ポートフォリオワークにパラレルキャリア?

特集 | 自分らしい働き方 | ポートフォリオワークにパラレルキャリア? 自由な働き方のQ&A!

これまでにない自由な働き方である「ポートフォリオワーク」「パラレルキャリア」。『パラレルキャリア研究所』の慶野英里名さんら6人の「ポートフォリオワーカー」にそんな働き方を実践するために必要なことを伺った。


一つの仕事にこだわらない、自由な働き方を提案。


 社会の変化により多様な価値観が生まれ、本業のほかにも趣味にとどまらない「仕事」を持ちたい人が増えている。また最近はコロナ禍で一つだけの仕事を続けるのに不安を覚え、セーフティネット的な目的で副業を考える人も多い。さまざまな時世の移り変わりを受け、単に「副業」というだけでは実際のあり方を表しきれず、「ポートフォリオワーク」「パラレルキャリア(複業)」などと分類されるようにもなった。


『パラレルキャリア研究所』はそんな「広義の複業」をしたい人たちに向け、「パラキャリ酒場」などのイベントを開催する団体だ。イベントでは、ポートフォリオワークやパラレルキャリアを実践している人の講演会や、交流会での情報交換などで、実践的な一歩を踏み出すきっかけをつくっている。今回は『パラレルキャリア研究所』代表・慶野英里名さんほか、イベントの講演経験者や常連など、複数の仕事を持つ方に集まってもらい、お話を伺った。


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「パラキャリ酒場」は、お酒を飲みながらポートフォリオワーク、パラレルキャリアについての講演会や交流会などを開催。

複業を選択すると、さまざまな豊かさが得られる。


ソトコト(以下、S) 皆さんはポートフォリオワークやパラレルキャリアを着実に実践し、結果を出しています。そうできた理由は何でしょうか?


慶野英里名(以下、慶野) やっぱり、「やってみる」の精神だと思います。何か新しいことをやりたいからと下調べをするのは大事ですが、ずっと調べているのではなく、なるべく早い段階でやってみると、自分の強みや世の中で必要とされるものがわかります。そこで軌道修正をかけていければ早い。


Ami Latte(以下、Ami) 慶野さんはよく「発信が大事」と言っていますが、私もコンテストに出たり、なるべく「習い事」の範囲で終わらないようにしようと心がけました。外部の目につくところに出たうえで、「やってみる」ようにしました。


本園大介(以下、本園) 広い意味では発信になると思いますが、僕は交流会に参加したり、自分で企画したりもしました。自分が何をしているのかわかってもらったり、まったく違う視点から強みを発見してもらえたりするので、「次はこういう仕事もしてみない?」と声をかけてもらえたりします。


 ポートフォリオワークやパラレルキャリアで働く魅力は何ですか?


Ami この先の人生が楽しみになること。お金はもちろん大事ですが、ビジネスというよりはじっくり実力を蓄えて、10年後、20年後にも満足できるほど収入を得ながら、楽しんで仕事ができたらと思っています。


慶野 長期的な目標と短期的な目標の使い分けがすごいなあ。


中村龍太(以下、中村) 「働く」ことで得られる豊かさの種類が増えますね。今年3月に『多様な自分を生きる働き方 COLLABOWORK 誰にでもできる複業のカタチ』(エッセンシャル出版社)という本を上梓しましたが、僕はその中で、幸せな生き方をするためにはお金、スキル、人脈などのさまざまな「貯金」を再生産することが大事だと書きました。ひとつの会社では1種類しか再生産できなくても、たくさんの仕事があればいろんなものを再生産できます。これらのさまざまな貯金を、自分がなりたい幸せの形に合わせて、ポートフォリオを入れ替えるように調整していけるのがいいところですね。


清水正樹(以下、清水) 新しい人間関係ができるというのは確かに大きい。やりたいことをできる、お金が生み出せるというのも大切ですが、新しい挑戦をすることで、新しいコミュニティに所属できるのは魅力です。


宮武杏里(以下、宮武) 私は、組み合わせによって、自分にしかできない生き方ができることも魅力だと思っています。私は編集の仕事も好きだし、モデルの仕事も自分を活かせる経験だと感じています。それが結びついて社内で動画出演の依頼があったことなどは、ほかでは得がたい経験だったのではないかと思います。


慶野 これまでの副業は、ほとんどが「いくらお金が稼げるか」にフォーカスされていました。もちろんそれは大事ですが、ほかにも社会資本をどう増やすか、その先どういう自分になりたいのかまで考えられるのがポートフォリオワークやパラレルキャリアです。


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左から中村龍太さん、清水正樹さん、慶野英里名さん。

複業を軌道に乗せるために、心がけておきたいこととは。


 ポートフォリオワークやパラレルキャリアは複業だけに生活のバランスを取るのが難しそうです。皆さんが気をつけていることや、うまく回していくためのコツはありますか?


清水 僕の場合は、ある程度軌道に乗ったら別の人も巻き込んでしまうことです。自分じゃなくてもできそうなことがあれば、複業でやってくれる人に投げてしまう。このときに気をつけているのは、任せたい内容を整理して、いかに相手が着手しやすいよう下地をつくっておくかということです。私が住んでいた大型シェアハウスでは累計15人ぐらいに仕事を依頼して、結果的に複業人口を増やしていましたね(笑)。ほかにも住人同士で、一緒に複業を立ち上げていた方がいましたし、大勢が住むシェアハウスに住んでみたり、交流会に参加するなどして、とにかくたくさんの人と触れ合って仲間を見つけるのもいいと思います。


慶野 確かに、忙しそうな社長やフリーランスから仕事をもらって始めるというパターンはよく聞きますね。


清水 それで資金が貯まったら新しいチャレンジをする。


中村 僕は「引き裂かれない複業」をモットーにしています。ひとつの成果物をふたつの会社の成果物にする。たとえばにんじん栽培ではIoTを活用していますが、これはITを使った事例をIT会社に提供することで、農業とIT業ふたつの成果物になります。双方からお金がもらえ、時間の節約にもなる。ただ限界は2つまでですね。3つ、4つと同時に成果を増やそうとすると、どうしてもぎくしゃくしてしまいます。


宮武 慶野さんをはじめとする先輩方に相談したり、働き方を参考にさせてもらっています。話を聞くだけでもパワーをもらえるし、自分はこれが限界だと思っていたことでも、新しい視点を提示してもらえることでまだ大丈夫だと気づけたりする。いろんな人の話を聞いて多角的に判断するのが大事なのではないでしょうか。


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左から本園大介さん、宮武杏里さん、Ami Latteさん。

複業が伝えてくれる、その人ならではの魅力。


 ポートフォリオワークやパラレルキャリアを始めて、生活や生き方がこんなふうに変わったというのはありますか?


Ami 結婚しました! 私が歌に真剣に取り組んでいるところを見た夫が好意を持ってくれたのがきっかけです。ジャズを歌っていなかったらきっと結婚していませんでしたね。


慶野 本当に!? 実は私も、清水さんと同じ会社の方と結婚したのですが、一緒にコンサルタントの複業もしているんです。仕事人としての側面を知って理解が深まったこと、今後もシナジーが生まれそう、というのは結婚の決め手になりました。


清水 パワフルさが魅力だと言っていましたよ。


本園 好きなことをイキイキとやっていると、そんな自分に魅力を感じてくれる人や、それを応援したい人を引き寄せるのかもしれませんね。僕もグラレコを通じてたくさんの出会いがあり、そんな慶野さんに続けるといいなと考えています。