和歌山県田辺市内の若手事業者の育成を行う「たなべ未来創造塾」で出会った、地元でスポーツ用品店を営む坪井直子さんと、移住者の北川雄一さん。地域で暮らし、その課題を見つめると、自分ならではの働き方が見えてくる。人とつながることで動き出した、ふたりの新たな挑戦について伺った。
まちのスポーツ用品店× スポーツトレーナーの挑戦。
当初は店舗1階の一角で行っていたが、坪井さんは店舗2階の空きスペースを思い切って改装。イベントスペースをつくり、「子ども体操教室」をはじめ、さまざまな用途に活用している。「よい環境があって仲間がいれば、子どもは体が自然に動くものなんです。だからその両方をつくった坪井さんは本当にすごい!」と北川さんは語る。子どもたちの駆け回る足音と楽しそうな笑い声が『ツボ井スポーツ』に響いていた。
地域のニーズから見つけた、 自分らしい働き方。
大阪府堺市出身のふたりは、幼稚園からの幼馴染み。北川さんが23歳の時、スポーツトレーナーを志してアメリカへ渡り、祐子さんも約2年後に渡米した。6年間学び、アメリカの国家資格を取得し帰国。プロバスケットボールチームのトレーナーとして、仙台や京都で活躍した。
「これまでずっと僕についてきてくれた家族と過ごす時間をもっと大切にしたいと思い、今度は僕が環境を変える番だと移住を検討し始めました。根を張って生きる場所を見つけたかったのです」。ちょうど、本宮町にある宿の継業者の募集を見つけ、移住を決意した。その後、「家族で一から宿をやりたい」と動きはじめた時、同市の移住担当者から「未来塾」を紹介された。「最初はただ宿を運営するつもりでした」。学ぶ中で、この地域にスポーツトレーナーの知識と存在が必要だと感じた北川さんは、”宿+身体のケア&コンディショニング”で地元の方からも愛される場所をつくり上げた。
「ここが熊野に来るきっかけになるよう、ゆっくり育てていきたい」と、また会いたくなるような笑顔で北川さんは夢を語ってくれた。
『モドリゼノ宿』で トレーニングを体験してみました!
北川さん、坪井さんと同じ、「未来塾」4期生。普段デスクワークが中心で、運動不足気味な私が体験してきました。
text by Mari Kubota
記事は雑誌ソトコト2022年5月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。