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まちは「つくる」と「まもる」の共存へ——油津商店街の仕掛け人が見つけた、まちとの向き合い方〜第14回セミナーレポート〜

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日本関係人口協会が贈る人気シリーズ「関係人口の最強キーワード7」。第14回のテーマは「まちづくりからまちまもりへ」です。宮崎県日南市・油津商店街の再生で知られる木藤亮太さんをゲストに迎え、代表理事・指出一正とともに、まちを”つくる”ことのその先にある視点を語り合っていただきました。

前回の「ミッドナイトローカル」に続く本シリーズ、今回のホストを務める指出は、審査員を務める農林水産省の表彰制度で全国の中山間地域を回るなかで、多くの担い手たちが「新しいことより、今あるものをどう大事にするか」を考えていることに気づいたといいます。その実感を「まちづくりではなく、まちまもりではないか」という問いに変え、まさにその実践者である木藤さんに、今回のテーマについて伺いました。

目次

景観デザイナーだった木藤さんが、「まもる」にたどり着くまで

木藤さんはもともとランドスケープデザイナーとして、景観をつくり育てる仕事からキャリアがはじまりました。ダムに沈む集落の移転代替地の景観設計や、佐賀県唐津市・蕨野の棚田の重要文化的景観の選定に携わるなかで見えてきたのは、景観はただ保存するのではなく、そこに根づく生業(なりわい)とともに守られていくものだという考え方でした。福岡市天神のアクロス福岡のステップガーデンが完成から30年かけて緑豊かな姿へと育っていった写真を示しながら、時間をかけていい形に育てていく、整えてこと自体がデザインなんですよね、と語る姿が印象的でした。

よそ者だから気づけた宝物——油津商店街の広島カープ作戦

2013年、全国公募で選ばれた木藤さんは、家族5人で日南市に移住し、”猫すら歩かない”と言われた油津商店街の再生に4年間で29店舗を生み出しました。中でも象徴的なのが、地元では当たり前すぎて見過ごされていた「広島カープの春季キャンプ」を宝物(=まちの魅力資源)として掘り起こしたエピソードです。地元のみなさんの家に眠っていた古い写真やサイン入りグッズを焼酎と引き換えに集めたほか、球場から商店街への手書き地図を配って歩いたことで、シャッター街に全国からファンが押し寄せる流れが生まれました。新しいお店を無理に誘致するより、その町にもとからある思い出や記憶の延長線上に何かをつくる方が、結局は長続きする——木藤さんはそう振り返ります。

昭和の喫茶店を守ることが、実は一番”都会的”だった

現在木藤さんが拠点を置く福岡県那珂川市は、日南市とほぼ同じ人口5万人ながら、成り立ちはまったく異なるベッドタウンです。地元で商売をする人が少ないぶん、「町が活性化してほしくない」という声すら出てしまうこの町で、木藤さんは老舗喫茶店「キャプテン」を承継し、ナポリタンやウインナーコーヒーなど先代のメニューをほとんど変えずに出し続けています。チェーン店に置き換わっていく中心市街地で、その土地にしかない店を残すこと自体が、町のアイデンティティを守る行為なのだといいます。指出との対話では、「商店街が活性化することそのものより、そこに暮らす人たちのプライドや自信が取り戻されることの方が本質的なゴールなんじゃないか」という視点が共有され、まちづくりとまちまもりはどちらか一方ではなく、両方を兼ね備えていくものだという結論にたどり着きました。

読者の皆さんへ——身の回りにも、まだ気づかれていない宝物が

木藤さんの実践から見えてくるのは、ゼロから何かを生み出す派手さだけがまちの価値ではないということです。そこに積み重なった記憶や生業を丁寧にすくい上げ、次の世代に手渡していく仕事にも、同じくらいの価値があります。人口が増えている町にも、減っている町にも、それぞれの「まもるべきもの」があるはず。あなたの暮らす場所にも、まだ誰も気づいていない宝物が眠っているかもしれません。

本セミナーのアーカイブ動画は、日本関係人口協会の会員の方に限定公開しています。
▶ 詳細・入会はこちら:https://kankeijinko.jp/

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