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場づくり・コミュニティ

連載 | ソーシャル系大学案内

交野おりひめ大学(大阪府交野市)

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ソーシャルでエシカルな関心をもつ人を惹きつける、街の中に広がる学びの場「ソーシャル系大学」。今回は、大阪市の郊外に広がるのどかな田園地帯にある交野市の「交野おりひめ大学」を訪れた。平安時代から伝わる七夕伝説が彩る町で、2013年市民活性化プロジェクトとして始まったおりひめ大学。その後、市から独立し、今では7つの学科に約800人が集う市民大学として成長している。学長の甲斐健さんと事務局の川野輪陽子さんの案内で、「そば学科」と「おさけ学科」のコラボワークショップを見学した。

目次

地元に愛されるとはこういうことなのだと、わかる場面。

 大阪府と奈良県の県境、生駒山地の北端にある交野のまちは、大阪の中心部から電車で40分ほどにもかかわらず、山に囲まれたのどかな風景が広がる。今年で4シーズン目を迎える「そば学科」は、市内の休耕地5か所で実際に蕎麦を育て、収穫し、粉にひき、蕎麦を打ち試食するという会を続けている。

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 「おさけ学科」は発足から3年目。水の清らかな市内には『山野酒造』『大門酒造』という2軒の有名な酒蔵がある。おりひめ大学では両蔵元の経営者を市民教授としてお招きし、日本酒にまつわる学びを深めてきた。昨夏からは有志52名が酒米作りに挑戦し、現在はオリジナルの新酒を仕込んでいるところだという。

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 この日は、市民教授の羽石寛寿さんの講義を通してお酒と蕎麦の歴史について学んだあと、蕎麦打ちの実演と新酒の利き酒大会が催され、約60名が参加した。蕎麦打ちの実演では、見事な手際で蕎麦が打たれ、刻まれ、新蕎麦がゆで上がった。地元で採れた3色の大根も薬味に添えられている。ブラインドテストの要領で行われる利き酒大会では、2つの酒蔵から提供された6種の新酒がずらりと並んだ。蔵元も間違う難問だったが、見事だったのは、地元の銘酒「片野桜」を誰もが間違わずに当てていたこと。地元に愛されるとはこういうことなのだと、わかる場面だった。

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 うどん文化の優越する関西で蕎麦について知りたくて駆けつけた人、地元の友人たちと交流したくて集まってきた人、退職後の友人関係が思いがけず広がり、週末のほうがずっと忙しくなった人。それまでのどかな町でばらばらに暮らしていた人たちが、蕎麦や日本酒や畑仕事をきっかけにぐっと親しくなっていく。

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 CMプランナーとして長く東京で生活していた甲斐さんは、交野に戻り、あたりまえのようにある水、空気、人、田畑が宝の山に見えたという。納屋を改装したギャラリー、その裏の畑、市内の休耕地、森などを、実に魅力的な学習資源として活用するおりひめ大学は、何もないと思われていた場所に、子どもから大人まで多くの人を惹きつける“交野の宝”を次々と発掘し続けている。

交野おりひめ大学
HP:https://orihime-univ.jimdo.com Facebook:www.facebook.com/katano.orihime.univ

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