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多様性

連載 | ゲイの僕にも、星はキレイで肉はウマイ

手紙〜拝啓20歳の太田くんへ(前編)

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皆さん「LGBT成人式」という催しがあるのをご存知だろうか。僕が初めて知ったのは2年前の「やる気あり美」を始めた時。いろいろとLGBTに関するイベントを調べている中で存在を知り、その年メンバーと参加してみたのが最初の関わりだった。今年は光栄にもトーク・ゲストとして呼んでいただき、まさに先ほど参加してきたところだ。

成人式というものは、ざっくり言えば新成人の「背中を押す」イベントだと思うが、地元の成人式に参加したところで「全然、背中押されねぇし!」というLGBTはいっぱいいる。というか、LGBTじゃなくてもそういう人って結構いる。あの「行ったところで絶対浮いちゃうわ」というソワソワ感。僕自身、軽くいじめられっ子だったため行かなかったし、それ以外にも、圧倒的なキャラチェンジを遂げたからとか、さまざまな理由で、背中を押されるステージになんていない人っていると思う。

LGBTには、そういう人が多くなる傾向がある。たとえば、学生時代に「オカマ」と呼ばれ続けたゲイの人が傷を負っていないわけもなく、だいたいソワソワ必至だろう。ほかにも、性別適合手術を受けて、キャラというか性別がチェンジしている人なんて、「成人式」っていうか「ソワソワ祭」って感じだと思う。

だから、この「LGBT成人式」の意義ったらすごいのだ。ここでは、男性として生まれてきた人が振袖を身にまとっていても、女性として生まれた人がスーツをビシッと決めていても、メイクに紋付袴でも、Tシャツにデニムでも、それ以外も何でもOK。ありのままの姿で誰もが祝福される。

初めて参加した2年前は、想像したよりずっと感動した。「新成人の言葉」と「新成人の親の言葉」の往復書簡のようなスピーチがあったり、LGBTの有名人の方の勇気づけられる言葉があったりで、何度も大きく拍手した。「想像したより」と前置きがついたのは、単に僕がひねくれていたからだ(笑)。僕はどちらかと言えば、傷ついても「なにくそ!」と生きてきたタイプの人間で、「ありのままを祝福します」というのが、どうもくすぐったく感じていたのだ。でも、そんな人間でも何度も胸が熱くなったわけだから、似たような方がいれば、ぜひ参加してみてほしい。終わったあとは、メンバーたちと「アゲだったね〜〜〜!!」と連呼(テンション、ブチ上がるくらい素敵だったね、と言いたい)。昔の自分に教えてあげたいと思った。

ということで、前置きが長くなったが、ここからがようやく本題(驚愕の事実!)。次回号、過去の自分、20歳の太田に向けて、励ます手紙を書いてみたいと思う。さっきイベントの余韻に浸りながら帰宅していた時、それをやってから寝なくては、今日の参加者の皆さんに誠実でない気がしてきたのである。

僕は、今日いらっしゃっていた皆さんのことをちゃんと知らないし、知ったとしても結局、人が真に勇気づけられるのは、悩んでいた過去の自分だけだと思う。そして、逆説的ではあるが、過去の自分を励ます言葉を紡ぐこと以上に、自分と似たことで悩む人への誠実なエールはないんじゃないかと思ったのだ。もちろん、すべての悩めるLGBTの皆さんを勇気づけられればいいな、という願いは持ちつつも、でも、自分の言葉のどこかひと欠片を、誰か一人でも持って帰ってくれれば十分という気持ちを持って書きたいと思う。今日はそれをやってから寝させてッ! ということで、次回に繰り越しになるが、ここまで読んだ皆さんもソワソワしてきたなら、来月号も読んでみてください(笑)。

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