さまざまな分野で活躍する9名が、茶席における「亭主」となり、職人と対話しながら、大切なお客さまを迎えるためにあつらえた菓子を展示します。
有斐斎弘道館では、2013年から公募展として開催してまいりました「京菓子展」の10周年を記念し、特別展を開催いたします。
本展では、さまざまな分野で活躍する9名が、茶席における「亭主」となり、職人と対話しながら、大切なお客さまを迎えるためにあつらえた菓子を展示します。また、会場では展示作品の中から数種の菓子を、抹茶とともにお召し上がりいただけます。
京菓子は、一席一菓。一席ごとに、相手を思い、自然との対話を繰り返しつつ、その日、その時、その場所、その人だけのために作られる「食べる芸術」です。それぞれの亭主がどのように客をもてなし、また職人はどのようにその思いに応えるのか。京菓子を通して、人と人とのあいだに紡がれる「ものがたり」を五感でお楽しみください。
開催概要
京菓子展10周年特別展「京菓子展 一席一菓 あつらえのかたち」
会期:2024年1月28日(日)~2月12日(月・祝)
※内覧会:1月27日(土)
会場:有斐斎弘道館(京都市上京区上長者町通新町東入る元土御門町 524-1)
開館時間:10:00〜17:00/最終入館16:30まで
入館料:入館券(京菓子と抹茶付き) 大人2,500円、学生2,000円(要予約)
入館のみ 大人1,000円、学生500円
本会場限定セット*1 3,500円(要予約)
寄付セット*2 10,000円(要予約)
*1 入館券(京菓子と抹茶付き)と特別限定菓子のセット
*2 本会場限定セットに懐紙、有斐斎弘道館への寄付を加えたセット
特別呈茶会場:旧三井家下鴨別邸(京都市左京区下鴨宮河町58-2)
開館時間:9:00〜17:00/最終入館16:30まで ※水曜休館
入館料:大人 平日500円 土日祝日600円、中高生300円、小学生200円
呈茶料:京菓子と抹茶 1,000円
※京菓子の詳細等は、京菓子展特別展公式サイトにて後日発表を予定しています。
※入館券、各セットは京菓子展特別展公式サイトからご予約いただけます。
主催:公益財団法人有斐斎弘道館
共催:旧三井家下鴨別邸運営コンソーシアム、公益社団法人京都市観光協会、古典の日推進委員会
後援:京都府(予定)、京都市(予定)、京都新聞
協力:有職菓子御調進所 老松、御菓子丸、ASSEMBLAGES KAKIMOTO、鍵善良房、京菓子司 金谷正廣、京阪ホールディングス株式会社、御菓子司 聚洸、学校法人大和学園、株式会社文藝春秋、まめいち
助成:文化庁令和5年度文化芸術振興費補助金(地域文化財総合活用推進事業)
京菓子展特別展公式サイト(2023年12月22日公開予定)
問い合わせ先:075-441-6662(公益財団法人有斐斎弘道館)
亭主 × 菓子職人
– 天野 喜孝(画家/イラストレーター) × 植村 健士(有職菓子御調進所 老松/京菓子展 2018年 大賞 ほか)
– 池坊 専宗(華道家/写真家) × 塩貝 祥代(学校法人大和学園講師/京菓子展 2021年 大賞)
– 叶 松谷(陶芸家/京焼清水焼窯元三代目) × 今西 善也(鍵善良房)
– 川邊 りえこ(書道家/美術家) × 垣本 晃宏(ASSEMBLAGES KAKIMOTO)
– 串野 真也(ファッションデザイナー/アーティスト) × 金谷 亘(京菓子司 金谷正廣)
– 森山 未來(俳優/ダンサー) × 杉山 早陽子(御菓子丸)
– ヤノベケンジ(現代美術作家/京都芸術大学教授) × 中丸 剛志(有職菓子御調進所 老松/京菓子展 2022年 京都市長賞 ほか)
– 夢枕 獏(小説家) × 幾世橋 陽子(まめいち/京菓子展 2016年 大賞 ほか)
– ルシール・レイボーズ(写真家/KYOTOGRAPHIE共同創設者) × 髙家 裕典(御菓子司 聚洸)
※五十音順・敬称略
濱崎加奈子(有斐斎弘道館 館長)コメント
「京菓子展」は、近代以前の日本の教養文化、また生活のなかに満ちていた総合知としての芸能・芸術文化について知っていただくため、2013年より始め、2015年より「公募」による展覧会として、毎年秋に開催してまいりました。
京菓子は、作り手である職人だけでなく、食べ手である私たちが、一つの菓子の背景を理解し、味わってはじめて完成する食べ物です。デザイン部門と実作部門を二つの柱とすることで、小学生からプロの職人さんまで、多くの方々にご応募いただき、全国各地で新たな菓子作家が誕生するなど、話題をよんでまいりました。
京菓子は、一席一菓。
一席ごとに、相手の顔を思い浮かべながら、また季節や素材を通して自然との対話を繰り返しながら、一つ一つ、丁寧に作られます。
大量生産の時代を経て、いつでも・どこでも・どのようなものでも手に入る時代、経済効率優先の現代において信じ難いほどの時間と手間ひまをかけて作られる「京菓子」。(しかも、食べたらなくなってしまう!)そのような、京菓子の「作られ方」は、持続可能な社会や、人間らしい創造的な生き方を模索する時代にあって、大きな示唆を与えてくれると考えております。
本プロジェクトが、京菓子を通して、人と人の間につむがれる「ものがたり」を表現することによって、日本文化の本質を見つめ直すきっかけとなれば幸いです。
濱崎加奈子
京都大学文学部卒業。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。
日本の伝統文化の継承に関わるさまざまな問題解決に携わってきた。また、茶会や展覧会、アートイベントなど、その土地の歴史と空間性を生かすとともに、受け継がれてきた伝統的な文化にこめられた美意識をひもとくことによる、学術とアートの融合によるコーディネイトを数多く行っている。2009年より有斐斎弘道館の保存活動に携わり、現在、公益財団法人有斐斎弘道館代表理事 兼 館長。京都府立大学准教授。また、北野天満宮和歌撰者の他、京都市の基本構想策定委員など数々の行政審議委員を歴任。著書に『京都かがみ』『香道の美学』、共著に『京菓子と琳派』他。
有斐斎弘道館について
有斐斎弘道館(ゆうひさいこうどうかん)は、江戸中期の京都を代表する儒者・皆川淇園(みながわきえん/1734-1807)が創立した学問所。淇園は開物学という独自で難解な学問を創始する一方、詩文や書画にも優れた風流人で、門弟は3千人におよぶと言われている。2009年にマンションの建設計画が持ち上がったことから有志により保存の声があがり、2013年に公益財団法人となる。建造物ならびに庭園を保存するとともに、現代における学問所を再興し、活動を続けている。
京菓子展とは
有斐斎弘道館では、広く一般の方々がデザインした菓子を、プロの職人が実際の菓子にして展示する「京菓子デザイン部門」と、実際に菓子を作る方による「茶席菓子実作部門」の優秀作品を、数寄屋建築の座敷に展示し、実際に食べていただく展覧会を開催してまいりました。2013年より始め、2015年より「琳派」「万葉集」「枕草子」など、毎年テーマを変えて開催し、菓子職人だけにとどまらず幅広い方々にご参加いただいております。
※次回の公募については2024年1月に京菓子展公式サイトにて、テーマを発表する予定です。