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特集 | みんなの学校

『ciokay』代表・森健太さんの「学び方」

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北海道・浦幌町の地域おこし協力隊隊員として始めたコスメティックの仕事。ハマナスのこと、コスメのこと、販売のこと、会社のこと、地域のこと。初めて経験するさまざまなことを、自身の学び方で吸収し実践しています。

目次

【学び方の3つのPOINT】

目の前に現れる課題に対して、人や本、インターネットから学びを得て、試行錯誤しながら解決に導く。同業者から商品のサービスや説明を受けるなど、客側の立場になって商品を見つめ直してみる。

地域の行事に積極的に参加し、そこで役割を得ることが地域を知り、学ぶためには大事。

地方での仕事に関心を持っていた大学時代に、北海道・浦幌町のスタディツアーに参加したことがきっかけで地域おこし協力隊隊員になり、浦幌町に移住しました。与えられた任務はコスメティック商品の開発でした。浦幌町では、小・中学生が第一次産業を体験し、地域課題の解決に取り組むことで、町に愛着を持ち、将来の地域づくりの担い手になってもらおうと「うらほろスタイル」というプロジェクトを行っていました。そこで学んだ子どもたちから提案されたのが、日本のバラの原生種の一つ、町の花でもある「ハマナス」を使った地域活性化でした。そのコスメ事業が、本格的に始まったのです。

ただ、化粧水と乳液の違いも知らなかった私ですので、コスメについて一から学ぶ必要がありました。オーガニックコスメの製造を手がけるメーカーの担当者さんから、化粧品の成分や効果・効能、使い方を教わりながら、町の女性の皆さんと一緒に「ハマナスコスメブランディング会議」を開き、浦幌町らしい商品づくりを検討しました。

試作を重ね、約1年半の試行錯誤の末に、天然由来成分にこだわった「ロサ・ルゴサ」が誕生しました。目の前に現れる課題を解決するために学び、トライ&エラーを繰り返しながら、ハマナスのコスメの完成にこぎつけたのです。

さらに、化粧品の8〜9割は水だと知りました。そこで、町内の農園で栽培されているハマナスを手摘みで収穫し、閉校になった学校の理科室で花びらを蒸留し、「ローズウォーター」の製造を始めました。生産工程は、バラの産地で有名なブルガリアの公的な機関がインターネットで発信している情報からも学びました。

販売については、自分が接客を受けることで学びました。コスメ商品の客になったことがなかったので、“お客様目線”を養わなければと、百貨店の催事場で出店されている他店舗の客になって、ブランドの説明や効果・効能、使用感、商品のストーリーなどの伝え方を研究しました。そのとき、「ロサ・ルゴサ」の強みが何かを説明する大事さを学べたと思います。

もう一つ学んだのは地域のことです。「ロサ・ルゴサ」は地域の皆さんの協力がないと誕生しなかったブランドですから、地域との関係性は何よりも大切にしています。どうやって学んだかというと、お祭りや行事など地域のイベントのほぼ全部に参加しました。運営側として何か役割を与えてもらい、名前と顔を覚えてもらったのです。私がどういう人間で何をやっているのか、わかっていただけて、地域のことを教えていただける機会も増えたと思います。

私が代表を務め、「ロサ・ルゴサ」を販売する『ciokay』では今、農園スタッフや催事に出店する際にスポットで働いてくれる仲間が、合わせて10名ほどいますが、さらに地元の雇用の場になれるよう、学びを深めていきたいです。

 (180066)

もり・けんた●1994年三重県生まれ。大学卒業後、地域おこし協力隊隊員として北海道・浦幌町へ移住。アイヌ語で「私たち」を意味する『ciokay』の代表を務め、ハマナスを使ったコスメティックブランド「ロサ・ルゴサ」を、現在は全国110店舗で販売。
text by Kentaro Matsui, illustration by Itsu Horiguchi
記事は雑誌ソトコト2023年5月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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