沖縄県の石垣島と宮古島の間にある多良間島。

最近この島の名前が広まった理由のひとつが、
飛行機の搭乗回数を重ねて、航空会社の上級会員資格を狙う、いわゆる“マイレージ修行”

「たけたけさんも、ついに修行の道に入りましたか?」
いやいや、それは違う。
誇れるものは食欲だけ
ただ、美味しいものに出会うためなら、東京から三本の飛行機に乗ることは厭わない―「人生は食欲」そんな軟弱系トラベラー
願わくば、この食欲をちょっとだけでも世の中に役立てられたら、そう思って参加したのが、沖縄県の関係人口プログラム「島まーる」の課題解決ツアー「全国きき黒糖大会(仮称)日本農業遺産の島でひらく “第0回・大会づくりの旅”」 ― 日本一の黒糖のふるさとで、文化の未来に関わるという言葉に、食欲がピンときて、私の食欲が“消費”で終わらせず、“関係”に変えられるかも・・・そんな期待を持っての参加
甘くない畑と、甘くて爽やかな休憩
美味しいものが育つ環境を知りたい。
「さとうきび収穫作業」が体験できることは魅力的。ただ、黒糖を食べ比べるだけではない、貴重な経験ができる!と
そして畑へ。
体験レベルとはいえ、しっかりキツい。

刈る。
束ねる。
運ぶ。
普段PCのキーボードより重いものは触らない軟弱系、明日は絶賛筋肉痛の予感でいっぱい・・・
でも、休憩時に差し入れとして出された「しゃたぱんぴん」(沖縄本島でいうサーターアンダギーの多良間方言)
……これは衝撃だった。

疲れていたから美味しいのではない。
黒糖の甘さは、ねちっとせず、軽やかで、口の中で爽やかにほどける。
脂っこさはなく、甘さがすっと体に染み込む感覚。
「多良間の黒糖…!」
疲れた体と軟弱な心を、一瞬で満たす甘さ。
甘いだけじゃなく、爽やかで、力をくれる甘さ。
高倍率をくぐり抜けた、奇跡の7人
今回のツアーはかなりの高倍率だったらしい。
選ばれた6人+私。
プログラムコーディネーター、関係人口の先輩たち、地元多良間の皆さん、
これがもう、本当にステキなメンバー
ロジカルに考える人。
デザインができる人。
場を明るくする人。
視点が鋭い人。
大会設計のワークショップは短い時間でガチに取り組む
でも、笑いも絶えない。
第0回大会は“完成品”ではなく、“実験“
この仲間だからできたんだ!

理想のテイスターと、軟弱な言語力
大会当日。
聞き黒糖は沖縄の8種類の黒糖

本当はこんな風に聞き黒糖をするイメージだった
「立ち上がりに軽いカラメル香、後半にミネラルのニュアンス」
「○○島産の特徴は、重厚なテクスチャー」
「溶ける瞬間に微かな塩味がふわっと立つ」
現実はこうだ。
「甘い!美味しい!……あ、でもさっきと違う甘さかも?!」
ある黒糖は口に入れた瞬間、ふわっと軽くほどける。
きめ細かく、さらりと溶ける。
別の黒糖はねっとり密度があり、黒蜜のような深みが舌に残る。
そして、多良間の黒糖。
爽やかで、やっぱり美味しい。
さとうきび畑で汗をかき、さとうきびを絞って
製糖工場で煮詰められる様子を見て、
作り手であるエコファーマーさんから話を伺う。

その記憶が、爽やかな甘さの美味しさ。
もしスーパーの棚で手に取っていたら、
ここまで感じられただろうか。
甘さは同じでも、背景は違う。
多良間島は黒糖の品質・甘味の深さ・生産量で日本一を誇る。
でも私にとっての“日本一”は、数値ではなく、体験の記憶をイメージする爽やかな甘さ

味覚も美味しさを表す言語化もまだ未熟。
聞き分けは全然できていない。
でも、「美味しい」と感じる解像度は、確実に上がった気がする。
回数ではなく、関係を重ねる
マイレージ修行をするのは個人の自由かもしれない。

それでも
多良間島は、回数を重ねる島ではなく、
関係を紡ぎあう島
修行すべきはフライト回数ではなく、刈って、学んで、考えて、味わう味覚の解像度。と私の食欲はお腹の底から訴える。
次に訪れるときは、
「今年の新糖のテクスチャーは、余韻が長いですね」と言える自分になっているだろうか。
いや、たぶんまずは、
「やっぱり美味しい」

とにっこり言って、口の中には甘く爽やかな余韻――まるで多良間ブルーの海風に包まれたかのような、ゆるやかで楽しい余韻が残るはず。
軟弱でもいい。
体力に自信がなくてもいい。
私の溢れる食欲は、多良間島との関係を紡ぐ助けになるはず・・・



















