」ともお話しされていましたが、今後のライフプランをどう描いていますか?
まんきつさん:ムエタイを習いたいです。ずっとやりたかったんですが、2年前に別れた6年間付き合っていた彼氏に「ムエタイは習わないで」と言われてたんですよ。だけど今年こそは習って試合にも出たいです。
フェムテックtv:美しくて強いなんてカッコいいです! それでは最後に、まんきつさんにとってのウェルビーイングな社会とは?
まんきつさん:みんなが食事と睡眠を大事にできたらいいですよね。基本だけど難しい人もいると思うんです。私は暇さえあればできるだけ睡眠を取るようにしています。まとめて眠るのが難しい人は、ちょこちょこ寝るのでもいいと思います。私のベストな睡眠は10時間なんですけど、これは寝過ぎですかね(笑)。食事はお魚など和食や野菜中心で3食とも食べすぎないこと。あとお水は1日にたくさん飲む。これはどんな人にも当てはまる美容法だとも思いますね。