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広島県福山市中央公園リニューアルオープン!コンセプトは「市民による、市民のための公園」

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2021 年5月8日、広島県福山市で「中央公園」がリニューアルオープンするとともに、公園内の新築カフェレストラン「Enlee」がグランドオープンしました。

このプロジェクトは、民間のノウハウを活かして公園空間活用を推進する「公募設置管理制度(Park-PFI)」により、2020年4月、広島県福山市による事業コンペにて採択されスタートしました。Park-PFI を活用した公園づくりは、中国・四国地方では初の試みです。

目次

新たに生まれ変わった公園のコンセプトは「庭先」

市民一人一人が「遊ぶ」「学ぶ」「働く」の3つの視点で、公園を自分の家の庭先のように主体的に活用するための空間設計と運営デザインが採用されています。大手資本の事業主体であるPark-PFI が多い中、この計画はコンソーシアムの6社(福山電業株式会社/株式会社ガスエナジーヤブタ/建内レンタル株式会社/篠原テキスタイル株式会社/株式会社SPDX/株式会社leuk)すべてが福山市内の民間企業。「市民による、市民のための公園」としてのコンセプトが掲げられています。

自家農園で採れた季節の野菜を使ったレストラン「Enlee」、市民参加型マルシェ「NIWASAKI MARCHE」、パークウェディング事業のほか、食育教室、図書館と連携した子どもイベント、地域密着型の企業塾といった学びのコンテンツもあり、日常を楽しみながら暮らしをアップデートできる公園です。

Enlee(昼間の様子)

また建築設計を担当しているStudio Tokyo West 代表取締役の瀬川さんと、ランドスケープデザインを担当しているKLDO代表の亀山さんは、コンソーシアムの一員となり、パークマネジメントを担う株式会社leuk の取締役として公園での主体的な運営に携わっていきます。従来のクライアントワークとは異なり、建築家自らプロジェクトを立ち上げて設計と運営の両方を担う、建築家の職能を広げる事例としても注目されています。

福山市中央公園のポイント5つ

今回、デザインを手がけた二人(瀬川さん・亀山さん)から、福山中央公園のポイントを聞きました。

周辺のまちなみと連続する建築ボリューム

町と連続するボリューム

駅前の大きな建物のボリュームから商店街にむけてボリュームダウンし、建物のない公園へとつながっている既存のまち並みを尊重し、最大151坪の建築可能面積に対して建築面積は40坪程度とコンパクトに収め、低い平屋の建築を採用。

「中央公園の近くで暮らす」豊かさをリブランディングすることを重視し、周辺地域に圧迫感を与えず、また近隣住戸のパークビューを阻害しない計画になっています。

広場をぐるりと囲み、大きな広場を微分する分棟型配置計画

レストランの他に小さな「あずまや」を、大きな芝生の広場をぐるりと囲むように配置しています。あずまやとその間に生まれる小さな広場は、「食べる」「休む」「運動する」「遊ぶ」「買う」「結婚式を挙げる」など、多彩な活用法にタフに対応できる装置です。

配置計画。

また周辺の商店街や道路から伸びる動線に対し、顔を向けるように分棟や高木を配置。地域の風景に連続して新たな公園が自然と視界に入るようにしています。

「公園」と繋がる体験を設計

「公園のなか」という本質的な価値を最大限楽しんでもらうため、縁側のような腰掛けられるデッキ、軒下、ガラス、床材の切り替えなど、レイヤー状に境界のグラデーションをつくり、可能な限り内外の境界をなくすことを意識してつくられています。

5.1mの深い軒下空間でくつろぐ利用者。縁側状のデッキ部分に腰掛ける様子も。
5.1mの深い軒下空間でくつろぐ利用者。縁側状のデッキ部分に腰掛ける様子も。

大きな開口は商店街に視線が抜け、屋内床は公園と連続するよう、土(まさ土)で仕上げています。

動線を引き込み広場にひらく断面形状

動線を引き込み広場にひらく断面形状

分棟型のボリュームを周辺地域からの動線と中央の広場に対して傾けるように2つの方向性を持って配置。動線を迎え入れるようそれぞれ屋根勾配をつけた断面を採用しています。

5.1m の「軒下デッキ」空間と連続するグリッド

軒を深くとり、内部と外部の中間領域を大きくすることで、公園ならではの開放感が体験できる飲食スペースを最大化しています。屋内の柱と貫のグリッドを軒下まで連続させ、屋内と屋外の境界がグラデーショナルに感じられるようつくられています。

内部空間からつづく柱梁のグリッドにより、ガラスに隔てられた境界は感じられにくくなり、屋 外がより近く感じられます。
内部空間からつづく柱梁のグリッドにより、ガラスに隔てられた境界は感じられにくくなり、屋外がより近く感じられる。

市民の「やってみたい!」をサポートするパークマネージャー

パークPFI事業では、公園の整備や店舗営業だけではなく、市民が公園をより楽しく活用するためのマネジメントも重要です。中央公園で注目すべきなのは、専属の「パークマネージャー」がいるところ。株式会社leukのパークマネージャー、中西彩さんは、月に1度の市民参加型マルシェイベント「NIWASAKI MARCHE」や、隣接図書館と協働して子ども向けのイベントを企画・運営している他、市民の「公園でこんなことをやってみたい!」というチャレンジのサポートを担当しています。顔の見えるコミュニティマネジメントに特化した公園運営とすることで、市民が親しみやすく利用しやすい「ご近所さん」のような空気感をつくっていくことが、今回の市内民間企業による運営の強みでもあります。

芝生の広場を活用したダンス教室の様子。
芝生の広場を活用したダンス教室の様子。「公園で教室をやりたい」という相談がきっかけで、今ではイベントの度に人気の企画に。
隣接する市立図書館が主催した紙芝居イベント。
隣接する市立図書館が主催した紙芝居イベント。
毎月開かれるマルシェの様子。
毎月ひらかれる市民参加型マルシェ「NIWASAKI MARCHE」。
芝生の広場にはソファやテーブルなどが設置され、自由に利用できる
芝生の広場にはソファやテーブルなどが設置され、自由に利用できる。

 

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