イベントの自粛や観光客の減少など、新型コロナウイルスの影響で過剰在庫を抱えることになった飲食店や小売店が数多くあります。このような状況下では、生産者の方々によって手間暇かけて作られた製品が、残念ながら廃棄されてしまうことも少なくありません。この食品ロス問題を解決しようと、2020年3月に北海道の札幌商工会議所は「北海道つながるモール~SOS掲示板~」の開設に乗り出しました。
札幌商工会議所の「北海道つながるモール~SOS掲示板~」とは。
コロナ禍で多くの飲食店が過剰在庫を抱えるなか、特に日本有数の観光立県でもある北海道は、観光客激減による飲食店や土産物屋へのダメージは大きなものだったといえるでしょう。
そこで、食品ロスをできる限り発生させないようにと開設されたサイトが、札幌商工会議所の「北海道つながるモール~SOS掲示板~」です。サイト開設当初は「新型コロナ経済対策掲示板 緊急在庫処分SOS!」という名称で、SOSという緊迫感のあるフレーズが大きな話題を集めました。
Twitterを活用した宣伝が全国各地で話題に。
北海道つながるモール~SOS掲示板~では、北海道内の飲食店で余った商品を在庫処分という名のもと低価格で販売しています。開設当初からアクセス数が好調だったこの掲示板ですが、SNSでの積極的な宣伝が成功要因の1つだと話題です。Twitterでの宣伝は日本全国多くの人の目に止まり、札幌商工会議所のツイートを見て「北海道を旅行している気分を味わいたい」「自粛中のお家グルメを楽しみたい」と全国から注文が殺到。その後、札幌商工会議所の取り組みは情報番組の「ZIP!」や「ヒルナンデス」で取り上げられ、急速に注目度がアップしました。北海道つながるモール~SOS掲示板~は、Twitterと上手く連携することで集客を増やしたSNS施策の成功例だといえるでしょう。
サイトに掲載されている商品をご紹介。
札幌商工会議所のツイートは、目にした人に「おいしそう!」「食べてみたい!」「買いたい!」と思わせる画像のチョイスが特徴的です。こちらでは、どういった商品が掲示板に掲載されているのか実際のツイートとともにご紹介します。
北海道の定番グルメ、魚介類や乳製品、スモーク製品
【新着】「北海道つながるモール」掲載情報
#北海道つながるモール
#札幌商工会議所企業名:神のマルシェ
主な商品:クリームチーズ 、ルバーブジャム、干物、スモーク製品
販売方法:ネット通販、電話注文掲示板URL:https://t.co/ObINWMMNJB pic.twitter.com/hqGEeJ28Nc
— 【札幌商工会議所 食産業・貿易課】北海道つながるモール~SOS掲示板~掲載情報 (@SOS50074531) August 26, 2020
こちらは、札幌市で幅広いジャンルの北海道グルメを取り扱う「神のマルシェ」の商品です。コロナ禍以前までは全国各地の物産展で商品を展開していましたが、現在は物産展の相次ぐ中止で販売機会が激減することに。この度、本来であれば物産展でしか手に入らない商品を、オンラインでも販売することに決めました。
不老長寿の果実、ハスカップ製品
【新着】「北海道つながるモール」掲載情報
#北海道つながるモール
#札幌商工会議所企業名:池田ワイン製菓(株)
主な商品:十勝きぶどう液
十勝ハスカップ液
ハスカップジャムなどの各種ジャム等
販売方法:ネット通販掲示板URL:https://t.co/0hl0pyEyPZ pic.twitter.com/pXDBRB57Tx
— 【札幌商工会議所 食産業・貿易課】北海道つながるモール~SOS掲示板~掲載情報 (@SOS50074531) August 14, 2020
池田ワイン製菓(株)では、北海道の名産品であるハスカップをメインに取り扱った商品を販売中です。「果実本来の美味しさを味わってもらいたい」という生産者の想いから、天然素材と果実のみの無添加加工での製造を実現しました。ジャムやジュース、ぶどう液など、北海道らしさが満載の商品を提供しています。
ふっくらした味わいが魅力のお米、ふっくりんこ
【新着】「北海道つながるモール」掲載情報
#北海道つながるモール
#札幌商工会議所企業名:(有)糧とく
主な商品:白米 北海道産ふっくりんこ
販売方法:電話注文掲示板URL:https://t.co/DtXLrhRi3P pic.twitter.com/Z9Wu3dgg9B
— 【札幌商工会議所 食産業・貿易課】北海道つながるモール~SOS掲示板~掲載情報 (@SOS50074531) July 31, 2020
道南で開発された「ふっくりんこ」は、その名前にもあるとおりふっくらとした食感が魅力のお米です。もともと販売契約していた量販店とのキャンセルが発生したことをきっかけに、(有)糧とくが全国へ向けて郵送販売を開始しました。強い甘みとふっくらとした食感は、特に魚介系食材との相性が抜群です。
キャラクター商品やお酒も
