岩手県釜石市を拠点とする「kuusooBREWING」は、ノンアル専門のファントムブリュワリー。ファントム（幽霊）と付くとおり、自前の醸造設備を持たずに全国の醸造所と連携し、アルコールなしでも“心酔える”ようなノンアルビールの開発に挑戦しています。３月には遂にクラウドファンディングで好評だったノンアルの白ビール、「Chillax White」の一般向け販売を始めました。

ノンアル文化を醸成するためにWEBメディアも運営している「kuusooBREWING」。コロナ禍の家飲みで酒量が増えノンアルも選択肢に加えたい人は多いでしょう。代表の神脇 隼人さんに「Chillax White」のこだわりはもちろん、ノンアルの楽しみ方についても教えてもらいました。

神脇さん：釜石ローカルベンチャーコミュニティ事業に参画することになり、東京から釜石市に移り住んだとき、車社会の地方では気軽にお酒が飲めないことに気づきました。豊かな自然があるからこそのサーフィンや登山といったアクティビティも酔っ払っていては楽しめません。
「kuusooBREWING」では、ノンアルを選べばより充実させられるであろう暮らしのシーンを想定してから、レシピを考えています。北海道のブリュワリーとコラボした「kuusoo BLACK」は、本を読んだり音楽を聴きがなら飲んでほしいノンアル黒ビール。ロースト麦芽のコクや香ばしさを味わい深く楽しみながら、作品の世界観にクリアな頭のまま浸れるようにとつくりました。

今回、一般発売を開始した「Chillax White」は長野のブリュワリーとコラボした、お風呂上りやサウナといったアクティビティ後のシーンを意識したノンアル白ビールです。リンゴにオレンジピールやコリアンダー、カルダモン、こしょうの４種のスパイスとエルダーフラワーを加えています。味わいはフルーティで華やか。入浴後やととのった後のビールは美味しいですが、アルコールなしの方が美容にも健康にも良いですよね。白ビールは女性に人気なので、妊娠中や授乳中にも味わってもらえればと思っています。

「Chillax White」のこだわりはもうひとつ、ビール好きだけでなく、ビールが苦手な方にも飲んでもらえるように開発したこと。ビールが好きな方にはローカルのクラフトビールを飲むような満足感を、また、ビールやお酒自体が苦手な方にも飲めるような華やかで奥行のある香りを楽しめる味わいにしています。　

神脇さん：ソバーキュリアスという言葉、テレビや新聞などのマスメディアでもよく聞くようになりましたよね。お酒は飲めるけど飲まない人達や価値観のことで、欧米のミレニアル世代から広まり、日本にも浸透しつつあります。
今後さらにノンアルを楽しむライフスタイルを広めたくて、「のんあるのあるくらし」というWebメディアを立ち上げました。単にノンアル飲料を羅列するのではなく、健康や文化といった視点から捉えたメリットや楽しみ方を紹介しています。ノンアルを選ぶことは本人の健康を気遣うだけでなく、アルコールによる病気や事故を社会から減らすという社会課題の解決にもなることも伝えていきたいのです。

「のんあるのあるくらし」をのぞいてみると、ノンアル飲料のレビューだけでなく、つまみやグラスの選び方からドラマや音楽とのペアリングまで、さまざまな提案がしてあります。
知らないと勿体ないくらいに豊かになったノンアル文化。ドクターストップがかかったからなんて悲しい状況にならずとも、ポジティブに楽しんでいきたいですね。

《Chillax White》
内容量：330ml
アルコール分：0.00%　
原材料：麦芽、りんご果汁、果実果皮加工品、ホップ、コリアンダー、エルダーフラワー、カルダモン、こしょう/酸味料（乳酸）、炭酸
価格：670円（税込・送料別）

・「kuusooBREWING」販売ページ
・のんあるのあるくらし

文／時津 木春