名古屋のまちなかでは、いたるところで黄色または赤色の回転灯が回る光景が見られます。喫茶店などの飲食店の看板には回転灯がついているのが当たり前。回転灯が光っていれば「開店しています」の合図です。地元民にとっては日常の光景ですが、県外から訪れた人には、あまりの回転灯の多さに驚かれることも。いったいなぜ、名古屋では独自の“回転灯文化”が広まったのでしょうか?
愛知県は回転灯の売上1位!
まず話を聞いたのは、回転灯を製造・販売している株式会社パトライト。大阪と東京に本社を置き、回転灯などの報知器の世界シェアトップを誇る企業です。
パトライトの売上報告によると、2020年度の回転灯販売数は愛知県が1位。
<都道府県別 2020年度回転灯販売数ランキング>
1位 愛知県 5億7000万円
2位 大阪府 5億円
3位 東京都 3億8000万円
4位 神奈川県 1億3000万円
5位 福岡県 1億1000万円
ちなみに、回転灯は看板以外にも、駐車場の出入口、コンビニの出入り口(緊急事態用)、工場設備、緊急車両などに広く使われています。とはいえ、大阪・東京の大都市をおさえて愛知県がトップというのには理由があるのでは…。
車社会&喫茶文化が回転灯の数に関係している?
看板に回転灯を採用している店といえば、やはり多いのは喫茶店。そこで、愛知県喫茶飲食生活衛生同業組合の鈴木副理事長に取材すると、次のように語ってくれました。
「車に乗っていてもよく見えるよう、回転灯でアピールしたのでは。昭和40年代頃から見かけるようになり、50年代にかけて増えていった印象です。どの店が最初に始めたのかまではわかっていないですね」
たしかに、他の都市に比べても名古屋は車社会。自動車検査登録情報協会によると愛知県の乗用車保有台数は全国1位です(2020年6月末時点で420万4454台)。
また、そもそも名古屋は喫茶店の数が多く、喫茶店を利用する人も多いことも関連しているのではないでしょうか。
総務省の調べでは、喫茶店数が最も多い都道府県は大阪府(8,680店)、次いで2位が愛知県です(7,784店)。さらに、都道府県庁所在市別の喫茶代への年間支出金額は岐阜市が1位、次いで名古屋市が2位。
車社会が形成されている上、まちに喫茶文化が根付いている。このような背景が、回転灯売上1位という結果につながっているようです。
名古屋のまちの回転灯コレクション
名古屋のまちに欠かせない回転灯。そのほんの一部を写真でお届けします。
(※写真の回転灯にはパトライトの製品ではないものも含まれています)