北海道の応援キャラクター、バーチャルアイドルの雪ミク
【新着】「緊急在庫処分SOS!」掲載情報
#緊急在庫処分SOS
#札幌商工会議所企業名:雪ミク スカイタウン
主な商品:雪ミクキャラメル(ミルク味)
雪ミクホワイトチョコレート掲示板URL:https://t.co/Zk1sL00xfM pic.twitter.com/S10QuvQX24
— 【札幌商工会議所 食産業・貿易課】北海道つながるモール~SOS掲示板~掲載情報 (@SOS50074531) July 14, 2020
バーチャルアイドル「初音ミク」ファン必見。初音ミクをモチーフにした北海道の応援キャラクター「雪ミク」も、全国の皆様へ商品をお届け中です。雪ミクの専門ショップは新千歳空港内で営業していますが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で外国人観光客が減少。この度のオンライン販売では、雪ミクキャラメルや雪ミクホワイトチョコレートなどのスイーツ系商品を中心にお届けします。
ジューシーなお肉の北海道グルメ、ジンギスカン
【新着】「緊急在庫処分SOS!」掲載情報
#緊急在庫処分SOS
#札幌商工会議所企業名:札幌成吉思汗しろくま
主な商品:羊肉掲示板URL:https://t.co/nBBqr0207R pic.twitter.com/HliLqJO9XR
— 【札幌商工会議所 食産業・貿易課】北海道つながるモール~SOS掲示板~掲載情報 (@SOS50074531) July 14, 2020
コロナ禍でラム肉の売れ行きが悪化している北海道では、羊飼いと羊肉輸入業者の経営が圧迫されている現状があります。札幌成吉思汗(ジンギスカン)しろくまでは、ジンギスカンだけでなく羊肉ソーセージや羊肉つくねなどを販売中です。おいしいラム肉を味わいつつ北海道の羊肉業界をサポートしてみたい方は、ぜひ注文してみてはいかがでしょうか。
芳醇な味わいが魅力、余市ワイン
【新着】「緊急在庫処分SOS!」掲載情報
#緊急在庫処分SOS
#札幌商工会議所企業名:余市ワイナリー
主な商品:余市ワイン【樽熟ツヴァイゲルトレーベ、
ケルナー、ピノ・ノワール、ナイアガラ、
キャンベルアーリー他】掲示板URL:https://t.co/R5uqFSGBPu pic.twitter.com/G4FEnstapv
— 【札幌商工会議所 食産業・貿易課】北海道つながるモール~SOS掲示板~掲載情報 (@SOS50074531) June 22, 2020
余市町のぶどうを、余市町で仕込む。地元産にこだわった余市ワイナリーのワインもオンラインで販売中です。もともと団体客からの人気が高かった余市ワイナリーですが、観光客の減少をきっかけににオンラインでの販売に力を入れ始めました。ワインが好きな方は、ナイアガラやエルムキャッスルなど普段あまり目にする機会のない道産ワインをこの機会にぜひ。
仕事終わりの一杯にぴったり、滝川のクラフトビール
【新着】「緊急在庫処分SOS!」掲載情報
#緊急在庫処分SOS
#札幌商工会議所企業名:滝川クラフトビール工房
(大雪地ビール㈱)
主な商品:空知地ビール 3本・6本セット掲示板URL:https://t.co/gxfXkJsmD7 pic.twitter.com/Fd5Kx3nKjz
— 【札幌商工会議所 食産業・貿易課】北海道つながるモール~SOS掲示板~掲載情報 (@SOS50074531) June 17, 2020
ワインに続き、こちらは滝川クラフトビール工房によるビールのセットです。取引先からの発注や観光客の減少により、オンライン販売を積極的に開始しました。まだまだ暑い季節が続くなか、伝統的な醸造方法で作られた北海道空知地方のオリジナルクラフトビールは仕事終わりにおすすめです。
SNSでの集客は、飲食店の将来を握る鍵となる。
北海道つながるモール~SOS掲示板~による販売実績は、3月10日の開始日から7月20日時点までの約5ヶ月間で2億5,000万円に到達しました。この販売実績を達成した要因には、Twitterでの宣伝や拡散が注目を浴び、最終的にテレビメディアの目に止まったことが大きく関係しているといえるでしょう。上記で紹介した以外にもサイト内にはさまざまな商品が掲載されているので、ぜひ覗いてみてください。
札幌商工会議所の取り組み以外にも、SNSを積極的に活用し始める飲食店が増えつつあります。最近では「SNSで飲食店の宣伝をしてくれた方のなかから、限定100人に商品をプレゼント!」や「フォロワー数に応じて食事代を割引!」といったキャンペーンを開催し、キャンペーンを盛上げることで注目度を集める施策を取っている飲食店も少なくありません。売上の低迷にお困りの飲食業・生産者の方々はもちろんのこと、「なにか少しでも飲食店のサポートをしたい」という消費者の方々は、こういったSNSでの取り組みに目を向けてみると良いかもしれません。