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多様性

作る人と届ける人の未来。『本屋さんしか行きたいとこがない』

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 4月に『夏葉社』の島田潤一郎さんとトークイベントを開催する予定が、コロナウィルスの影響で泣く泣く延期することになってしまった。最後まで開催に前向きだった島田さんと何度もメールでやり取りをしているうちに、改めて島田さんの人柄に心を打たれた。彼の衒いのない誠実さは、そっくりそのまま彼の本作りに反映されている。だからこそ大勢の人の心を掴み、後世に残るような本を作り続けられるのだろうと思う。

 そんな島田さんが昨年から夏葉社での活動とは別に『岬書店』という個人レーベルを立ち上げ、それこそZINEを出版するようなスピードで立て続けに、さまざまな書籍を出版し始めた。この本はその『岬書店』から出版された6冊目の書籍で、普段メディアでは取り上げられないような町の本屋からいわゆる大型書店まで、本を売る場所である本屋を島田さんなりに、商品である書籍のことはもちろん、流通方法や消費者の購買志向も含めて多角的に考察した一冊になっている。本を作る側である人間から見た本を売る現場の状況はどうなっているのか。残念ながら未来は悲観的にならざるを得ない。だが、本を作る人と本を届ける人が本を愛することの尊さを知っているかぎり、本を売る場所は残っていく。Amazonにも疫病にも負けず、今日もあなたの町の本屋はシャッターを開ける。そんなことを信じてみたくなる本だ。

目次

『本屋さんしか行きたいとこがない』

本屋さんしか行きたいとこがない

著者:島田潤一郎 出版社:岬書店

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