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君たちキウイ・パパイア・マンゴーのうち愛媛が国内生産量一位はどれだか知っているかね。

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愛媛といえばみかん。日本人の多くが愛媛に抱くイメージだ。「愛媛県民の自宅の蛇口からはみかんジュースが出る」との都市伝説まで存在するが、近頃ではそれを逆手にとって、本当に柑橘ジュースを蛇口から出すイベントなども散見する。「かんきつ類全体」の生産量全国1位であり、しかも44年連続の記録を持っている愛媛はまさに柑橘王国の名に相応しい。しかし農作物の生産量が多いのは、実は柑橘だけではないのが愛媛県だ。例えば1980年代を代表する歌謡曲「君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。」の3つの果物のうちどれかは、愛媛が全国で生産量一位なのである。それは一体どれか、またその理由を追った。

目次

蛇口からみかんジュース

愛媛といえばみかん。
例え日本列島で四国や愛媛県の位置がわからなくとも、日本人の多くが愛媛に抱くイメージだろう。

このイメージは強固で、形を変え「愛媛県民の自宅の蛇口からはみかんジュースが出る」という半ば都市伝説にもなっている。
近頃ではそれを逆手にとって、空の玄関口である松山空港ロビーにて本当に柑橘ジュースを蛇口から出す什器や、またそれを活用したイベントなども散見する。
みかん

柑橘王国・愛媛

ところでみかんと言えばどの都道府県を思い浮かべるだろう。
みかんが入っている段ボールに書かれてあるのは・・と想像するに、和歌山・静岡・熊本と言ったところか。

実は一般的なみかんを指す「温州みかん」の愛媛県の生産量は最強のライバル・和歌山県に次ぐ全国2位なのだが、温州みかんとそれ以外の柑橘「中晩柑(ちゅうばんかん)」とを含んだ「かんきつ類全体」では堂々の1位であり、しかも44年連続の記録を持っている。

また愛媛はかんきつ類の生産品目数でも40種以上あり、こちらも日本一だ。
愛媛県によると、かんきつ類の収穫量は年々減少しているが、一方で中晩柑類への品目転換も進み、「紅まどんな」や「甘平」「せとか」など食味の良い優良品種が急速に増えているのだ。

まさに柑橘王国の名に相応しい愛媛。
しかし農作物の生産量が多いのは、実は柑橘だけじゃないのが愛媛県だ。

(統計出典:愛媛県ホームページ https://www.pref.ehime.jp/h35500/kankitsu/toukei.html

キウイ・パパイア・マンゴー・・のうち愛媛が生産量一位なのは

唐突だが、例えば1980年代を代表する歌謡曲「君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。」(歌:中原めいこさん)は夏をイメージした化粧品のCMソングとして作られたが、そのタイトルにもあるいかにも南国風なキウイ・パパイア・マンゴーのうちどれかは、愛媛が全国で生産量一位なのである。

答えは・・キウイことキウイフルーツだ。

キウイ

パパイア・マンゴーと同じ南国のイメージはあるものの、元々は中国原産の果物で、ニュージーランド人が自国に持ち帰り、その後品種改良に成功してアメリカに出荷する際に名付けられたのが、容姿が似ているニュージーランドを代表する鳥「キーウィ」を冠した今の名前だという。

世界での主な産地は中国、イタリア、ニュージーランドなどだ。
特にニュージーランド産のものは現在日本の輸入するキウイの94%を占め(財務省貿易統計)、それらは全て株主でもあるニュージーランドの農家を束ねるゼスプリ社がブランドの管理を行い、販売を総括している。

農林水産省統計によると近年の国内出荷量は2万トンから3万トンの間を推移しているが、一方財務省貿易統計による輸入量は2015年で78万トン、2020年で113万トンとこの5年間で急激に増えている。

ビタミンCを多く含み、また抗酸化成分が含まれ健康に良いとされる品種もあることから、人口減少により他の果物の消費が減る中でもキウイ人気は高まっていて、輸入量の増加につながっているのだ。

愛媛のキウイ

では一体なぜキウイ栽培が愛媛で盛んなのだろうか。

日本では1960年代に持ち込まれたとされるキウイだが、実は1970年代にみかんの価格が暴落した際、農地をみかんからキウイに転作する愛媛の農家が多くいたのである。

実際著者の知り合いの愛媛県西条市の複数のキウイ農家からは、かつて農地作物をみかんからキウイに、あるいはみかんから柿を経てキウイに作物転換した、などという話を聞いた。

全国でもみかん農家がキウイに転作した例は多く、その結果国内のキウイ生産トップ5に和歌山(3位)、静岡(5位)とみかん生産のライバル県が上位に名を連ねている。

キウイ生産量上位5位
1位 愛媛 6,000t 23.7%
2位 福岡 5,230t 20.7%
3位 和歌山 3,040t 12.0%
4位 神奈川 1,480t 5.8%
5位 静岡 949t 3.8%

データ:令和元年産果樹生産出荷統計(農林水産省) 

また国産キウイは、南半球のニュージーランド産のキウイが店頭に並ばない1月から3月にかけて出荷・販売されるが、先のゼスプリ社は店頭から姿を消さないよう、愛媛、佐賀、宮崎の農家と契約し自社ブランドの日本国内生産も行っている。これも愛媛のキウイ農家の生産量を支える要因の一つだろう。

愛媛県西条市内で栽培された収穫前のキウイ
愛媛県西条市内で栽培された収穫前のキウイ

いかがだろうか、愛媛=みかんのイメージから、キウイの生産量が国内一位とは意外な結果だったかもしれない。
しかしキウイの生産拡大の理由にはかつてのみかんの価格暴落があり、愛媛のイメージとして最も想起されやすい「みかん」との関係性が生んだ結果だったのだ。

是非次の国内キウイのシーズンにはスーパーの店頭などで生産地を調べてみて欲しい。
 

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